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2020年11月09日 (月曜日)

「政治判断」の有無、12月1日の産経新聞「押し紙」裁判、もう一つの注目点

既報したように12月1日に東京地裁は、産経新聞の元販売店主が起こした「押し紙」 裁判の判決を下す。改めていうまでもなく最大の関心事は、判決の行方であるが、それと平行して、注目されているのは、司法による「政治判断」の有無である。

昔から新聞社がらみの裁判において裁判所は、新聞社に圧倒的に優位な判決を下す傾向がある。新聞社販売局の担当者の中には、店主に向かって、「あんらた裁判しても絶対に勝てないよ」と豪語している者もいる。

◆◆
新聞社による「押し紙」が公式に認定されたのは、2007年に最高裁で判決が確定した真村訴訟(原告:真村さん、被告:読売新聞)においてである。

真村裁判・福岡高裁判決

本来であれば裁判所は、この判例に基づいて、「押し紙」問題を解決する方向性を判決に反映させるべきだが、実態は必ずしもそうはなっていない。真村訴訟の後、裁判所が「押し紙」を認定したケースは、2011年の山陽新聞(岡山地裁)、2020年の佐賀新聞(佐賀地裁)の2件に過ぎない。後者については、独禁法違反を認定した。

とはいえ2010年ごろから、「押し紙」裁判を和解で解決する流れは顕著になっている。新聞社が解決金を支払って、事件を解決するパターンである。たとえば、毎日新聞のケース(原告は、前出の元店主)では、解決金の額が推定3500万円になった。

なぜ、和解解決なのか?

わたしの推測になるが、権力構造に組み込まれている新聞社の「押し紙」政策を認定する判決を書くことを、裁判官が嫌がるからである。その結果、和解の提案、解決金の支払いという流れになる。

たとえば毎日新聞・関町販売店(東京・練馬区)の裁判で、双方が和解することが決まった時、最も喜んだのは、裁判所長だった。この裁判は、非公開(弁論準備のかたち)のかたちで行われた。

(ただし、わたしは傍聴が許可された。)

なぜ、非公開になったのか?

裁判官が新聞社に配慮したことが原因としか考えられない。

なぜ、裁判所が新聞社の顔色を気にするのか?

その理由はわたしにも分からない。勘ぐれば、新聞社が権力構造の一部であることを、裁判官も感覚的に把握していることが原因かも知れない。そこへメスを入れることは、大変なリスクを伴うのだ。

ちなみに公正取引委員会も「押し紙」を放置して来た。さまざまな理由をつけて、「押し紙」を放置している。これも不思議な現象である。

◆◆
12月1日に判決が下される産経新聞の裁判は、販売店の完全勝訴というのが客観的なわたしの見方である、事実、裁判官は、産経新聞に対して繰り返し和解を提案した。

裁判所が和解を提案するということは、新聞社に幾らかの損害賠償金を支払うように命じる方向性を持っていることを意味する。すなわち「押し紙」の存在を認定することが意中にあるのだ。販売店からの損害賠償請求を1円も認めないのであれば、わざわざ和解を提案するまでもなく、販売店を敗訴させる判決を下せばそれで済む話であるからだ。

◆◆
この裁判の「疑惑」は、結審の直前の5月、コロナウィルスの感染拡大で東京地裁が閉鎖されている間に、3人の裁判官のうち2人が交代したことである。不自然な動きだ。判決の直前に裁判官が交代に立った場合、「押し紙」裁判に限らず、裁判の流れが変わることがよくある。

たとえば滋賀医科大事件の大津地裁判決である。この裁判では、国立大学の在り方が問われていた。NTTドコモを被告とする三潴裁判の福岡地裁判決である。この裁判では、国の電波政策が問われた。

わたし自身は、対読売裁判で地裁、高裁と勝訴して、最高裁で逆転敗訴した体験がある。最高裁は、見解を示したにしても、わたしにしてみれば不自然なことである。読売のために、最高裁がわざわざ口頭弁論を開いて、判決を東京高裁へ差し戻したのである。

12月1日の判決は、勝敗だけではなく、司法における政治判断の有無も注目されている。かりに裁判所が販売店を敗訴させるとすれば、どのような理論構成の判決が下されるのか、特にネットメディアの注目が集まっている。

2020年10月08日 (木曜日)

12月1日に産経「押し紙」裁判の判決、裁判官の交代で判決の方向性が変わる可能性も

「押し紙」裁判が多発しているなか、東京地裁は、12月1日に、産経新聞の「押し紙」裁判の判決を下す。既報してきたように、この裁判を起こしたのは、千葉県内の元販売店主である。請求額は、約2600万円。

この元店主は、毎日新聞や産経新聞、それに東京新聞などを配達していた。このうち毎日新聞に対して起こした「押し紙」裁判では、元店主が和解勝訴した。推定の和解金額は3500万円である。この和解勝訴を受けて、元店主は新たに産経新聞に対する損害賠償裁判を起こしたのである。

 ■訴状全文

わたしは2018年7月の提訴当時から、この事件を取材しているが、販売店の勝訴が確実視されていた。事実、裁判所は和解を提案し、産経側に一定の和解金を支払うように求めた経緯がある。

しかし、産経は和解に応じなかった。元店主も和解金よりも判決を希望した。その結果、裁判所が判決を下すことになったのである。従って常識的に考えれば、元店主が勝訴する可能性が高い。

ところが尋問が終了して結審直前になった段階で、コロナウィルス感染拡大の影響により、東京地裁は裁判所を閉鎖した。これが3月だった。この時点で原告は、結審したという認識だった。

ところが5月になって、わたしが裁判所に判決日を問い合わせたところ、裁判官が交代したことが分かったのだ。異動になったのは、裁判長と右陪席。それに代わって新しく野村武範裁判官と石神有吾裁判官が就任した。左陪席は交代しなかった。

裁判が結審する直前、あるいは結審した後に裁判官が交代した場合、判決の方向性が変わることがままある。

産経新聞の「押し紙」裁判は、このようなケースに該当する。従って、原告の販売店が敗訴する可能性も少なからずある。

とはいえ、判資料はすべて閲覧が可能なので、裁判所が公正な判断を下したか否かの検証は容易だ。

仮に産経新聞が敗訴した場合は、産経新聞が中央紙であることを考慮すると、「押し紙」問題に一気にメスが入る事態も起こりうる。新聞業界全体に影響が及ぶ。

12月1日の判決は見逃せない。

2020年09月03日 (木曜日)

9月8日に結審の予定、産経新聞の「押し紙」裁判、東京地裁

千葉県内の元販売店主が起こした「押し紙」裁判(東京地裁)が9月8日に結審する。この裁判は、既報したように本人尋問と証人尋問が終わった後、裁判所が産経新聞に対して和解を勧告していたが決裂。そのまま結審の予定になっていたが、コロナウィールスの感染拡大で裁判所が閉鎖され、日程も未定になっていた。

6か月の空白があり、その間に3人の裁判官のうち2人が異動になった。

原告の元・店主は、産経新聞のほかに毎日新聞と東京新聞も配達していた。毎日新聞については既に損害賠償(結審直前の和解で、推定3500万円)を勝ち取っていた。産経新聞に対する裁判提起は、毎日新聞の和解勝訴を受けて行われたのである。

毎日新聞に関していえば、わたしが取材した東京地裁と大阪地裁の裁判は、すべて販売店側の和解勝訴で終わっている。

◆◆
「押し紙」裁判は、数年前から和解というかたちであるが、販売店勝訴の流れが出来ているので、販売店はどんどん訴訟を提起するのが得策だ。特に販売店が集団で訴訟を起こしたケースでは、わたしが知る限り、和解というかたちですべて販売店が勝訴している。販売店が「泣き寝入り」する時代は終わっている。

現在の日本新聞協会会長は、読売新聞社の山口 寿一社長である。山口会長は、増え続ける「押し紙」裁判や、深刻になる残紙問題をどう考えているのだろうか。同時代の重要なテーマである。

日本新聞協会に対する責任追及も今後の課題になる。

2020年07月22日 (水曜日)

 産経「押し紙」裁判の不自然な流れ、原告はすでに3月に結審していたと認識、「報告事件」の可能性を探る①

産経新聞の「押し紙」裁判のプロセスがおかしい。この裁判は、千葉県内の元新聞販売店主・Aさんが、「押し紙」による損害賠償を求めて、2018年に起こしたものである。裁判は、3月10日に本人尋問と証人尋問が行われた。

ほとんどが弁論準備(非公開)のかたちで開かれたので、裁判の進行を把握するためには、裁判資料の閲覧と当事者から直接話を聞くいがいに方法はなかった。わたしはAさんサイドから、裁判所が和解を勧めている旨を何度も聞いた。しかし、Aさんは、額が少ないことを理由に、和解を拒否してきた。1000万円以下では応じないと。

3月10日に、尋問で裁判は山場を越えた。裁判官は、産経に対してみたび和解を提案した。産経はこれを拒否した。しかし、それでも和解協議のための日程を設定した。

Aさんによると、この日も産経は和解を拒否した。Aさんも応じなかった。そこで裁判長は、判決を書くことを伝えた。これは実質的には裁判が結審したことを意味する。手続き論でいえば、別かも知れないが。Aさんサイドもそんなふうに認識していた。

その後、コロナウィルスの影響で東京地裁が閉鎖された。緊急事態宣言が解かれたあと、裁判所は業務を再開したが、産経「押し紙」裁判の日程は未定のままだ。

わたしは、最高裁事務総局がこの裁判を「報告事件」に指定したのではないかと疑いはじめた。そこで7月21日に、東京地裁に事情を問い合わせた。すると5月に裁判長と右陪席が異動になっていたことが判明したのである。

3月に裁判の審理が終わったわけだから、5月にはほぼ判決の骨子は出来ていたと推測される。が、まったく別の裁判官がこの事件を担当したのだ。再び口頭弁論が開かれるようだが、未だに期日が決まらない状態が続いている。

こうした流れからすると、裁判所は産経を勝訴させる判決が下される可能性が高い。新聞業界と裁判所は、どんな関係になっているのだろうか?通常、和解勧告を繰り返したということは、産経に賠償責任があると判断してことを意味する。Aさんを敗訴させるのであれば、金銭交渉させる必要はないからだ。

しかし、ジャーナリズムの検証はこれから10年ぐらい続くので、何が真実なのかはいずれ判明するだろう。

 

【参考記事】前立腺がん患者をモルモットに、「疑惑の判決」、滋賀医科大付属病院事件の総括

 【参考記事】裁判官の不可解な人事異動-木村元昭・田中哲朗の両氏、対読売の真村裁判・平山裁判・黒薮裁判で

2020年07月21日 (火曜日)

産経新聞「押し紙」裁判、実は結審していなかった、5月に裁判長と右陪席が不自然な人事異動、「報告事件」を懸念する声も、

3月に結審したはずの産経新聞の「押し紙」裁判(東京地裁)で、5月に裁判官が交代していたことが分かった。異動になったのは、裁判長と右陪席。それに代わって新しいく野村武範裁判官石神有吾裁判官が就任した。左陪席は交代しなかった。現時点で、だれが裁判長に就任するかは未定。

わたしが本日、東京地裁の民事48部に確認したところ、この裁判はまだ結審していないとの説明があった。しかし、3月に尋問が行われた後、裁判長が被告と原告に和解を勧告しており、和解が成立しなかった場合は、判決を下すと方向性を示していた。

ちなみに裁判所が和解を勧告したということは事実上、被告・産経に何らかのかたちで賠償を命じる方向性を持っていることを意味する。原告を敗訴させるのであれば、和解勧告はしないからだ。つまり原告の勝訴が濃厚になっていたのだ。

裁判の終盤に裁判官が交代になり、奇妙な判決が下された例は数え切れない。典型例としては、裁判が結審した後、裁判官2名が交代した滋賀医大病院事件の判決である。

【参考記事前立腺がん患者をモルモットに、「疑惑の判決」、滋賀医科大付属病院事件の総括

不自然な裁判官の人事異動があったことからして、販売店側が敗訴する可能性が生まれてきた。「報告事件」に指定されたのではないかとの懸念も販売店サイドに広がっている。

判決までに、産経関連の裁判資料を公開して、ジャーナリズムの視点から裁判の検証を進める必要があるだろう。

2020年07月10日 (金曜日)

なぜか判決の日程が決まらない産経新聞「押し紙」裁判、「報告事件に指定されたのでは?」、販売店サイドからは懸念の声も

千葉県の販売店主が産経新聞社に対して起こした「押し紙」裁判の日程が決まらない。3月10日に4人の関係者の尋問が行われて裁判は結審した。その後、裁判所が和解を勧告したが、産経新聞がこれを拒否した。

裁判所が和解を勧告したということは、産経新聞社に損害賠償を命じることが前提になっている。原告を敗訴させるのであれば、和解勧告はしない。当然、原告が勝訴する可能性が高い。少なくとも裁判官は、原告を勝訴させる方向性である。

しかし、不思議なことに肝心の判決の日程が決まらない。原告を取材したところ裁判所からは何の連絡もないらしい。確かにコロナウィルスの感染拡大で、東京地裁が全法廷を休みにしたこともあるが、緊急事態宣言が解除された後も、判決日について何の連絡もない。「報告事件」に指定された可能性も皆無ではないだろう。

「報告事件」とは、最高裁事務総局の政治的判断で、判決が決まるペテン裁判である。

産経新聞が敗訴した場合、一気に「押し紙」問題にメスが入る可能性があるので、新聞関係者が焦っているという話はあちこちから伝わってくる。裁判所がそれに配慮して、判決内容を決めかねているのかも知れない。

◆◆
「押し紙」問題の裁判は、これまでたびたび起こされてきたが、最近は和解で解決する傾向が現れている。和解であるから、新聞社が損害賠償金を支払うのだ。判決により判例ができると、新聞業界全体へ及ぼす影響が大きいことも、その要因である。

和解で解決した例で、もっとも和解金額が高額だったのは、千葉県の店主に対して毎日新聞が支払った約3500万円である。ただ、この金額は、あくまでわたしの推定である。

この販売店には、大量の「押し紙」があった。新聞折り込みで配布されていた市の広報紙も大量に廃棄されていた。販売店を開業した時点から、「押し紙」があり、不信感をいだいた店主が、取り引きの詳細を記録していたことが、和解勝訴した原因にほかならない。

◆◆◆
産経新聞の「押し紙」裁判でどのような判決が下されるのかは不明だが、結果がどうであれ、新聞業界はすでに「危篤」の状態になっている。折込チラシが激減して、「押し紙」による損害を、折込手数料で相殺できなくなっているのだ。その結果、「押し紙」の整理が行われ、ABC部数が恐ろしい勢いで減っている。

販売店にとっては、「押し紙」裁判を起こす時期である。損害を取り返す時である。販売店が集団で裁判を起こすことが大事だ。裁判所が新聞社に配慮した判決を下す傾向があるとはいえ、集団訴訟になれば、圧倒的に販売店が有利になる。北國新聞、琉球新報、南日本新聞など、販売店が結束したケースでは、すべて和解解決している。

2020年06月20日 (土曜日)

産経新聞の「押し紙」裁判が「報告事件」に変質する可能性

コロナウィルスによる緊急事態宣言の影響で産経新聞の「押し紙」裁判(東京地裁)の日程が今だに決まらない。原告の親族に近況を問い合わせたところ、緊急事態宣言が解除された後も、裁判所からは何の連絡もないそうだ。

この裁判では、裁判所が何度か和解を勧告した。と、いうことは裁判所が産経に何らかの賠償責任があると判断している可能性が高い。そもそも原告の請求を棄却する方向性であれば、最初から和解勧告などしないからだ。

つまりこのまま判決が下れば、産経新聞の「押し紙」政策が認定される公算が高い。 佐賀地裁が佐賀新聞の独禁法違反を認定したのに続いて、新聞業界は2重の打撃を受けることになる。いよいよ新聞の崩壊現象がビジュアルに浮上してくる。【続きはウエブマガジン】

2020年03月26日 (木曜日)

産経新聞が傘下のサンケイアイぐるみで折込広告チラシの水増し詐欺――新聞463部の店に折込チラシ1020枚ずつ割り当て

新聞の契約が463部しかない販売店に、卸部数を1020部に設定して買い取らせ、折込広告の割り当て枚数も1020枚ずつに設定して広告主を騙していた事実が、産経新聞を被告とする「押し紙」裁判の中で判明した。

同規模の水増しは約2年間に渡って行われた。広告代理店は産経新聞社の元常務が会長を務めるサンケイアイ。折込広告枚数が減少傾向のなか、販売店側は部数を偽装しないほうが利益が増えるため押し紙を受け入れる動機はなく、産経グループによる組織的な詐欺の疑いが強い。

過去4年分のデータでは、販売店が「押し紙(配達されず廃棄される部数)」で被った損害が約2017万円である一方、折込広告の水増しで得た広告料は1900万円。部数偽装で広告主を騙し、販売店経由でその水増し収入を丸ごと卸代金として吸い上げる――そんな産経の犯罪的なビジネスモデルが輪郭を現した。(訴状はダウンロード可)【続きはMy News Japan】

2020年03月11日 (水曜日)

産経新聞の「押し紙」裁判、裁判所が和解勧告、販売店の敗訴はなくなったが?

産経新聞の「押し紙」裁判の尋問が10日に行われ、約30名が傍聴した。広告代理店サンケイアイの社員、被告会社から2名、それに原告の4人が法廷に立った。尋問が終了した後、裁判長は和解を勧告した。

この裁判の詳細については長文になるので、後日、マイニュースジャパンで報告する。未公開資料を基に新聞社のビジネスモデル(利益をあげる仕組み〈からくり〉)の解明も行う。

◆和解勧告
このところの「押し紙」裁判では、新聞販売店が和解で勝訴することが増えている。なぜか尋問が終わった時点で、裁判官が和解を勧告するのだ。今回も予想していた通りだった。

和解勧告が行われるのは、販売店側の言い分に利があるものの、裁判官が判決を書くのを嫌がっているからだ。「押し紙」認定の判例を作る勇気がないのだ。と、いうのも新聞社は日本の権力構造の歯車のひとつであるから、そこにメスを入れることは、日本社会の仕組みを破綻させる「リスク」があるからだ。それを誘発する判決を下すだけの勇気がないのだ。

その結果、政治的判断が判決を左右する。三権分立が形骸化している。

とはいえ「押し紙」裁判で、少なくとも新聞販売店が敗訴しなくなったのは大きな進歩だ。

2020年03月07日 (土曜日)

折込広告の水増し詐欺と首謀者を問う産経「押し紙」裁判、10日に尋問、サンケイアイの社員が出廷

産経新聞の「押し紙」裁判が、最大の山場をむかえる。3月10日の10時30分から16時30分の予定で、東京地裁は4人の関係者に対して尋問を行う。この中で最も注目されるのは、午後から出廷する株式会社サンケイアイの社員の証言である。

株式会社サンケイアイは産経新聞の同族会社で、折込広告の営業や搬入などの業務を行っている。この裁判では、折込広告の水増し行為が問題になっており、サンケイアイの社員が新聞販売店に残紙があることを知った上で、広告主に対して営業していたかどうかがひとつの争点になっている。

従来、広告代理店のスタンスは、残紙の状況は知る立場にはないというものである。過去の裁判判例では、それが認められ、「折込詐欺」の認定を免れている。

しかし、今回の産経新聞「押し紙」裁判では、販売店側が「詐欺」の新証拠をかなり掴んでいるようだ。サンケイアイの社員がどう抗弁するかが注目される。広告主にとって注目の尋問だ。

日時:3月10日 10:30分~16:30分

場所:東京地方裁判所 806号法廷

出廷するのは、原告の元店主と2人の産経新聞社員、それに産経の広告代理店である株式会社サンケイアイの社員の4人である。誰でも傍聴できる。

※冒頭の写真は本文とは関係ありません。

2020年02月26日 (水曜日)

産経の「押し紙」裁判、3月10日に尋問、はじめて問われる折込チラシの水増し詐欺の特殊手口「4・10増減」、産経系の広告代理店の社員に出廷要請

千葉県内で新聞販売店を経営していた元店主が、産経新聞社に対して起こした「押し紙」裁判の尋問が3月10日に東京地裁の806号法廷で開かれる。尋問は10時30分にはじまり、途中、昼休みを挟んで午後4時半まで続く。だれでも自由に傍聴できる。

日時:3月10日 10:30分~16:30分

場所:東京地方裁判所 806号法廷

出廷するのは、原告の元店主と2人の産経新聞社員、それに産経の広告代理店である株式会社サンケイアイの社員の4人である。

このうち株式会社サンケイアイの社員の尋問は、原告の申し立てを受けて、裁判長が積極的に認めたものである。裁判長みずからが、事情を知りたいと希望している。

この裁判では、産経新聞社が折込チラシの水増し詐欺の責任を問われており、広告代理店の社員が出廷する異例の事態になった。もちろん、広告代理店の社員が「押し紙」裁判の法廷に立つのは初めてだ。初出場である。

裁判の中で、産経が「4・10(よん・じゅう)増減」と呼ばれる販売政策を敷いていたことが判明した。これは4月と10月に、「押し紙」を増やす手口である。なぜ、4月と10月なのか。この月のABC部数が、半年にわたる折込定数(販売店に割り当てる折込広告の枚数)を決める際の基礎資料となるからだ。

たとえば3月のABC部数が100万部と仮定する。そこで4月に「押し紙」を増やして120万部にする。しかし、5月になると、また100万部に戻す。戻すのは、販売店の負担を軽減するためだ。

こうした20万部分の折込チラシを騙し取る。

10月も同じ手口で、ABC部数をかさ上げして、折込定数を増やしている。「押し紙」が詐欺の一環になっているのだ。

新聞人らがこのような制度を立案し、構築していたことが、産経の「押し紙」裁判の中で判明したのだ。サンケイアイの社員が、この問題で追及されることは間違いない。

わたしが調べた限り、他にも同じ手口を採用している新聞社が複数ある。

ちなみに「4・10増減」に見られるように、新聞社が決めた「注文部数」、あるいは「目標部数」を販売店に発注させる行為は独禁法違反である。

原告が経営していた販売店の「押し紙」の実態は次の通りだ。

産経の「押し紙」

 

■産経関連の全記事

2019年12月23日 (月曜日)

大阪府の消費生活センターが産経新聞に続き毎日新聞にも措置命令を下す、予想される朝日新聞と読売新聞の読者争奪戦

大阪府の消費生活センターは、12月10日、毎日新聞の販売店を経営する中野宅視氏に対して、吉村洋文知事の名前で景品表示法に基づく措置命令を下した。景品表示法とは、新聞の拡販活動の際に販売店が購読契約者に提供する景品類に制限を課す法律である。景品価値を金銭に換算したときに6ヶ月分の新聞購読料の8%が最高限度額となる。したがって毎日新聞の場合は1937円が上限で、それを超えると景品表示法に違反したことになる。

中野氏は、大阪府内で3店の毎日新聞販売店を経営している。消費生活センターが措置命令を下したことで、今後、1937円を超える景品を使った新聞拡販活動ができなくなった。

措置命令は次のように違反の事実を認定している。

本件販売店は、一般消費者との毎日新聞の購読契約の締結に際し、クレジットカード会社が発行するギフトカードや、スーパーマーケットが発行するお買物券などの商品券(額面3千円から1万円)を提供していたほか、スポーツ紙の無料提供や毎日新聞の購読料の割引、毎日新聞の購読料を無料とする月の設定などを行っていた。

◆3月には産経新聞販売店に対して措置命令

実は今年3月にも大阪府の消費生活センターが新聞販売店に対して措置命令を下した。対象としたのは産経新聞の3店である。これについての参考記事も紹介しておこう。

終末期迎えた産経新聞 新聞拡販の景品にテレビ月50台、ニセの購読契約書で350万円の不正…「公序良俗」に背く手口のオンパレード

江上武幸弁護士が、産経新聞による景品表示表違反事件の顛末を『消費者法ニュース』でレポート、産経新聞が訴訟を取り下げた深刻な理由

◆何が日本の新聞社を巨大化させたのか?

改めていうまでもなく、日本の新聞社が世界に類を見ないほど巨大化した背景には高価景品を使った新聞拡販活動があった。 新聞拡販活動と「押し紙」政策が車の両輪として噛み合い、新聞を売り物にしたジャーナリズム企業を急成長させたのだ。

残念ながら欧米の新聞社のようにジャーナリズムの質を高める努力をすることでメディアとしての影響力とステータスを得たのではない。企業の柱は新聞販売であってジャーナリズムは枝葉末節に過ぎない。これが紛れもない事実である。

産経新聞の販売店に続いて毎日新聞の販売店にも消費生活センターのメスが入った事実は、従来の新聞のビジネスモデルに公権力が疑義を唱え始めたことを意味する。新聞がいよいよ崩壊する前兆と考えるべきだろう。少なくとも近々に大きな変化が起きるだろう。

ちなみに読者の中には、なぜ消費生活センターも公正取引委員会もこれまで景品表示表違反を摘発しなかったのかという疑問も残る。高価な景品を使った新聞拡販は、産経新聞と毎日新聞だけではなかったはずだ。ビール券や洗剤の大量提供と引き替えに新聞の購読契約を取り付けるのが、新聞業界の慣行となってきたことは周知の事実である。

景品表示表違反を黙認してきた。

今回、産経新聞と毎日新聞が処置命令を受けたことで、朝日新聞と読売新聞は逆に拡販活動に拍車がかかるのではないか。産経新聞と毎日新聞が新聞社の「任務」を終えたあとに予想される朝日新聞と読売新聞による読者争奪戦に消費生活センターが「審判」として介入するかどうかにも注目すべきだろう。

裁判所が折込チラシの水増し詐欺に強い関心を示す、折込広告会社のサンケイアイの社員が出廷へ 、産経の「押し紙」裁判

産経新聞の元店主が、産経本社を相手に起こしている「押し紙」裁判(東京地裁)の尋問が(2020年)3月10日に開かれ、証人として折込広告会社の(株)サンケイアイの社員が出廷することになった。裁判所が折込チラシの水増し行為にメスを入れる可能性が高い。

この裁判で原告の元店主は、折込チラシの水増し詐欺をしていたことを認めた上で、その責任は産経本社にあると主張している。裁判所に対して、サンケイアイの社員の証人申請を申してたところ裁判長も、

「裁判所としても確かめたいことがある」

と、言って申請を認めたという。

折込チラシの水増し問題が、法廷に持ち込まれ新聞社の社員が尋問されたケースは、佐賀新聞の例など過去にもあるが、折込広告会社の社員本人が法廷で直接尋問されたケースはない。その意味で、3月10日の尋問で、「押し紙」問題は新しい段階に入るとみて間違いない。


メディア黒書でも繰り返し報じてきたように、「押し紙」問題は、あくまでも新聞業界内部の問題である。それゆえに新聞業界では周知の事実になっていても、業界外では、深刻な問題であるにしては認知度が低い。

ところが「押し紙」問題に折込チラシの水増し問題が絡んでくると、折込チラシのスポンサーを巻き込むので、業界内部の問題として処理することができない。問題が拡散する。その意味では、折込チラシの水増し詐欺の告発という元店主の戦略は合理的だ。

とりわけ新聞業界が消費税の軽減税率の適用を受け始めた時期だけに、新聞社の実態を再検証し、この優遇措置適用について考える格好の機会となる。

現在、メディア黒書は、折込チラシの水増し詐欺を徹底取材している。情報提供は次の窓口までお願いしたい。

【情報提供の窓口】
電話:048-464-1413
メール:xxmwg240@ybb.ne.jp

 

【参考記事】崩壊する新聞、朝日・読売が年間で約40万部減、『広報えどがわ』の水増し問題にはサンケイ広伸社が関与、選挙公報も大幅に水増