1. 杉田水脈議員の「女性差別」発言、報道検証、リークと誤報に踊らされた市民運動

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2020年10月02日 (金曜日)

杉田水脈議員の「女性差別」発言、報道検証、リークと誤報に踊らされた市民運動

自民党の杉田水脈議員の「女性差別」発言をめぐる報道は、新聞・テレビの報道姿勢を改めて問うことになった。発端は新聞・テレビの事実上の誤報である。あるいは不正確な報道である。

新聞・テレビは、杉田議員が自民党内の会合で、「女性はいくらでもうそをつけます」と発言したことを、発言全体の文脈を考慮せず、差別発言として一斉報道した。女性というものはいくらでも嘘をつける性質であると摘示したとして、問題視したのだ。

ところが杉田議員が公表した発言全体の趣旨は、報道とは異なり、韓国の国会議員、尹美香(ユン・ミヒャン)氏を念頭に置いたものだった。尹議員は、元従軍慰安婦を支援する市民団体で発覚した不正会計疑惑の当事者として、9月14日に逮捕された。

杉田議員が自分のウエブサイトで公表した説明は次の通りである。一部を引用してみよう。

今回改めて関係者から当時の私の発言を精査致しましたところ、最近報じられている慰安婦関係の民間団体の女性代表者の資金流用問題の例をあげて、なにごとも聖域視することなく議論すべきだと述べる中で、ご指摘の発言があったことを確認しましたので、先のブログの記載を訂正します。事実と違っていたことをお詫びいたします。

私の発言の趣旨は、民間委託の拡充だけではなく、警察組織の女性の活用なども含めて暴力対策を行なっていく議論が必要だということであり、女性を蔑視する意図はまったくございません。

ただ、民間団体の女性代表者の例を念頭に置いた話の中で、嘘をつくのは性別に限らないことなのに、ご指摘の発言で女性のみが嘘をつくかのような印象を与えご不快な思いをさせてしまった方にはお詫び申し上げます。

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この説明で明らかなように、 「女性はいくらでもうそをつけます」という表現は、逮捕された尹美香議員を想定したものであって、女性一般の性質が嘘つきであることを摘示したものではない。単に自分の意見を述べたものである。ところが新聞・テレビは、女性の性質を摘示したとして、それを報じたのである。

これが公平で客観的な報道の構図である。

ところが市民運動家や国会議員が新聞・テレビの報道を検証することもなく鵜呑みにして、直ぐに行動を起こしてしまった。反差別の市民運動体は、Chang・orgで、杉田議員をバッシングするキャンペーンを開始した。ネット上のリンチに等しい。複数の国会議員が自民党に対して杉田議員の処分を求めた。

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この事件が異様なのは、杉田発言をリークしたのが、自民党の関係者であるとされている点だ。もしそれが事実であれば、杉田議員に対するバッシングを想定した上でのリークだったのではないか。言論を規制する世論を形成するという点では、格好の状況が生まれるからだ。

新聞・テレビは、報道の中で「差別者」の像を捏造することで、国民の反差別感情をあおり、市民運動家らにリアクションを起こさせて、杉田発言をリークした人物の期待に応えたのではないか。

市民運動の評価は慎重を要する。実生活に根差した地道な住民運動とは異質なので公権力に悪用されやすい。「賛同者はこの指にとまれ」では駄目なのだ。新聞・テレビが報道を自主規制したM君リンチ事件の取材でも感じことを感じた。

意見表明を処罰すれば、言論活動は成り立たない。