産経新聞の「押し紙」データを共産党へ提出、近々に公正取引委員会へも提出
産経新聞の店主から、筆者へ相談が寄せられた。
「押し紙」の受け入れを断ったところ、新聞の搬入部数は減らしてくれたものの、補助金を大幅にカットされた上に、担当員が自宅にまで押しかけてきて、「順路帳」の提出を求めたという。「順路帳」とは、新聞を配達するコースを示した地図である。
「順路帳」の提出は、販売店を強制的に廃業へ追い組む前段である場合が多い。「順路帳」がなければ、既存の販売店をつぶして、別に新しい販売店を設ける際に、読者の把握ができないからだ。そこで新聞社が強制廃業を計画すると、まず最初に「順路帳」の入手を試みる。
それが無理な場合は、新聞配達員を尾行して、新聞の配達先を突き止めたり、新聞協会の職員などを装って、購読紙調査などを行う。こうして新たに「順路帳」を作成してから、強制改廃を断行する。
産経の担当員が、店主の家族に「順路帳」の提出を求めて訪店した際、家族の方が筆者に電話で「SOS」を発信されたので、受話器から高圧的な担当員らしい声が聞こえてきた。その時、筆者はサラ金の取り立てを連想した。
筆者は、「順路帳」の閲覧は許可しても、コピーや持ち帰りは許可しないようにアドバイスした。その後の産経の対応についても、報告を受けているが、ここで公にすることは控える。しかし、記録はすべて残している。それは新聞社の裏面の記録にほかならない。産経を取材した上で公開することになるだろう。
この販売店の「押し紙」のデータは、共産党の国会議員に提出した。また、近々に元日販協理事の青木晃氏と一緒に、公正取引委員会にも提出する予定だ。
公正取引委員会の対応を注目したい。朝日新聞だけを取り締まり、産経新聞は放置するというのは許されない。「押し紙」の排除命令を発令すべきだ。
◇「押し紙」を再定義する動き
従来、「『押し紙』とは、新聞社が販売店に押しつけた証拠のある新聞」とされてきた。しかし、佐賀新聞の販売店訴訟弁護団による特殊指定の研究や、過去の判例研究などにより、この定義が正確ではないことが分かってきた。
新聞特殊指定で定義している「押し紙」とは、端的に言えば、新聞の「注文部数+予備紙」を超えた新聞を意味する。そして注文部数とは、実質的には実配部数のことである。それに予備紙を加えた部数が、「正常な販売店経営に必要な部数」であり、これを超えた部数は、押し売りの証拠があろうとなかろうと、すべて機械的に「押し紙」と定義される。
このあたりの説明は複雑なので、詳細については、5月に発売予定の筆者の新刊を参考にしてほしい。
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