1. 12月1日に産経「押し紙」裁判の判決、裁判官の交代で判決の方向性が変わる可能性も

「押し紙」の実態に関連する記事

2020年10月08日 (木曜日)

12月1日に産経「押し紙」裁判の判決、裁判官の交代で判決の方向性が変わる可能性も

「押し紙」裁判が多発しているなか、東京地裁は、12月1日に、産経新聞の「押し紙」裁判の判決を下す。既報してきたように、この裁判を起こしたのは、千葉県内の元販売店主である。請求額は、約2600万円。

この元店主は、毎日新聞や産経新聞、それに東京新聞などを配達していた。このうち毎日新聞に対して起こした「押し紙」裁判では、元店主が和解勝訴した。推定の和解金額は3500万円である。この和解勝訴を受けて、元店主は新たに産経新聞に対する損害賠償裁判を起こしたのである。

 ■訴状全文

わたしは2018年7月の提訴当時から、この事件を取材しているが、販売店の勝訴が確実視されていた。事実、裁判所は和解を提案し、産経側に一定の和解金を支払うように求めた経緯がある。

しかし、産経は和解に応じなかった。元店主も和解金よりも判決を希望した。その結果、裁判所が判決を下すことになったのである。従って常識的に考えれば、元店主が勝訴する可能性が高い。

ところが尋問が終了して結審直前になった段階で、コロナウィルス感染拡大の影響により、東京地裁は裁判所を閉鎖した。これが3月だった。この時点で原告は、結審したという認識だった。

ところが5月になって、わたしが裁判所に判決日を問い合わせたところ、裁判官が交代したことが分かったのだ。異動になったのは、裁判長と右陪席。それに代わって新しく野村武範裁判官と石神有吾裁判官が就任した。左陪席は交代しなかった。

裁判が結審する直前、あるいは結審した後に裁判官が交代した場合、判決の方向性が変わることがままある。

産経新聞の「押し紙」裁判は、このようなケースに該当する。従って、原告の販売店が敗訴する可能性も少なからずある。

とはいえ、判資料はすべて閲覧が可能なので、裁判所が公正な判断を下したか否かの検証は容易だ。

仮に産経新聞が敗訴した場合は、産経新聞が中央紙であることを考慮すると、「押し紙」問題に一気にメスが入る事態も起こりうる。新聞業界全体に影響が及ぶ。

12月1日の判決は見逃せない。