2021年05月21日 (金曜日)
新聞通信調査会の世論調査、新聞が最も信頼できるメディアに
日本新聞販売協会(日販協)が発行する『日販協月報』(2021年3月)が「新聞の信頼度はトップ」と題する記事を掲載している。これは新聞通信調査会の調査で判明したものである。『日販協月報』は、次のように調査結果を伝えている。
新聞通信調査会は1月23日、「第13回メディアに関する全国世論調査」の結果を発表した。各メディアの情報を「全面的に信頼している」場合は100点、「全く信頼していない」場合は0点、「普通」の場合は50点として点数をつけてもらったところ、「新聞」は69.3点と前回調査より0.3上昇し、昨年に続きトップを維持した。
2021年02月09日 (火曜日)
森喜朗の失言問題、炎上現象の背景に潜んでいる日本社会の危険な側面、世論誘導は自覚できない
さながら「一億総決起」、スタンピード現象である。
森喜朗(東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長)の女性差別をめぐる失言の後、メディアで炎上現象が起きている。新聞・テレビが執拗に報じるだけでなく、ワイドショーもツィッターも森バッシングで溢れている。
坂本龍一(ミュージシャン)や為末大(元陸上競技選手)といった著名人も、森批判の姿勢を表明している。おそらくこれは、メディアからコメントを求められた末の態度表明ではないか。
2020年12月05日 (土曜日)
前最高裁事務総局長の今崎幸彦氏と元読売新聞論説委員の桝井成夫氏、新聞人と裁判官の関係はどうあるべきなのか?
10年ほど前から注視しているテーマのひとつに、新聞社と裁判所の関係がある。両者は、特別な関係にあるのか、それとも独立した関係にあるのかというテーマである。かりに事件や人を裁くただならぬ特権を付与された裁判官が、特定の組織や個人と特別な関係を持った場合、人脈が幅を利かせている日本社会では、裁判の公平性が保てなくなる可能性が高い。それゆえにわたしは、これを重大なテーマと考えたのである。
2009年2月、読売新聞がわたしを名誉毀損で提訴した。メディア黒書の記事で社会的な評価を低下させられたという理由で2200万円の「金銭」を請求してきたのだ。読売の代理人として登場したのは、喜田村洋一・自由人権協会理事だった。
◆◆
この裁判で筆者と弁護団は、第1審のさいたま地裁、第2審の東京高裁で勝訴した。いずれの裁判所も読売の請求を棄却したのである。しかし、読売は最高裁に上告(厳密には、判例を根拠とした上告受理申立て)した。【続きはウエブマガジン】
2020年11月20日 (金曜日)
5Gの時代、隠されているマイクロ波のリスク、電話会社の常套句、「総務省の基準を守って操業しますから絶対に安全です」
環境問題でいう規制値とは、環境に放出される汚染物の許容範囲を定めた数値である。それは通常、総務省が設定する。無線通信で使うマイクロ波の場合、1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・センチメートル)が、規制値である。
規制値が1000μW/c㎡ と言っても、ほとんどの人は、どの程度の許容範囲なのかをイメージすることができない。結論を先に言えば、この数値では、規制になっていない。
許容範囲の程度をメージ化するためには、他の地域における規制値と比較することが有効だ。
たとえば欧州機構が定めているマイクロ波の規制値(勧告値)は、0.1μW/c㎡ である。近い将来には、この数値を、0.01μW/c㎡ へ引き上げると言われている。
2020年11月07日 (土曜日)
【報道検証】米国大統領選後の混乱と、トランプ政権の対ラテンアメリカ政策-市民運動の悪用
はからずも米国大統領選で、トランプ大統領が引き起こした「不正選挙」をめぐる混乱を通じて、トランプ政権がこれまでラテンアメリカに対して採用してきた対外政策が輪郭を現してきた。
ラテンアメリカに関する日本の新聞報道は、米国のFOXニュースのレベルである。キューバのPrensa LatinaやベネズエラのTelSurの報道内容とは、対極にある。ただ、現地を取材して直接、自分の目で真実を確認できないわたしは、どちらの情報を信用すべきなのか長いあいだ分からなかった。
それゆえにわたしは、メディア黒書でラテンアメリカの話題をあまり取り上げてこなかった。
しかし、米国の大統領選の後に浮上した米国民の分断を見て、Prensa LatinaやTelSurの情報の方が真実を伝えているという確信を得た。
ベネズエラ、ニカラグア、ボリビアで行われた最新の大統領選について、日本のメディアは次のように報じている。これらの国は、米国でいま起きていることを経験したのだ。
2020年11月03日 (火曜日)
米大統領選挙、バイデン圧勝か?「不正選挙」と暴力というトランプのプロパガンダと戦略、既にベネズエラ、ボリビア、ニカラグアで失敗を実証済み
NBCニュースとウオールストリートジャーナルは、米国大統領選の最新世論調査の結果を報じた。 それによるとバイデンが52%で、トランプが42%だった。米国大統領選挙の行方は、接戦というよりも、バイデンが圧勝する可能性が高い。
しかし、一部のメディアによると、トランプ陣営は、敗北した場合に不正選挙を理由に法廷闘争を開始する可能性が高いとも伝えている。選挙後の混乱の舞台となる可能性が高い大都市では、窓を板で覆って暴動に備える商店やレストランもあるという。銃を購入する市民も急増していると伝えている。
2020年10月02日 (金曜日)
杉田水脈議員の「女性差別」発言、報道検証、リークと誤報に踊らされた市民運動
自民党の杉田水脈議員の「女性差別」発言をめぐる報道は、新聞・テレビの報道姿勢を改めて問うことになった。発端は新聞・テレビの事実上の誤報である。あるいは不正確な報道である。
新聞・テレビは、杉田議員が自民党内の会合で、「女性はいくらでもうそをつけます」と発言したことを、発言全体の文脈を考慮せず、差別発言として一斉報道した。女性というものはいくらでも嘘をつける性質であると摘示したとして、問題視したのだ。
ところが杉田議員が公表した発言全体の趣旨は、報道とは異なり、韓国の国会議員、尹美香(ユン・ミヒャン)氏を念頭に置いたものだった。尹議員は、元従軍慰安婦を支援する市民団体で発覚した不正会計疑惑の当事者として、9月14日に逮捕された。
杉田議員が自分のウエブサイトで公表した説明は次の通りである。一部を引用してみよう。
2020年01月21日 (火曜日)
インターネットとAIが人間を洗脳する時代に、益にもならぬニュースのオンパレード
インターネットの普及によって、ジャーナリズムの機能は向上したのだろうか? ここで言う「ジャーナリズムの機能」とは、必要な情報をタイムリーに、できるだけ多くの市民に知らせる役割である。「必要な情報」とは、編集者が主観で選択したものなので、その判断が誤っていれば、メディアを通じて拡散する情報に有益性はないことになる。
こんなふうに考えるとジャーナリズムが機能するかどうかは、究極のところ編集者の職能に依存していることになる。編集者がどのようなニュースに価値があり、どのようなニュースに価値がないかを見極める力があるかどうかが、ジャーナリズムの質を左右する。
次に示すのは、1月21日付けのYahoo Japanのトップ記事(午前7時)である。
1・留学生不明 大学に異例の処分
2・新型肺炎 人から人感染を確認
3・ロヒンギャ 大量虐殺意図なし
4・断水中止 振り回され市民憤り
5・牛乳パック1Lない? 算数話題
6・北別府さん 入院し骨髄移植へ
7・MX番組企画会社と連絡取れず
8・小栗旬 事務所社長就任の構想
わたしには、公益性の高いニュースとは思えない。特に、5~8のニュースに至ってはまったく公益性がない。
2019年09月03日 (火曜日)
2019年05月16日 (木曜日)
やっぱり歪んでいる池上彰氏のニュース解説、英国の元首相・サッチャーの新自由主義「改革」を評価する愚
テレビ朝日の「グッド!モーニング」(4:55~8時)の中に、「池上彰のニュース検定」というセクションがある。クイズ形式で社会科の問題を出題して、3つの選択肢から答えを選び、池上氏が「正解」の解説をする。まるで高校社会科の授業か、「お受験」の現場をテレビで再現しているかような内容だ。
それ自体が悪臭を放つ滑稽な光景だが、その内容が実にあきれている。池上氏に世論誘導の意図があるのではないかとすら思わせる出題も含まれている。ぼんやりと画面に見入っていると、メディアリテラシーの視点が遠ざかり、音声と映像に洗脳されかねない。
2019年05月06日 (月曜日)
個人崇拝が盛んな東アジアの2つの国と2つのメディア、朝鮮と日本、朝鮮中央テレビとNHK
東アジアに国民性とメディアが類似した2つの国がある。朝鮮と日本である。朝鮮では金正恩・朝鮮労働党委員長が絶大な人気をはくし、日本では5月1日に即位したばかりの徳仁天皇が絶大な人気をはくしている。彼らの人気を演出しているのは、朝鮮では朝鮮中央テレビであり、日本ではNHKである。他のマスコミも同じような個人崇拝をあおる報道で追随しているが、韓国中央テレビとNHKはそれが際立っている。
日本は、現在は議会制民主主義の国家であるが、1945年の敗戦までは、軍事独裁国家だった。『中国新聞』(4月19日)に掲載された著名な政治学者・渡辺治氏の「憲法との矛盾広がった 象徴天皇制と民主主義」と題する評論によると、戦争で天皇制国家が暴走したので、同じ過ちを繰り返さないように、憲法により天皇の権限を限定して、政治には関与しない体制にしたのだという。渡辺氏は、次ように述べている。
日本国憲法が天皇を象徴にしたのは、政治の全権力を天皇が握った明治憲法下で、植民地支配、侵略戦争が繰り返されたのを反省してのことだ。戦争の遂行に関して天皇は、議会はおろか内閣の意も聞かずに軍部の「輔翼」の下、事を進めることができた。これが、あの悲惨な戦争をズルズルと引き延ばし、日本人も含めアジアで2千万人といわれる命を奪った原因であった。
2019年03月14日 (木曜日)
違和感の極み、首相官邸の真向かいに国会記者会館、マスコミも日本の権力構造の一部
国会記者クラブについて、わたしはとんでもない勘違いをしていた。昨日、フリーランスライターの友人から、国会記者会館の前に来てほしいと言われ、はじめて記者クラブの会館なるものが存在することを知った。これまでわたしは、国会記者クラブは、議事堂内のほんの一角を「占拠」している程度だと思っていた。会館を構えているとは、まさか思わなかった。
内閣府へ何度も足を運んでいる関係で、会館の前を素通りしてきたが、その建物が国会記者会館で記者クラブが「占拠」しているとは思わなかった。「占拠」と書いたのは、会館が国有財産でありながら、記者クラブの所属記者しか出入りが許されていないからだ。
会館の前には、黒塗りのハイヤーがずらりと並んでいる。さすがに新聞社やテレビ局の旗を立てたハイヤーはなかったが、艶のある黒い車体は、庶民感覚から隔離されている。むしろ黒幕の冷たいイメージだ。
興味深く感じたのは、会館の立つ位置である。十字路の角にあって、道路の向こうには、首相官邸、議員会館、そして議事堂がある。この位置関係から察すると、記者クラブも日本の権力構造の一角に組み込まれているということになりそうだ。権力構造の歯車になっている。ずばりジャーナリズムの看板を掲げた政府の広報部にほかならない。【続きはウェブマガジン】
2018年12月19日 (水曜日)
マスコミが隠し続ける「新自由主義」というキーワード、現在の時事問題の解説に不可欠 、フランスの暴動もホンジュラスの移民も背景は同じ
現在を読むキーワードのひとつに「新自由主義」があるが、この用語を日本のマスコミは避ける傾向がある。構造改革という言葉で曖昧にごまかして、報道しているメディアも少なくない。
国際問題に例を取れば、フランスで発生した暴動、米国とメキシコとの国境で起きている中米移民の問題、国内問題に例を取れば、水道事業の民営化や外国人労働者の受け入れ枠の拡大、非正規雇用の拡大、それに法人税の減税と消費税の増税などは新自由主義の政策と連動したものである。もう少し広い視点から見れば、米軍との共同作戦を前提とした日本の軍事大国化も新自由主義の政策から派生した流れにほかならない。医療に保険外診療の領域を増やしたのもやはり新自由主義の政策だ。
さらにいえば、小さな政府を前提に医療や教育を地方自治体へ丸投げするのも新自由主義の政策だ。自民党と維新の会が親密なのも偶然ではない。
新自由主義というキーワードを軸にすれば、個々バラバラに起こっているように見えるこれらの現象をひとつの視点で理解することができる。が、マスコミはその簡単な作業を避けている。マスコミ自体が日本の権力構造に巻き込まれているから、問題の核心を隠蔽するのだ。