1. 産経「押し紙」裁判にみる野村武範裁判長の不自然な履歴と人事異動、東京高裁にわずか40日

「押し紙」の実態に関連する記事

産経「押し紙」裁判にみる野村武範裁判長の不自然な履歴と人事異動、東京高裁にわずか40日

昨年12月に判決が下された産経「押し紙」裁判(東京地裁)で、原告の販売店を敗訴させた野村武範裁判長の履歴が不自然だ。次のようになっている。

R 2. 5.11 東京地裁判事・東京簡裁判事
R 2. 4. 1 東京高裁判事・東京簡裁判事
H29. 4. 1 名古屋地裁判事・名古屋簡裁判事

■出典

名古屋地裁から東京高裁へ異動したのは、2020年4月1日。そのわずか40日後に、野村判事は東京地裁は異動して、産経「押し紙」裁判の裁判長に就任した。

野村判事は、東京高裁での40日の間に具体的にどのような仕事をして、何を理由に最高事務総局により異動させられたのか、今後の解明が必要だ。不自然な人事異動の事実を前に、「報告事件」の疑惑が浮上している。

少なくとも司法ジャーナリズムの観点からすれば、検証が必要だ。判決の結果を垂れ流すだけが、司法ジャーナリズムではないだろう。

ちなみに新聞社が被告となった事件では、過去にも不自然な事例がある。携帯電話の基地局撤去をめぐる事件でも、類似したケースがある。前者は国家によるメディアコントロールの問題と、後者も国家による電波政策の問題とかかわりを持っている。

◆◆
「報告事件」というのは、最高裁事務総局が判決の方向性を決める事件のことである。その具体的な手口は、裁判官の人事異動である。たとえばある事件で被告企業A社が敗訴する公算が強くなったにもかかわらず、最高裁事務総局がA社を勝訴させたい意向を持っている場合、事件の担当裁判官を交代させることで、判決の方向性を変えると言われている。国策がからんだ裁判に多いようだ。

事件を担当する書記官が、最高裁事務総局に審理の内容を「報告」することから、「報告事件」と呼ばれている。大阪高裁の元判事・生田輝男弁護士らが「報告事件」を問題にしてきた。このような最高裁事務総局による「操作」が事実であれば、司法界の一大汚点である。裁判そのものがペテンということになる。司法ジャーナリズムは、この点を検証しなければならない。

◆◆
産経「押し紙」裁判は、東京地裁が舞台になった。事件の担当裁判長は、複数回にわたって産経に対し、解決金を支払って和解するように提言した。そのための期日も設けた。これは判決になった場合は、産経が敗訴する可能性を示唆している。原告を敗訴させる方針であれば、わざわざ和解を提案しなくても、判決で請求を棄却させればそれですむことだからだ。

ところがコロナウィルスの感染拡大で、東京地裁が半ば閉鎖されている時期に、この事件の裁判長が交代になった。新裁判長は、野村武範判事だった。野村判事は裁判が再開されると、早々に裁判を結審して原告を完全敗訴させた。

◆◆
以下、再検証のための基礎資料を紹介しておこう。

■判決文(全文)

 

【参考記事】野村武範裁判長が執筆した判決文にみる論理の破綻、「押し紙」は認定するが賠償は認めない、産経新聞「押し紙」裁判の解説、判決全文を公開