読売の検索結果

2022年05月14日 (土曜日)

広島県府中市における読売新聞のABC部数、複数年にわたり地域全体をロック、販売会社が残紙の搬入先に

新聞社のグループ企業のひとつである販売会社が残紙の温床になっているという話は、昔からあった。わたしも、「販売会社が残紙の搬入先になっている」という話をよく耳にしてきた。

残紙の中身が「押し紙」か「積み紙」かにかかわりなく、新聞社と販売会社の商取引は、グループ内の物流になり、グループ企業全体としては残紙の被害を受けない構図がある。その結果、販売会社を対象にして、ABC部数を大幅に水増しする販売政策が横行する。グループとしては損害を被っていないから、内部告発者もなかなか現れない。

改めていうまでもなく、ABC部数を水増しする目的は、紙面広告の媒体価値を高めて、広告収入を増やすことである。また、それにより折込広告の定数も増やすことができる。

次に紹介する表は、広島県府中市における読売新聞のABC部数の変遷である。期間は2011年10月から2020年10月である。

 

表中の緑が示す期間は5977部にロック(固定)され、オレンジが示す期間は5697部にロックされている。しかも、ロックの期間は、複数年に渡っている。

しかし、福山市に住む読売新聞の読者数が複数年にわたって1人の増減もないことはありえない。つまり読売の購読を止めた読者の部数が、残紙になっている可能性が高い。

福山市を担当していたのは、読売グループに属する読売企画開発(販売会社)が経営する販売店だった。同社の経営が始まった年度は、現段階では確認していないが、つい最近まで経営母体だった。

※読売企画開発は、現在は業務を終了している。

◆◆
13日付けのメディア黒書で、朝日新聞倉敷販売(株)で新聞購読契約を大量に偽造してABC部数を水増ししていた手口を紹介したが、府中市の読売の例でも明らかなように、新聞社の販売会社には、グレーゾーンが存在するのである。

新聞の実配部数とABC部数が乖離していることで、被害を受けるのは広告主である。PR戦略を誤ることになりかねない。

ちなみに残紙や折込広告の水増しなど、新聞社経営の汚点は、公権力の側から見れば、メディアコントロールの口実になる。新聞がジャーナリズム性を発揮して危険な存在になった時は、残紙問題に介入して、新聞社経営に打撃を与えることができるからだ。

残紙問題に介入されると新聞社は、販売収入を大幅に失いかねない。場合によっては、30%、あるいは40%の水準で減らすことにもなりかねない。

このようなビジネスモデルの下で新聞ジャーナリズムは、「適度な批判」はしても、それ以上は踏み込めない。

2022年04月16日 (土曜日)

2022年度2月度のABC部数、朝日は年間で44万部減、読売は32万部減

2022年2月度のABC部数が明らかになった。それによると朝日は年間で約44万部の減部数、読売は約32万部の減部数となった。さらに産経は約18万部の減部数である。

ABC部数の減少に歯止めはかかっていない。詳細は次の通りである。

朝日新聞:4,345,612(-440,112)
毎日新聞:1,954,394(-64,046)
読売新聞:6,874,345(-318,129)
日経新聞:1,791,945(-111,936)
産経新聞:1.039,344 (-179.672)

なお、ABC部数には残紙(「押し紙」、あるいは「積み紙」)が含まれているので、実配部数を反映していない。実配部数はABC部数よりもはるかに少ない可能性が高い。

2022年02月26日 (土曜日)

新しい方法論で「押し紙」問題を解析、兵庫県をモデルとしたABC部数の解析、朝日・読売など全6紙、地区単位の部数増減管理が多地区で、独禁法違反の疑惑

このところわたしが提唱している「押し紙」問題検証の方法論として、ABC部数の新しい解析方法がある。兵庫県全域をモデル地区として、ABC部数の変化を時系列に、しかも、新聞社(朝日、読売、毎日、産経、日経、神戸)ごとに確認してみると、ABC部数が地域単位でロックされている自治体が多数あることが判明した。地区単位で部数増減の管理が行われている疑惑が浮上した。

独禁法の新聞特殊指定に違反している疑惑がある。公正取引委員会は、少なくとも調査すべきだろう。

たとえば神戸市灘区における読売新聞のABC部数は、次のようになっている。

2017年4月 : 11,368
2017年10月: 11,368
2018年4月 : 11,368
2018年10月: 11,368
2019年4月 : 11,368

2年半にわたってABC部数は変化していない。新聞の購読者が特定の広域自治体で、2年半に渡って一部の変化もしないことなど、実際にはありえない。これは新聞社が販売店に搬入する新聞の「注文部数」を決めていることが原因である可能性(ノルマ部数、押し紙)がある。あるいは、販売店が自主的に購入する新聞部数を定数化している可能性(積み紙)もある。どちらの側に非があるにしても、これは広告主にとっては見過ごせない問題である。

本稿は、デジタル鹿砦社通信に連載した兵庫県全域をモデルケースとした新しい方法論の下で行ったABC検証の結果の報告である。以下、読者は以下に掲載した調査結果を確認する前に、次の【注意】を一読願いたい。表を理解する上で不可欠だ。

【注意】以下の表は、ABC部数を掲載している『新聞発行社レポート』の数字を、そのままエクセルに入力したものではない。数字を表示する順序を変えたのがこれらの表の大きな特徴だ。

『新聞発行社レポート』は、年に2回、4月と10月に区市郡別のABC部数を、新聞社別に公表する。しかし、これでは時系列の部数変化をひとつの表で確認することができない。確認するためには、『新聞発行社レポート』の号をまたいでデータを時系列に並べ変える必要がある。それにより特定の自治体における、新聞各社のABC部数がロックされているか否か、ロックされているとすれば、その具体的な部数や期間はどうなっているのかを確認できる。同一の新聞社におけるABC部数の変化を、地方自治体をベースにして長期に渡って追跡したのが以下の表の特徴だ。

■読売

■朝日

■毎日

■産経

■日経

■神戸

 

 

【出典-デジタル鹿砦社通信】

新聞衰退論を考える ── 公称部数の表示方向を変えるだけでビジネスモデルの裏面が見えてくる ABC部数検証・兵庫県〈1〉

新聞衰退論を考える ── 新聞社が新聞の「注文部数」を決めている可能性、新聞社のビジネスモデルの闇、ABC部数検証・兵庫県〈2〉 

新聞衰退論を考える ── 新聞人の知的能力に疑問、新聞社のビジネスモデルの闇、ABC部数検証・兵庫県〈3〉

2022年01月08日 (土曜日)

「残紙」世界一の都市、大阪府堺市、読売・朝日・毎日・産経のABC部数にみる異常、複数年に渡って1部の増減もなし、新聞の注文方法に独禁法違反の疑惑

ABC部数は、日本ABC協会が定期的に公表する出版物の公称部数である。広告営業や折込定数(販売店に搬入する折込広告の部数)を決める際に使われる。従ってABC部数は、読者数を反映したものでなければ意味がない。

たとえば〇〇新聞社のABC部数が50万部で、実際の読者数が30万部では、両者の間に20万部の差異があり、広告主を欺く温床になる。紙面広告の媒体価値をごまかしたり、折込定数の設定を攪乱する原因になる。

このところABC部数と読者数に著しい乖離がある疑惑が浮上している。その推測の根拠となるのが、ABC部数が複数年に渡って1部の増減もない自治体の存在である。つまりABC部数がロックされた状態になっているのだ。常識的に考えて、広域にわたる地区で、新聞の読者数が何年にも渡ってまったく同じという状態はありえない。まして現代は新聞離れの時代である。

筆者の調査では、東京都、大阪府、広島県、香川県、長崎県などでこの現象が確認できた。調査はまだ始まったばかりなので、今後、調査が進むとさらにロック現象が観察される自治体が増える可能性が高い。

◆◆

半年ごとに公表されるABCレポートは、区市郡別にそれぞれの新聞社の部数を表示している。しかし、時系列で各新聞社のABC部数がどう増減したかを知ることはできない。それを知るためには、ABCレポートのバックナンバーから数字を拾う必要がある。

そこで筆者は各ABCレポートの区市郡別の部数を、時系列でエクセルに入力していった。その結果、多くの区市郡でABC部数がロックされていることに気づいたのである。

ロックの背景は、新聞社が販売店に対して一定のノルマ部数を課しているか、販売店が何らかの理由で自主的に一定部数を購入しているかのどちらかの事情がある。筆者は、前者の可能性が高いと見ている。

たとえ後者であっても、新聞販売店の経営に真に必要な部数を超えた部数を注文する行為は、独禁法の新聞特殊指定で禁止されている。新聞を供給している新聞社がロック現象の異常に気づかないはずがない。公取委は取り締まる必要がある。

ちなみに日本ABC協会は、不正部数疑惑について、次のように述べている。

「ABCの新聞部数は、発行社が規定に則り、それぞれのルートを通じて販売した部数報告を公開するものです。この部数については、2年に1度新聞発行社を訪問し、間違いがないかを確認しています。さらに、その補足としてサンプルで選んだ販売店の調査も行っています。」

次に示すのが大阪府堺市における読売、朝日、毎日、産経のABC部数変遷である。

【読売】

 

【朝日】

【毎日】

【産経】

 

■参考記事:
読売新聞社と大阪府の包括連携協定、残紙問題が提示する読売グループの実態、読売に「道徳」を語る資格があるのか?

読売新聞社と大阪府の包括連携協定、残紙問題が提示する読売グループの実態、読売に「道徳」を語る資格があるのか?

昨年(2021年)の12月27日、読売新聞社と大阪府は記者会見を開いて、両者が包括連携協定に締結したことを発表した。大阪府の発表によると、次の8分野について、大阪府と読売が連携して活動する計画だという。特定のメディアが自治体と一体化して、「情交関係」を結ぶことに対して、記者会見の直後から、批判があがっている。

連携協定の対象になっている活動分野は次の8項目である。

(1)教育・人材育成に関すること
(2)情報発信に関すること
(3)安全・安心に関すること
(4)子ども・福祉に関すること
(5)地域活性化に関すること
(6)産業振興・雇用に関すること
(7)健康に関すること
(8)環境に関すること

(1)から(8)に関して、筆者はそれぞれ問題を孕んでいると考えている。その細目に言及するには、かなり多くの文字数を要するので、ここでは控える。

◆読売が抱える3件の「押し紙」裁判

多くの人々が懸念しているのは、大阪府と読売が一体化した場合、ジャーナリズムの中立性が担保できるのかとう問題である。もちろん、筆者も同じ懸念を抱いている。

しかし、筆者は別の観点からも、この協同事業には問題があると考えている。それは読売グループの企業コンプライアンスである。大阪府は、同グループによる新聞の商取引の実態を調査する必要がある。

【続きはデジタル鹿砦社通信】

読売新聞の仕入部数「ロック」の実態、約5年にわたり3132部に固定、ノルマ部数の疑惑、「押し紙」裁判で明るみに

新聞の没落現象を読み解く指標のひとつにABC部数の増減がある。これは日本ABC協会が定期的に発表している新聞の「公称部数」である。多くの新聞研究者は、ABC部数の増減を指標にして、新聞社経営が好転したとか悪化したとかを論じる。

最近、そのABC部数が全く信用するに値しないものであることを示す証拠が明らかになってきた。その引き金となったのが、読売新聞西部本社を被告とするある「押し紙」裁判である。

◆「押し紙」と「積み紙」

「押し紙」裁判とは、「押し紙(販売店に対するノルマ部数)」によって販売店が受けた損害の賠償を求める裁判である。販売店サイドからの新聞の押し売りに対する法的措置である。

とはいえ新聞社も簡単に請求に応じるわけではない。販売店主が「押し紙」だと主張する残紙は、店主が自主的に注文した部数であるから損害賠償の対象にはならないと抗弁する。「押し紙」の存在を絶対に認めず、店舗に余った残紙をあえて「積み紙」と呼んでいる。

つまり「押し紙」裁判では、残紙の性質が「押し紙」なのか、「積み紙」なのかが争点になる。下の写真は、東京都江戸川区にある読売新聞販売店で撮影された残紙である。「押し紙」なのか、「積み紙」なのかは不明だが、膨大な残紙が確認できる。

◆1億2500万円の損害賠償

ABC部数の嘘を暴く糸口になったこの裁判は、佐世保市の元販売店主が約1億2500万円の損害賠償を求めて、今年2月に起こしたものである。裁判の中で、新聞販売店へ搬入される朝刊の部数が長期に渡ってロックされていた事実が判明した。

通常、新聞の購読者数は日々変動する。新聞は、「日替わり商品」であるから、在庫として保存しても意味がない。従って、少なくとも月に1度は新聞の仕入部数を調整するのが常識だ。さもなければ販売店は、配達予定がない新聞を購入することになる。

販売店が希望して配達予定のない新聞を仕入れる例があるとすれば、搬入部数を増やすことで、それに連動した補助金や折込広告収入の増収を企てる場合である。しかし、わたしがこれまで取材した限りでは、そのようなケースはあまりない。発覚した場合、販売店が廃業に追い込まれるからだ。

◆仕入部数を約5年間にわたり「ロック」

現在、福岡地裁で審理されている「押し紙」裁判も、残紙が「押し紙」なのか、「積み紙」なのかが争点になっているが、別の着目点も浮上している。それは、販売店に搬入される仕入れ部数が、「ロック」されていた事実である。「ロック」が、販売店に対するノルマ部数を課す販売政策の現れではないかとの疑惑があるのだ。

以下、ロックの実態を紹介しよう。

・2011年3月~2016年2月(5年):3132部
・2016年3月~2017年3月(1年1カ月):2932部
・2017年4月~2019年1月(1年10カ月):1500部
・2019年2月(1カ月):1482部
・2019年3月~2020年2月(1年):1434部

この間、搬入部数に対して残紙が占める割合は、約10%から30%で推移していた。

◆長崎県の市・郡における「ロック」

この販売店で行われていた「ロック」が他の販売店でも行われているとすれば、区・市・郡のABC部数にも、それが反映されているのではないか?と、いうのもABC部数は、販売店による新聞の仕入れ部数の記録でもあるからだ。

そこでわたしは、この点を調査することにした。調査方法は、年に2回(4月と10月)、区・市・郡の単位で公表されているABC部数を、時系列で並べてみることである。そうすれば区・市・郡ごとのABC部数がどう変化しているかが判明する。

まず、最初の対象地区は、「押し紙」裁判を起こした販売店がある長崎県の市・郡別のABC部数(読売)である。下表のマーカーの部分が「ロック」部数と期間である。かなり頻繁に確認できる。

◆香川県の市・郡における「ロック」

他の都府県についても、抜き打ち調査をした。その結果、次々と「ロック」の実態が輪郭を現わしてきた。典型的な例として、香川県のケースを紹介しよう。下表のマーカーの部分が「ロック」部数と期間である。

若干解説しておこう。高松市の読売新聞の部数は、2016年4月から2019年10月まで、ロック状態になっていた。高松市における読売新聞の購読者数が、3年以上に渡ってまったく変化しなかったとは、およそ考えにくい。まずありえない。

新聞の搬入部数がそのまま日本ABC協会へ報告されるわけだから、ABC部数は実際の読者数を反映していないことになる。信用できないデータということになる。

なお、「ロック」について、読売新聞東京本社の広報部に問い合わせたが回答はなかった。部数の「ロック」は、他の中央紙でも確認できる。詳細については、順を追って報じる予定だ。

 

【掲載サイト】デジタル鹿砦社通信

2021年06月30日 (水曜日)

読売新聞、年間で51万部の減部数、21年5月度のABC部数、新聞凋落の背景に信用の失墜、権力構造の一部に変質

2021年5月度のABC部数が明らかになった。それによると、朝日新聞は約471万部で、前年同月比較で、約37万部の減部数となった。読売新聞は、約711万部で51万部の減部数となった。

さらに日経新聞は、約186万部で21万部の減部数となった。産経新聞は、約119万部で12万部の減部数。日経と産経は、経営規模に比べて減部数が多く、新聞凋落の実態を象徴している。

詳細は次の通りである。

朝日新聞:4,714,358(−369,225)
毎日新聞:2,003,834(−194,490)
読売新聞:7,111,343(−512,437)
日経新聞:1,860,086(−209,794)
産経新聞:1,191,632(−123,407)

ABC部数には残紙(押し紙・積み紙=写真参照)が含まれており、実配部数の実態は不明。残紙の発生に伴い、配達されずに廃棄されている折込媒体も多い。特に、地方自治体の広報紙の中には、大量に廃棄されているものもある。

◆◆
新聞の減部数の原因は、インターネットの普及に加えて、新聞社そのものが日本の権力構造の中に歯車として組み込まれていることが明らかになってきた事情がある。ジャーナリズムの看板をかかげ、その一方で消費税率の軽減措置などさまざまな優遇措置を受けながら、テレビと連動して世論誘導の役割を果たしている実態が暴露されてきた事情がある。すでに権力構造の一部に変質している。

2021年06月08日 (火曜日)

【ABC部数の検証】④、広島県府中市における読売新聞の不自然な部数固定、7年間に渡って変化なし、広告主の不信感の温床

ABC部数の地区別検証の第4回である。

読者は、次に示す広島県府中市における読売新聞のABC部数が何を意味しているか分かるだろうか?

2014年4月:5679部
2014年10月 :5679部
2015年4月 :5679部
2015年10月 :5679部
2016年4月 :5679部
2016年6月 :5679部
2017年4月 :5679部
2017年10月 :5679部
2018年4月 :5679部
2018年10月 :5679部
2019年4月 :5679部
2019年10月 :5679部
2020年4月 :5679部
2020年10月 :5679部

ABC部数は、日本ABC協会によると新聞社が販売店に販売した新聞の部数である。一方、新聞社によると、販売店が新聞社から買った新聞の部数である。どちらの言い分が正しいにしても、取引部数がロックされた状態が7年も続いたことになる。広告主がこの事実を知れば、不信感をいだく温床になりかねない。

ちなみに広島県全域における読売新聞の部数は、次に示すように激減している。

2014年4月 :129,979部
2020年10月: 98,088部

興味深いことに府中市にあるYC(読売新聞・販売店)を調査したところ、2021年春まで、読売企画開発株式会社(大阪市北区。読売大阪ビル6F)という販売会社がオーナーであることが分かった。

つまり読売系の販売会社が、読売新聞社に新聞を注文していることになる。その結果、部数の増減がなくなっているのだ。販売会社の販売店をロックして、少しでも全体の部数減を食い止めているのである。

改めているまでもなく、この7年間に購読者が減っていれば、残紙(新聞社は、予備紙と主張している)が増えている。実配部数と搬入部数の間に乖離が生じている。実際に読売新聞がどの程度、普及しているのかに疑問が生じてくるのである。

ちなみに広島県の地域別のABC部数変遷は次の通りである。呉市をはじめ、他の自治体でも同じような現象がみられる。全国を対象に調査する必要がある。

参考までに、次の地域におけるABC部数も示しておこう。

わたしは、業界が主導して「定数制度」を設けているのではないかと考えている。

 

【ABC部数検証】① 名古屋市における朝日新聞のケース、朝日新聞の販売会社が朝日新聞社に新聞を注文のケースも

【ABC部数検証②】香川県・読売新聞、全地区でロック現象、5年に渡って1部の増減もない地区も

【ABC部数検証③】和歌山県・読売新聞、20の自治体のうち、海南市など14の自治体で部数がロック状態

2021年06月04日 (金曜日)

【ABC部数検証③】和歌山県・読売新聞、20の自治体のうち、海南市など14の自治体で部数がロック状態

[ABC部数検証]の3回目である。取り上げるのは和歌山県における読売新聞である。期間は2106年4月から2020年10までの5年間。半年ごとのABC部数の変化を検証した。

20の自治体のうち、14の自治体で部数のロックが観察できる。

読売新聞社に限りらず、ABC部数は「販売店が注文した部数」というのが新聞社の考え方である。予備紙は存在しても、「押し紙」は1部も存在しないという主張だ。

読者の皆さんはどう思うだろうか?

※表の見方:数字下の下線部分がロックを示している。前後で1部の部数増減もないことを意味している。

■読売新聞ABC部数(和歌山県)16年~20年

 

◆◆

「押し紙」は一度もしたことがないというのが読売新聞社の主張である。その主張は、たとえば「押し紙」をめぐる裁判の中でも明らかになっている。参考までに2010年11月16日に東京地裁で行われた読売対新潮社・黒薮の裁判の尋問の調書を紹介しておこう。

読売の代理人弁護士で、今も「押し紙」は1部も存在しないと主張しいる喜田村洋一・自由人権協会代表理事の質問に答えるかたちで、読売の宮本友丘専務が次のように証言した。

喜田村弁護士:この裁判では、読売新聞の押し紙が全国的に見ると30パーセントから40パーセントあるんだという週刊新潮の記事が問題になっております。この点は陳述書でも書いていただいていることですけれども、大切なことですのでもう1度お尋ねいたしますけれども、読売新聞社にとって不要な新聞を販売店に強要するという意味での押し紙政策があるのかどうか、この点について裁判所にご説明ください。

宮本:読売新聞の販売局、あと読売新聞社として押し紙をしたことは1回もございません。

喜田村弁護士:それは、昔からそういう状況が続いているというふうにお聞きしてよろしいですか。

宮本:はい。

喜田村弁護士:新聞の注文の仕方について改めて確認をさせていただきますけれども、販売店が自分のお店に何部配達してほしいのか、搬入してほしいのかということを読売新聞社に注文するわけですね。

宮本:はい。

2021年06月03日 (木曜日)

【ABC部数検証②】香川県・読売新聞、全地区でロック現象、5年に渡って1部の増減もない地区も

[ABC部数検証]の2回目である。取り上げるのは香川県における読売新聞である。期間は2106年4月から2020年10までの5年間。半年ごとのABC部数の変化を検証した。

すべての自治体で部数のロックが観察できる。特に仲多郡と綾歌郡は、5年間のABC部数は1部の増減もない。

仲多郡:2040部(2016年4月)~2040部(2019年10月)

綾歌郡:2771部 (2016年4月)~2771部(2019年10月)

香川県の郡部全体でみても、2016年10月から2018年10月の期間で部数が固定された状態(定数に変化がない状態)になっている。

郡部計:5879(2016年10月)~5879部(2018年10月)

■読売新聞ABC部数(香川県)16年~20年

◆◆
定数(搬入部数)を読売新聞社が決めたのか、それとも販売店が決めたのはか分からない。通常、商品の需要が減れば注文部数を調整するが、それを実施した形跡はABC部数からは読み取れない。

 

2021年05月17日 (月曜日)

2021年3月のABC部数、朝日は年間で44万部減、読売は57万部減

2021年3月度のABC部数が明らかになった。それによると、朝日新聞は年間で約44万部を失った。また、読売新聞は57万部を失った。新聞部数の減少傾向に歯止めはかかっていない。

中央紙5紙の部数は、次の通りである。

朝日:4,755,806(435,614)
毎日:2,009,556(287,102)
読売:7,154,983(572,627)
日経:1,880,341(219,472)
産経:1,216,588(125,165)

全国の新聞社のABC部数は、次の通りである。

■2021年3月度のABC部数

2021年04月30日 (金曜日)

読売がマクドナルドの配達へ、懸念される従業員の負担、新聞配達との両立は困難?

読売新聞社と日本マクドナルドが提携して、YC(読売新聞販売店)がハンバーガーの宅配に参入することが、メディア各社の報道で明らかになった。読売新聞(電子)は、次のように日本マクドナルドとの提携を報じている。

読売新聞グループ本社と日本マクドナルドは28日、読売新聞の販売店(YC)がマクドナルドの宅配サービス「マックデリバリー」を受託し、YCスタッフがマックの商品を配達する取り組みを全国で進めていくと発表した。YCが組織的にフードデリバリーを受託して全国展開するのは初めて。■出典

◆◆
新聞販売店の副業は、デリバリー業を中心に、さまざまな可能性を探りながら、数年前から実験的に導入されてきたが、成功したという評価はほとんど聞かない。参入をためらう販売店主の方が多い。少なくとも筆者が取材した限りでは、そんな印象を受けた。

新聞販売店が新聞以外の商品も配達できると考えるのは労働現場を知らない人の発想である。

新聞販売店で働く人々の1日は早朝に始まる。午前1時から3時ぐらいの時間帯に出勤する。それから折込チラシを新聞に折り込む。配達に出発して、販売店に戻るのは、6時過ぎである。

それから朝食を食べて睡眠を取る。1時ごろに再び販売店に出勤して、自動折込機で折込広告を束ねる作業をする。3時ごろには、夕刊が搬入される。夕刊の配達が終わるのが5時過ぎだ。

もちろん残紙の処理もある。

さらに業務は続く。新聞購読料を集金したり、新聞拡販で戸別訪問を繰り返す。新聞の集金は、読者から集金時間を指定されることもあり、夕食の後に「再出動」しなければならないことも少なくない。

夕刊配達がない地方都市の場合は、午後からの時間帯をハンバーガーの配達に充てることもできるかも知れないが、問題は、夕刊のない辺鄙な地で、赤字にならないだけのハンバーガーの需要があるかどうかだ。需要が見込まれる肝心の昼食前の時間に人材を確保するのも難しいのではないか。

◆◆
新聞販売店の労務は、昔から社会問題になってきた。働き手が不足して、新聞奨学生をリクルートしてきた歴史があるが、それも近年は上手くいっていない。そこでベトナムなど海外から人材を集めているのが実態だ。そのベトナム人もコロナの影響で来日にためらうようになっている。

読売新聞が、強引にデリバリービジネスを展開すれば、残紙問題だけではなく、労務問題も浮上する可能性がある。

 

2021年03月24日 (水曜日)

広島県府中市における読売のABC部数、4年以上にわたり5697部でロック(固定)、1部の変動もなし

【訂正】
23日付けメディア黒書の記事で、広島県における読売新聞のABC部数について、一部の自治体で、部数がロック(固定)されている旨を報じました。この記事の中で、ロックされていない自治体については、「その大半の自治体でABC部数が増加に転じている」と記しましたが、正しくは、「ABC部数の減少傾向がみられる」です。訂正すると同時に読売新聞大阪本社に謝罪します。

訂正後の23日付け記事は、次の通りです。

広島県全域におけるABC部数の解析、読売の部数、27自治体のうち10自治体で部数をロック、1年半にわたり1部の増減もなし、ノルマ部数設定の疑惑

 

◆◆府中市における読売のABC

さて、ここからが本題である。
広島県における読売新聞のABC部数の解析を進めたところ、府中市のABC部数が不自然なことが分かった。府中市の読売のABC部数を時系列に並べると次のようになる。

2014年4月 :5697部
2014年10月:5697部
2015年4月 :5697部
2015年10月:5697部
2016年4月 :5697部
2016年10月:5697部
2017年4月 :5697部
2017年10月:5697部
2018年4月 :5697部

この数字が示すように、2014年4月から2018年4月まで、まったく部数の変動がないことを意味する。不自然ではないか。ABC公査の信憑性そのものが疑われる。