広島県全域におけるABC部数の解析、読売の部数、27自治体のうち10自治体で部数をロック、1年半にわたり1部の増減もなし、ノルマ部数設定の疑惑
広島県福山市の元YC店主が提起した「押し紙」裁判を機に、筆者は原告のYCがあった福山市をふくむ広島県全域を対象に、読売のABC部数の解析を行った。解析の対象期間は、元YC店主が請求対象期間としている2017年1月から2018年6月である。この期間に3回実施されたABC公査で判明したABC部数を解析した。
その結果、定数(販売店への搬入部数)が完全にロックされ、1部の部数変動もない現象が、県下全27の自治体のうち、10の自治体で記録されていたことが分かった。この中には、原告の元店主が店舗を構えていた福山市も含まれる。
福山市のABC部数は、2017年4月時点での公査では、38,194部数だった。2017年10月時点での公査でも、やはり38,194部だった。さらに2018年4月の公査でも、38,194部だった。つまり1年半に渡って、1部の部数増も、部数減もなかったことになっている。普通はあり得ないことである。この38,194部がノルマだった疑惑が浮上する。
言うまでもなく、これは原告店主のYCだけではなく、福山市にある全YCで、ABC部数が少なくとも1年半に渡りロックされていた疑惑を浮上させる。
福山市以外でABC部数がロックされた状態になっていた自治体と、そこでのABC部数は、次のようになっている。期間はやはり1年半である。1年半のあいだ1部の部数減も、部数増も記録されなかった。
広島市(南区):3,578
広島市(安佐南区):4,226
広島市(安佐北区):3,283
尾道市:11,147
福山市:38,194
府中市:5,697
大竹市:2,240
甘日市市:2,475
江田島市:325
安芸郡:1,650
神石郡 :4,77
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一方、ABC部数が変動していた自治体では、ABC部数の減少傾向がみられる。
ABC部数がロックされた自治体では、YCが一定の最低ラインの「責任部数」を負担していた疑いがある。
以下、裏付け資料である。マーカーで示した部分である。3つの年度のABC部数を比較して、各自治体で数字の変化がないことを確認してほしい。
【写真】東京都江戸川区内の新聞販売店