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2019年12月23日 (月曜日)

大阪府の消費生活センターが産経新聞に続き毎日新聞にも措置命令を下す、予想される朝日新聞と読売新聞の読者争奪戦

大阪府の消費生活センターは、12月10日、毎日新聞の販売店を経営する中野宅視氏に対して、吉村洋文知事の名前で景品表示法に基づく措置命令を下した。景品表示法とは、新聞の拡販活動の際に販売店が購読契約者に提供する景品類に制限を課す法律である。景品価値を金銭に換算したときに6ヶ月分の新聞購読料の8%が最高限度額となる。したがって毎日新聞の場合は1937円が上限で、それを超えると景品表示法に違反したことになる。

中野氏は、大阪府内で3店の毎日新聞販売店を経営している。消費生活センターが措置命令を下したことで、今後、1937円を超える景品を使った新聞拡販活動ができなくなった。

措置命令は次のように違反の事実を認定している。

本件販売店は、一般消費者との毎日新聞の購読契約の締結に際し、クレジットカード会社が発行するギフトカードや、スーパーマーケットが発行するお買物券などの商品券(額面3千円から1万円)を提供していたほか、スポーツ紙の無料提供や毎日新聞の購読料の割引、毎日新聞の購読料を無料とする月の設定などを行っていた。

◆3月には産経新聞販売店に対して措置命令

実は今年3月にも大阪府の消費生活センターが新聞販売店に対して措置命令を下した。対象としたのは産経新聞の3店である。これについての参考記事も紹介しておこう。

終末期迎えた産経新聞 新聞拡販の景品にテレビ月50台、ニセの購読契約書で350万円の不正…「公序良俗」に背く手口のオンパレード

江上武幸弁護士が、産経新聞による景品表示表違反事件の顛末を『消費者法ニュース』でレポート、産経新聞が訴訟を取り下げた深刻な理由

◆何が日本の新聞社を巨大化させたのか?

改めていうまでもなく、日本の新聞社が世界に類を見ないほど巨大化した背景には高価景品を使った新聞拡販活動があった。 新聞拡販活動と「押し紙」政策が車の両輪として噛み合い、新聞を売り物にしたジャーナリズム企業を急成長させたのだ。

残念ながら欧米の新聞社のようにジャーナリズムの質を高める努力をすることでメディアとしての影響力とステータスを得たのではない。企業の柱は新聞販売であってジャーナリズムは枝葉末節に過ぎない。これが紛れもない事実である。

産経新聞の販売店に続いて毎日新聞の販売店にも消費生活センターのメスが入った事実は、従来の新聞のビジネスモデルに公権力が疑義を唱え始めたことを意味する。新聞がいよいよ崩壊する前兆と考えるべきだろう。少なくとも近々に大きな変化が起きるだろう。

ちなみに読者の中には、なぜ消費生活センターも公正取引委員会もこれまで景品表示表違反を摘発しなかったのかという疑問も残る。高価な景品を使った新聞拡販は、産経新聞と毎日新聞だけではなかったはずだ。ビール券や洗剤の大量提供と引き替えに新聞の購読契約を取り付けるのが、新聞業界の慣行となってきたことは周知の事実である。

景品表示表違反を黙認してきた。

今回、産経新聞と毎日新聞が処置命令を受けたことで、朝日新聞と読売新聞は逆に拡販活動に拍車がかかるのではないか。産経新聞と毎日新聞が新聞社の「任務」を終えたあとに予想される朝日新聞と読売新聞による読者争奪戦に消費生活センターが「審判」として介入するかどうかにも注目すべきだろう。

裁判所が折込チラシの水増し詐欺に強い関心を示す、折込広告会社のサンケイアイの社員が出廷へ 、産経の「押し紙」裁判

産経新聞の元店主が、産経本社を相手に起こしている「押し紙」裁判(東京地裁)の尋問が(2020年)3月10日に開かれ、証人として折込広告会社の(株)サンケイアイの社員が出廷することになった。裁判所が折込チラシの水増し行為にメスを入れる可能性が高い。

この裁判で原告の元店主は、折込チラシの水増し詐欺をしていたことを認めた上で、その責任は産経本社にあると主張している。裁判所に対して、サンケイアイの社員の証人申請を申してたところ裁判長も、

「裁判所としても確かめたいことがある」

と、言って申請を認めたという。

折込チラシの水増し問題が、法廷に持ち込まれ新聞社の社員が尋問されたケースは、佐賀新聞の例など過去にもあるが、折込広告会社の社員本人が法廷で直接尋問されたケースはない。その意味で、3月10日の尋問で、「押し紙」問題は新しい段階に入るとみて間違いない。


メディア黒書でも繰り返し報じてきたように、「押し紙」問題は、あくまでも新聞業界内部の問題である。それゆえに新聞業界では周知の事実になっていても、業界外では、深刻な問題であるにしては認知度が低い。

ところが「押し紙」問題に折込チラシの水増し問題が絡んでくると、折込チラシのスポンサーを巻き込むので、業界内部の問題として処理することができない。問題が拡散する。その意味では、折込チラシの水増し詐欺の告発という元店主の戦略は合理的だ。

とりわけ新聞業界が消費税の軽減税率の適用を受け始めた時期だけに、新聞社の実態を再検証し、この優遇措置適用について考える格好の機会となる。

現在、メディア黒書は、折込チラシの水増し詐欺を徹底取材している。情報提供は次の窓口までお願いしたい。

【情報提供の窓口】
電話:048-464-1413
メール:xxmwg240@ybb.ne.jp

 

【参考記事】崩壊する新聞、朝日・読売が年間で約40万部減、『広報えどがわ』の水増し問題にはサンケイ広伸社が関与、選挙公報も大幅に水増

2019年08月29日 (木曜日)

江上武幸弁護士が、産経新聞による景品表示表違反事件の顛末を『消費者法ニュース』でレポート、産経新聞が訴訟を取り下げた深刻な理由

新聞社経営が順調だった今世紀の初頭ごろまで、水面下でたびたび社会問題になってきたのが新聞拡販活動だった。ビール券や洗剤を多量にばらまき、時には消費者をどう喝して、新聞の購読契約を迫る商法があたりまえに横行していた。「新聞はインテリがつくってヤクザが売る」とまで言われたのである。

その後、新聞拡販活動は徐々に衰えたような印象があったが、形を変えて残っていたようだ。本質的な部分では何も変わっていなかった。

今年の4月17日、産経新聞は、自社が展開してきた新聞拡販活動が、景品表示法に違反していることを認め、再発防止を徹底する旨の告知をおこなった。大阪府の消費生活センターが産経新聞の拡販活動を規制する措置命令を出したのを受けた対応だった。

ちなみに景品表示法は、新聞拡販活動の際に使う景品の上限額を定めた法律である。景品額の上限は6カ月分の新聞購読料の8%である。購読期間が6カ月に満たない場合は、それよりも低額になる。6カ月以上の契約の場合、朝日や読売などの中央紙では、2000円程度が限度額ということになる。

実は、消費生活センターによる今回の措置命令に至る背景には、あるひとつの裁判があった。「押し紙」問題に取り組んできた江上武幸弁護士がかかわった裁判である。江上弁護士は、「新聞購読料請求訴訟とその顛末」と題する報告の中で、その一部終始を述べている。次に掲載するのは、その全文である。版元の『消費者法ニュース』編集部の承諾を得て全文をリンクする。

「新聞購読料請求訴訟とその顛末」(出典:『消費者法ニュース』2019・7)

 

◆民法第90条の公序良俗

この事件は、自転車やビールなど高額な景品と引き換えに10年(5年契約が2回)の新聞購読契約を結んだKさんが、交通事故で重症を負い、そのまま郷里へ戻ったために、新聞代金が未払い状態になったことが発端だった。未払い額は購読契約が終了する時点から逆算して、14万円を超えた。産経はKさんに対して、残金を支払うように求めて簡易裁判を起こしたのである。

これに対してKさんの代理人になった江上弁護士は、購読契約時に産経がKさんに提供した景品の額が景品表示法の規定を超えていることに着目し、民法の公序良俗に違反していることを根拠に、購読契約そのものの無効を主張した。

【注】  第90条(公序良俗):公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

 

周知のように新聞拡販の現場で景品表示法が踏みにじられてきたことは、公然の事実になっている。しかし、新聞業界の商慣行として黙認されてきたのである。

が、産経がKさんに対して起こした裁判の中で、購読契約そのものの無効がはじめて争われたのである。新聞業界の恥部が法の判断を受けることになったのだ。

結末は意外な幕切れだった。江上弁護士が、景品表示法の遵守を新聞業界が自主規制のルールなどを設けることで、厳しく規定している証拠を、さまざまな観点から提示したところ、産経はまったく反論できなくなった。そして判決直前に訴訟を取り下げたのである。Kさんに対する請求も放棄した。勝訴の可能性がなくなったからにほかならない。

産経は、景品表示表違反の判例ができることを回避したのである。おそらくは、判例が生まれれば、新聞業界全体に壊滅的な打撃を与えかねないと判断した結果である。

周知のように日本の新聞社は、「押し紙」と新聞拡販により巨大化してきた。そのために景品表示表の違反判例が生まれると、従来のような拡販そのものが困難になる。
そこで判決を避けたのだ。

しかし、裁判に注目していた大阪府の消費生活センターが、産経新聞に対して措置命令を下したのだ。行政指導であるから、こちらも影響が大きい。

江上弁護士による記事は、この事件の顛末を詳しく書いている。

 

本日発売の『週刊金曜日』、産経新聞の内部資料を暴露、大阪府の広域における「押し紙」

4月21日に投票が行われた統一地方選挙の当日のことである。筆者のもとに2枚の写真がメール送信されてきた。写真に写っていたのは、新聞販売店の店舗に積み上げられた選挙公報である。各候補者の公約を掲載したもので、有権者が投票先を決める際の指標になる情報である・・・・・・

本日発売の『週刊金曜日』に、筆者の「腐敗臭を放つ新聞社の部数獲得策『押し紙』と『景品』」--『産経』では搬入部数の約6割しか配達しない販売店も 」というタイトルの記事が掲載された。

これは産経新聞の内部資料に基づくもので、大阪府の特定の広域における正確な「押し紙」部数を暴露したもの。新聞社の両輪は、「押し紙」と高価景品を使った拡販。その両輪が回転を速めて、坂道をばく進している。

2019年04月29日 (月曜日)

終末期迎えた産経新聞 新聞拡販の景品にテレビ月50台、ニセの購読契約書で350万円の不正…「公序良俗」に背く手口のオンパレード

3月14日、大阪府消費生活センターが産経新聞社に対し、景品表示法違反の疑いで再発防止の措置命令を出した。拡販に使用する景品の上限を定めた「6・8ルール」(6カ月分の購読料の8%、つまり2千円程度)に抵触したためだ。

報道されていないが、この措置命令にいたるプロセスで、実はその販売店が、新聞購読者に対して、新聞代金の未払いを請求する裁判を起こしていることがわかった。

被告にされた購読者が、逆に、産経の景品表示票違反を根拠に新聞購読契約そのものの無効を主張したところ、産経新聞社は反論出来なくなり、裁判を取り下げて“敗北宣言”し、遁走していた。

判決によって新聞拡販にメスが入り、新聞社が壊滅的な打撃を受けることを恐れたとみられる。だが時すでに遅く、景品表示法違反で消費生活センターが動いたわけだ。これで高額商品による違法な拡販も難しくなった産経新聞。別途、3月末に起こされた最新の「押し紙」裁判と、その中で明らかになった350万円にのぼる架空の購読契約をめぐる騙しの手口も併せてレポートする。【続きはMyNewsJapan】

2019年04月04日 (木曜日)

消費者センターが産経新聞販売店に対して措置命令、背景に景品表示法をめぐる訴訟の存在

新聞販売店が新聞購読を勧誘する際に使う高額な景品が、再び社会問題になりはじめている。3月19日付けの『日経新聞』によると、「大阪府は19日、産経新聞社(東京)と府内の系列販売店2店に再発防止と消費者への周知徹底を求める措置命令を出した」という。

電動アシスト自転車など高額景品を提供したのが景品表示法違反に該当するというものである。

これに先立つ2月13日には、大阪府消費生活センターが、府内の販売店による景品表示法違反容疑で、産経新聞大阪本社に立ち入り検査に入っていた。【続きはウェブニュース】

景品表示法違反の疑い、消費者センターが産経新聞大阪本社に立ち入り検査

時事通信の報道によると、14日、大阪府消費生活センターが、産経新聞大阪本社に、景品表示法違反の疑いで立ち入り検査に入った。

産経新聞の販売店が高額な景品で長期契約の勧誘を行っていたのは景品表示法に違反する疑いがあるとして、大阪府消費生活センターが同法に基づき、産経新聞大阪本社(大阪市浪速区)を立ち入り検査していたことが14日、分かった。

関係者によると、大阪府内にある産経新聞の販売店は、高額な景品と引き換えに1人暮らしの高齢者らに長期の新聞購読契約を勧誘。解約を申し出たところ、高額な解約金を求められたとして、府などに苦情が寄せられていたという。

景品表示法は、商品に見合わない高額景品を用いた勧誘を禁じており、これまで府は販売店に改善を指導していた。■出典

 

◆産経販売店からの苦情が相次ぐ

新聞拡販の現場で、勧誘員が高価な景品を使う慣行は昔から問題になってきた。1990年代は、テレビや自転車を景品に長期の購読契約を求める勧誘も横行していた。「新聞屋が、コシヒカリを配っている」といったユーモアな話もあった。

このように日本の新聞社は、景品をばらまいて読者を増やしてきたのである。ジャーナリズムの質を高めることで、読者を増やすという発想に乏しかった。

その後、新聞業界の内部で景品使用を自主規制する動きが生まれた。日販協(日本新聞販売協会)などが、そのイニシアティブを取ったのである。しかし、まったく効果はあがらず、景品表示法で購読料(6か月)の8%に相当する額を景品の上限額として定められる実態となったのだ。それ以前は、景品の使用は禁止されていた。

しかし、法による規制がはじまっても、それが厳守されることはなかった。相変わらず高価な景品が使われた。

変化のきざしが現れたのは、ここ数年である。新聞産業が急激に衰退して、高価な景品をばらまくだけの経費が確保できなくなったのだ。強制勧誘で悪名をはせた新聞拡張団も、ビジネスとして成立しなくなり、解散に追い込まれる団があいついだ。

こうした状況の下で、経営悪化の噂が絶えない産経が高価な景品を使っていたのである。ある意味では驚くべきことだが、景品の経費の大半を販売店が負担させられていたと考えると説明が付く。産経新聞販売店からの苦情は、筆者のところにも数多く寄せられている。

2018年10月26日 (金曜日)

産経新聞の内部資料を入手、大阪府の広域における「押し紙」の実態を暴露、残紙率は28%

産経新聞の「押し紙」を示す新しい内部資料を入手した。「平成28年7月度 カード計画表」と題する資料で、その中に大阪府の寝屋川市、門真市、箕面市、四条畷市など(北摂第3地区)を地盤とする21店における「定数」(搬入部数)と、「実配数」が明記されている。

店名は匿名にした。「定数」(搬入部数)の総計は、4万8899部。これに対して「実配数」は、3万5435部である。差異の1万3464部が残紙である。予備紙として社会通念上認められている若干の部数を除いて、残りは「押し紙」ということになる。残紙率にすると28%である。

理由が不明だが、新聞は搬入されているが、配達していない店もある。赤のマーカーで示した店だ。今後、産経に理由を問い合わせることにする。

この内部資料が外部にもれたのは、販売店を訪問した産経の担当員が店にこの資料を置き忘れたことである。

次に示すのが資料の実物である。

 

2017年07月11日 (火曜日)

いよいよ危ない毎日新聞、ひと月で4万6000部減、試算で年間55万部減、産経は1,2年で倒産の危機、5月のABC部数

2017年5月度のABC部数が明らかになった。それによると、朝日新聞が前年同月比で約32万部の減部数、読売新聞が約20万部の減部数となった。朝日・読売の2大紙の低落傾向にはまったく歯止めがかかっていない。

一方、ゆるやかな没落傾向にあった毎日新聞と産経新聞も、ここひと月で大きく部数を減らしている。前月比で、毎日は約4万6000部を減らし、産経は約7万4000部を減らした。この数字を12倍して1年に試算すると、それぞれ55万2000部の減、88万8000部の減ということになる。両社の経営規模からすれば、極めて深刻な実態といえるだろう。

特に産経は、現在のABC部数が約152万部なので、このペースでいくと1、2年で倒産しかねない。

ABC部数には、「押し紙」が含まれているので、ABC部数の増減が直接的に新聞社の経営実態を反映しているかどうかは、慎重に検証する必要がある。ただ、たとえ減部数分が「押し紙」であったとしても、それを減らさなければ、新聞販売店の経営が成り立たなくなっているわけだから、新聞業界が急激に衰退していることは間違いない。

中央紙の5月のABC部数は次の通りである。(かっこ)内は、対前年比。(前月比ではない。)

朝日  6,216,135(-324,110)
毎日  3,003,814(-58,432)
読売  8,793,554(-198,117)
日経  2,716,083(-7,027)
産経  1,520,941(-46,364)

■全国の新聞のABC部数

◇借金を背負う前に早めの相談を


最近、筆者のもとに新聞販売店からの相談が増えている。「押し紙」で経営が悪化している場合は、借金を累積させて廃業に追い込まれる前に、「押し紙」を断る方が賢明だ。弁護士が介入することで、解決するケースが急激に増えている。「押し紙」裁判に持ち込めば、新聞社サイドが判決を嫌う傾向が生まれている。判例ができると、その影響が甚大になるからだ。

裁判所もこのあたりに配慮しているのか、東京地裁で行われている毎日新聞の「押し紙」裁判は、「弁論準備」を口実にして密室で行われている。憲法では、裁判は公開で行うのが原則なのだが。

当面の対策として販売店は、新聞の商取引に関する書類は全文保管しておくことだろう。それと担当員との会話はすべて録音しておくことが大事だ。

メディア黒書は、もともと「押し紙」問題を告発するためのサイトだったので、今も販売店の相談に応じている。秘密厳守で、もちろん費用はかからない。

■「NO!残紙キャンペーン」も行っている。

相談の電話は、048-464-1413

 

【写真】白石興二郎日本新聞協会会長

 

 

 

2017年04月04日 (火曜日)

産経新聞の「押し紙」データを共産党へ提出、近々に公正取引委員会へも提出

産経新聞の店主から、筆者へ相談が寄せられた。
「押し紙」の受け入れを断ったところ、新聞の搬入部数は減らしてくれたものの、補助金を大幅にカットされた上に、担当員が自宅にまで押しかけてきて、「順路帳」の提出を求めたという。「順路帳」とは、新聞を配達するコースを示した地図である。

「順路帳」の提出は、販売店を強制的に廃業へ追い組む前段である場合が多い。「順路帳」がなければ、既存の販売店をつぶして、別に新しい販売店を設ける際に、読者の把握ができないからだ。そこで新聞社が強制廃業を計画すると、まず最初に「順路帳」の入手を試みる。

それが無理な場合は、新聞配達員を尾行して、新聞の配達先を突き止めたり、新聞協会の職員などを装って、購読紙調査などを行う。こうして新たに「順路帳」を作成してから、強制改廃を断行する。

産経の担当員が、店主の家族に「順路帳」の提出を求めて訪店した際、家族の方が筆者に電話で「SOS」を発信されたので、受話器から高圧的な担当員らしい声が聞こえてきた。その時、筆者はサラ金の取り立てを連想した。

筆者は、「順路帳」の閲覧は許可しても、コピーや持ち帰りは許可しないようにアドバイスした。その後の産経の対応についても、報告を受けているが、ここで公にすることは控える。しかし、記録はすべて残している。それは新聞社の裏面の記録にほかならない。産経を取材した上で公開することになるだろう。

この販売店の「押し紙」のデータは、共産党の国会議員に提出した。また、近々に元日販協理事の青木晃氏と一緒に、公正取引委員会にも提出する予定だ。

公正取引委員会の対応を注目したい。朝日新聞だけを取り締まり、産経新聞は放置するというのは許されない。「押し紙」の排除命令を発令すべきだ。

◇「押し紙」を再定義する動き

従来、「『押し紙』とは、新聞社が販売店に押しつけた証拠のある新聞」とされてきた。しかし、佐賀新聞の販売店訴訟弁護団による特殊指定の研究や、過去の判例研究などにより、この定義が正確ではないことが分かってきた。

新聞特殊指定で定義している「押し紙」とは、端的に言えば、新聞の「注文部数+予備紙」を超えた新聞を意味する。そして注文部数とは、実質的には実配部数のことである。それに予備紙を加えた部数が、「正常な販売店経営に必要な部数」であり、これを超えた部数は、押し売りの証拠があろうとなかろうと、すべて機械的に「押し紙」と定義される。

このあたりの説明は複雑なので、詳細については、5月に発売予定の筆者の新刊を参考にしてほしい。

 情報提供の窓口:048-464-1413