1. 「押し紙」の実態

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2015年07月02日 (木曜日)

「押し紙」70年③ ABC部数と実配部数の乖離を生む「押し紙」、政府・公取委・警察が70年も「押し紙」を放置している本当の理由

日本ABC協会という新聞や雑誌の部数公査(監査)を実施している団体がある。新聞の発行部数という場合、通常はABC部数を意味する。そしてこのABC部数を基準に、新聞に掲載される政府広報など、公共広告の掲載価格が決められる。

日本ABC協会は、日本で最も信頼のおける部数公査機関としての定評があるが、同時に新聞業界の内幕を知る人々のあいだでは負の評価もある。特に新聞販売店主の間では、「まったく信用できない」という評価が定着している。ABC部数が、新聞の実配部数と著しく乖離(かいり)しているからだ。

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2015年07月01日 (水曜日)

自民党・大西英男議員のマスコミ批判が露呈した広告依存型ビジネスモデルの限界と「押し紙」問題

6月25日に開かれた自民党若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」で、マスコミをつぶせと言わんばかりの発言が相次いだことが問題になっている。

このうち自民党の大西英男議員は、「マスコミを懲らしめるには、広告料収入をなくせばいい」と発言したが、これは大西議員が現在のメディア企業のどこに決定的な弱点があるかを見抜いていることを物語っている。

広告依存型のビジネスモデル--それは広告収入を主要な財源として、ジャーナリズム活動を展開するスタイルである。現在、「公共放送」を除く、世界の大半のメディア企業が広告依存型のビジネスモデルを採用している。インターネット・メディアも例外ではない。そこでは常に広告主に対する「自粛」が起きている。

しかし、この問題を考える時にややもすると一般論が先行して、盲点になりがちな領域がある。広告という場合、企業が出稿する広告やCMのイメージが強いが、政府や官庁、それに地方公共団体などがメディア企業に出稿する公共広告についても、ジャーナリズム活動にとって負の要素となる側面がある事実である。

公共広告を通じて、想像以上に巨額の金がメディア企業に流れ込んでいるのだ。それが新聞を、「政府広報」に近いものにしている要因のひとつである。

わたしは2012年12月、情報公開請求により、内閣府から2700枚を超える公共広告の請求書(2007年~2010年分)を入手して、朝日、読売、毎日、日経、産経の紙面広告に対して請求された金額を算出したことがある

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2015年06月25日 (木曜日)

【「押し紙」70年②】昭和38年に店主らが「押し紙」をボイコット、公取への告発も

時代をさかのぼること半世紀、昭和30年代には、すでに「押し紙」が深刻な問題として浮上していた事実は、日販協(日本新聞販売協会)が発行してきた『日販協月報』にも記録されている。

1963年(昭和38年)11月25日付けの同紙は、日販協の全国理事会が「押し紙」排除を決議したことを伝えている。決議は次の通りである。

 新聞販売業界の安定と向上を阻害するものは「押し紙」「積み紙」である。われわれは「押し紙」「積み紙」を絶滅して明朗公正な取引の姿を実現するため発行本社および販売業者の自覚を強く要請する。

 右決議する。

 昭和三十八年十一月二十七日 

                           社団法人 日本新聞販売協会全国理事会

■出典:日販協月報PDF

この理事会には、大分県四日市で新聞販売店を経営する柚園要蔵さんという店主が上京して、飛び入りのかたちで理事会に参加している。柚園氏は、翌28日には、公正取引委員会を訪問して、「追起訴の打ち合わせを開始した」という。同氏は、これに先立ち、すでに公正取引委員会へ「押し紙」を告発していたのである。

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2015年06月19日 (金曜日)

【「押し紙」70年①】昭和36年にはすでに「押し紙」問題が浮上していた

ギネスブックに「押し紙」の項目があれば、「押し紙」世界一の認定を受けるのは、間違いなく日本の新聞社である。インターネットや週刊誌が、繰り返し「押し紙」問題を報じても、新聞社の経営陣は「押し紙」は存在しないと繰り返してきた。延々としらを切ってきたのである。

公取委も「押し紙」を取り締まる気がない。政治家は、「押し紙」という新聞社経営の一大汚点を把握し、故意にそれを放置することで恩を売り、新聞社を権力構造の歯車に巻き込んできた。それが自分たちにとってメリットのある世論を形成する手っ取り早い方法であるからだ。

こうした特殊な関係の中で、逆に新聞社の経営陣が政界に大きな影響力を発揮する異常事態が生まれて久しい。首相と新聞人の会食もあたりまえになっている。もちろんジャーナリズムが機能不全に陥っていることは論を待たない。経営上の汚点が招いた日本の悲劇である。

改めて言うまでもなく経営上の汚点とは、「押し紙」のことである。それゆえに「押し紙」問題を無視して、いくら新聞記者を罵倒しても、紙面を批判しても、ジャーナリズムの再生にはつながらない。

読者は「押し紙」制度がいつの時代に始まったかをご存じだろうか。厳密に言えば、昭和5年ごろにはすでに記録があるが、「押し紙」問題が頻繁に浮上するようになったのは、戦後、専売店制度が始まった後である。

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2015年06月02日 (火曜日)

新聞の長期低落傾向に歯止めかからず、2015年4月度のABC部数

2015年4月度のABC部数が明らかになった。それによると朝日新聞は対前年差が-64万3142部、読売新聞は、-37万5141部だった。長期低落傾向に歯止めはかかっていない。

2015年4月度のABC部数は次の通りである。(括弧)内は対前年差。

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2015年05月25日 (月曜日)

古くて新しい社会問題-「押し紙」、メディアコントロールの道具に、過去に共産、公明、社会が15回の国会質問

一般的にはほとんど知られていないが、「押し紙」など新聞販売の諸問題が国会で大問題になった時期がある。1980年から1985年の6年間である。この時期に共産党、公明党、社会党が超党派で総計16回に渡って「押し紙」問題などを追及している。

国会図書館には、その時の議事録が残っている。現在は、2015年5月であるから、国会における新聞販売問題の追及が終わって、今年で30年の節目になる。最後の質問は、公明党の木内良明議員によるものだった。1985年4月20日のことである。しかし、「押し紙」問題は、現在も解決していない。

ようやく一部の新聞社が、「押し紙」整理に動きはじめた段階である。

読売の宮本友丘副社長のように、読売は「押し紙」をしたことは一度もないと、法廷で公言した新聞人もいるが、大半の新聞社は、「押し紙」問題をかかえている。販売店によっては、搬入する新聞の50%が「押し紙」になっている例もある。

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2015年05月21日 (木曜日)

メディア黒書に相次ぐ内部告発-販売店主の自殺、背景に深刻な「押し紙」問題の可能性も

 新聞販売の関係者からと思われる内部告発があった。内部告発の内容を紹介しよう。問題が深刻化する前に警鐘を鳴らすのが、ジャーナリズムの役割であるからだ。ただし、完全な裏付けが取れない現段階では匿名報道にする。

5月19日の夜、わたしの自宅に1本の電話があった。東京都内で新聞販売店を営む男性 が自殺したというのだ。告発者は、店名も店主の名前も明らかにした。自殺の原因については、経営難ではないかとの推論を述べた。

「やはり『押し紙』ですか?」

「相当、あったようですよ」

実は、販売店主の自殺に関する情報は、昨年の秋にも入手していた。群馬県の販売店主である。しかし、犠牲者の親族から、裏付を取ることはできなかった。親族外の何人かの関係者に接触したが、やはり話してもらえなかった。

そして、新聞社の系統こそ異なるが、今度は東京都内で販売店主の自殺と推定される事件が起きたのだ。

「だれか詳しい話をしてくれる人はいませんか?」

「箝口令(かんこうれい)が出ていますからね」

言論の自由を最大限に尊重しなければならない新聞社が箝口令を発令することに、わたしは異常なものを感じた。

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2015年04月03日 (金曜日)

朝日新聞の偽装部数は200万部(28%)、実売は10年で3割減って510万部に――2014年度、社内資料より判明

1年で読売60万部減、朝日44万部減と新聞の刷り部数が急減し、朝日は2014年下期平均で公称710万部にまで減った。だが、このいわゆるABC部数には、読者のもとに配達されず購読料金も発生しない「押し紙(残紙)」も含むため、実売はさらに少ない。 このほどMyNewsJapanが入手した朝日新聞社の内部資料によると、2014年度、販売店に搬入される朝日新聞の28%が購読料収入になっていない偽装部数であることが分かった。

関東地区の朝日販売店主は現場の実情を踏まえ「信憑性が高い」と話し、朝日新聞広報部はこの資料を否定しなかった。 情報提供元によると、この内部資料は「2014年度ASA経営実態調査報告書」で、母集団690万部をカバーするエリアの260店のASAを10年間、サンプル調査したもの。

公称部数を14%減にとどめた過去10年だが、偽装率(押し紙率)を12%→28%に激増させた結果、実部数は加速度をつけて30%も減らし、直近で約510万部と推計されることがわかった。(続きはマイニュースジャパン
                          

 

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2015年03月05日 (木曜日)

広告代理店による折込広告の水増し事件、大阪地検が不起訴を決定、新聞業界に配慮か?

大阪地検は、貴金属などのリサイクル販売とレンタル事業を展開しているA商店(大阪府心斎橋)が、広告代理店・アルファトレンドに対して、2013年11月に提起した告訴を受けて調査していたが、3月になって不起訴の決定を出した。

この事件は、A商店が2008年6月から翌年の3月までの間に、アルファトレンドを窓口として発注した折込広告(新聞折込)259万4000枚のうち、65万枚が配布されていなかったことが分かったのが発端。

配布されていなかった65万枚のうち、少なくとも42万枚は印刷すらされていなかった。

これに怒ったA商店は、民事裁判で損害賠償を求め、2013年6月にアルファトレンドが請求額の全額と弁護士料を支払うことで和解が成立した。支払額は、約274万円。

しかし、A商店は、新聞の折込広告を悪用した騙しの手口が広がっていることに鑑みて、アルファトレンドを大阪府警に告訴した。刑法第246条(詐欺)に該当すると考え、被告訴人に対する処罰を求めたのである。

大阪地検が、この事件を不起訴にしたプロセスは不明。事件を知る一部の市民からは、検察審査会への申し立てを検討する声があがっている。

■折込広告の注文枚数と不正枚数を示す表

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2015年02月24日 (火曜日)

京都新聞の「押し紙」裁判が和解解決、販売店の実質勝訴も、店主は裁判所に対する不信感

京都新聞社の販売店が、配達部数を超える新聞の仕入れを強制されたとして起こしていた裁判が、1月に和解していたことが分かった。京都新聞社側が店主に和解金、300万円を支払った。

裁判を起こしていた店主は、1988年から2店舗を経営していたが、過剰な新聞部数(「押し紙」)の卸代金を負担できなくなり2011年に自主廃業に追い込まれた。買い取りを強いられていた新聞部数は、廃業前には搬入される新聞の2割を超えていた。

たとえば同年の1月の場合、販売店への新聞の搬入部数は約6000部だったが、このうちの約1550部が過剰になっていた。これらの新聞は、包装を解かないまま、トラックで回収されていた。

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2015年01月30日 (金曜日)

新聞社の闇-「押し紙」問題の変遷②、新聞の商取引のカラクリ

【29日付け記事の続】さて、「押し紙」の割合が搬入部数の60%にも、70%にもなった場合、新聞販売店の経営は成り立つのかという問題がある。「押し紙」にあたる部数に該当する卸代金が免除されるのであればまだしも、販売店の経理帳簿の上では、搬入される新聞はすべて販売店が注文した部数になっているので、支払い免除の対象にはならない。

言葉を変えると、配達していない「押し紙」の卸代金を強制的に支払わされるから、「押し売り」になぞらえて、「押し紙」と呼んでいるのである。

常識的に考えれば、「押し紙」が60%も、70%もあれば、販売店の経営は成り立たない。が、実は経営を成り立たせる知られざるカラクリがあるのだ。このカラクリこそが新聞社のビジネスモデルにほかならない。

◇新聞の商取引のカラクリ

結論を先に言えば、それは折込広告の水増しと補助金である。

まず、折込広告の水増しについて説明しよう。
新聞販売店に搬入する折込広告の適正枚数は、原則として、新聞販売店に搬入される新聞の搬入部数に一致させることになっている。たとえば搬入部数が3000部とすれば、折込広告の搬入枚数も、3000枚になる。つまり形式上は、「押し紙」にも、折込広告が折り込まれるのだ。

従って3000部の搬入部数に対して、「押し紙」が1000部あれば、折込広告も(一種類につき)1000枚余っていることになる。

そのために意外に知られていないが、「押し紙」と一緒に、折込広告も古紙回収業者の手で処分されているのである。

もちろんこうした「犯罪」は、水面下で行われているために、多くの広告主は、実態を感知していない。感知しないまま、広告代金だけは全額支払わされているのである。もちろん、これでは市場調査に基づいたPR戦略も狂ってしまう。

こうしたカラクリを前提に、折込広告で販売店が得る収入について考えてみよう。新聞1部が生み出す広告収入がかりに月額1800円とする。この1800円は、当然、「押し紙」からも発生する。

一方、新聞の卸代金が1部につき、月額2000円とする。そうすると販売店は、「押し紙」1部に付き、2000円の負担を強いられるが、同時に折込広告の代金として、1800円の収入を得る。

2000円を負担して、1800円の収入を得るわけだから、損害はたった200円だ。つまり折込広告の需要が多い新聞販売店では、「押し紙」はそれほど大きな負担ではないということになる。

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2015年01月29日 (木曜日)

新聞社の闇-「押し紙」問題の変遷① 1977年の全国平均「押し紙」率は8・3%、日本新聞販売協会の調査

新聞業界がかかえる最大の問題は、「押し紙」である。「押し紙」とは、配達部数を超えて新聞社が販売店に搬入する新聞のことである。たとえば2000部しか配達先がないのに、3000部を搬入すれば、差異の1000部が「押し紙」である。この1000部についても、販売店は新聞の原価を支払わなければならない。

かくて「押し売り」→「押し紙」となる。

「押し紙」問題は、どのように表面化してきたのか、概略を紹介しよう。

日本で最初に「押し紙」が社会問題となったのは、1977年だった。この年、新聞販売店の同業組合である日本新聞販売協会(日販協)が、販売店を対象として、アンケートのかたちで残紙(実質的に「押し紙」を意味する)調査を実施した。

その結果、1店あたり平均して搬入部数の8・3%が「押し紙」であることが判明した。これは搬入部数が1000部の店であれば、83部が「押し紙」であることを意味する。

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2015年01月19日 (月曜日)

「押し紙」の経理処理は粉飾決算に該当しないのか? 古くて新しい疑問

意外に知られていないが「押し紙」政策には、粉飾決算が連動している疑惑がかけられてきた。しかし、国税局はこれまで、それを問題にしたことがない。15年ほど前、わたしはこれについて販売店主に尋ねたところ、

「トラブルが起きたときは、国税の●●さんに連絡を取るように、発行本社から指示を受けています」

と、いう返事が返ってきた。国税局は、「押し紙」が誘発する経理問題をごまかして来た可能性がある。

◇「あれは『押し紙』ではなく、積み紙です」

「押し紙」とは、新聞社が販売店に対して搬入する新聞のうち、過剰になって配達されないまま廃棄される新聞のことである。たとえば、実配部数(実際に配っている新聞の部数)が2000部しかないのに、3000部を搬入すると1000部が過剰になる。この1000部が「押し紙」である。

しかし、帳簿上では「押し紙」部数は、カモフラージュされる。具体的には、実配部数(実際に配達した新聞)、見本紙、さらには予備紙として経理処理される。

従って、上記の例で言えば、新聞社が新聞販売店に搬入した3000部は、すべて販売店が自分で注文した新聞ということになる。当然、3000部に対する卸代金を支払う。

それゆえに新聞社は、新聞の押し売りは絶対していないと開き直ってきたのである。過剰になっている新聞の存在を第3者から指摘されると、

「あれは『押し紙』ではなく、積み紙です」

と、詭弁(きべん)を弄する。販売店が自分で積み上げている新聞だという主張である。

裁判所もこうした詭弁を見抜けず、新聞社の「押し紙」政策にお墨付きを与えてきた。「押し紙」は独禁法に抵触するから、新聞社は絶対に「押し紙」政策の存在を認めるわけにはいかない。

そこで押し売りではないことを示す「アリバイ」を作るために、経理上のトリックが使われる。

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