2021年01月13日 (水曜日)
東京都、『広報東京都』の折込み部数を「非開示」に、広報紙の水増し実態調査、仲介業者は読売系、印刷会社は共産党系
全国の地方自治体が税金で発行している広報紙の水増し実態を調査している筆者らの取材チームは、東京都が制作する『広報東京都』の調査に入った。しかし、東京都は、新聞折り込み部数データを「非公表」とした。これまでに実施した都道府県を対象とした調査では、全自治体が広報紙に関する情報を開示しているが、東京都だけが拒否するかたちになった。
取材チームは、東京都に対して、メールで次の点を問い合わせた。
1、発行している広報紙の名称……広報東京都
2、総発行部数(2020年6月の時点)
3、ポスティング枚数とポスティング業者
4、新聞折込枚数
5、広告代理店
6、印刷会社
東京都からは次の回答があった。
このたびは、「広報東京都」へのご質問をいただき、ありがとうございます。ご照会のあった事項につき、下記の通り回答いたしますので、ご確認いただければ幸いです。
今後とも「広報東京都」をよろしくお願い致します。
東京都 生活文化局 広報広聴部
広報課出版担当
電話:03-5388-3093
1、発行している広報紙の名称
広報東京都
(以下2020年6月の時点)
2、総発行部数
約303万部
3、ポスティング枚数とポスティング業者
ポスティングは実施しておりません。
4、新聞折込枚数
非公表とさせていただいております。
5、広告代理店
(新聞折込み等)株式会社読売PR
6、印刷会社
あかつき印刷株式会社
黒薮注:読売PRは読売新聞社系の広告代理店である。
黒薮注:あかつき印刷は、共産党の印刷会社である。
◆◆
東京都が公表した『広報東京都』の総発行部数は、303万部である。これに対して2020年4月時点でのABC部数(公式の新聞発行部数)は、2,777 ,430部である。
約25万部が過剰になっているが、東京都の場合も他の大半の自治体と同様に、新聞折込のほかに、「都の施設、区市町村の窓口・出張所・区民センター、公立図書館、公立文化施設、郵便局、金融機関、都営地下鉄・JR・私鉄線の駅、公衆浴場、生活協同組合の店舗、医療機関、警察署、保健所、4年制大学など」にも置いているので、この約25万部が廃棄されているとは限らない。
今後の調査を要する。
ただ、次の3点を指摘しておきたい。
1、たとえ『広報東京都』の卸部数が、ABC部数を超えていなくても、新聞社の残紙問題は全国的に深刻になっており、依然として『広報東京都』が廃棄されている可能性がある。
2、筆者が東京23区を対象として、それぞれ23区が発行する広報紙の水増し実態を調査したところ、23区のうち12区で水増しが明らかになった。この調査は、情報公開請求で入手したデータに基づいており、裏付けがある。調査結果を『紙の爆弾』(2020年5月)で公表したので、読者にはその記事の概要を次のリンク先で確認していただきたい。
【調査報告】豊島区など東京都の12区で広報紙の水増しが発覚、新聞折込の不正と「押し紙」で税金の無駄遣い
3、東京都のケースでは、仲介業者が読売系の広告代理店になっている。読売新聞は多数の新聞販売店と権益関係を持っている。従って、透明な取引という観点からすると、東京都は新聞社系ではない広告代理店を使うべきではないか。
4、『広報東京都』を印刷しているのが、日本共産党の組織であることも問題だ。共産党は、国会の場で残紙問題を追及してきた経緯がある。従って、東京都と権益関係を持っていると、『報告東京都』が水増しになっていた場合、残紙問題の追及がしずらくなる可能性がある。
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肝心なデータを非公開とした東京都に対して、今後、どのように対処するかは未定だが、おそらく過去10年に渡るデータの開示を、情報公開請求制度を通じて行うことになる。