1. NO残紙キャンペーンに元日本新聞販売協会理事・青木晃氏が賛同

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2017年02月19日 (日曜日)

NO残紙キャンペーンに元日本新聞販売協会理事・青木晃氏が賛同

【段ボールにはスポンサーから料金だけを受け取り、読者に配達することなく廃棄される折込チラシが入っている。1箱には約5000枚のチラシが入る。金額にして1万円から1万3千円くらいになる。これを週に4回岡山市内の中心部の販売店を回る。トラックには約70箱が積載されている。】

今月13日にスタートした「No残紙キャンペーン」に、元日本新聞販売協会(日販協)の理事・青木晃氏が賛同者として加わった。青木氏は、産経連合会の会長や東京都新聞販売組合の組合長を務めた経歴もある。

現在の日販協は新聞社と協調路線を取っていて、筆者が見る限りでは、あまり新聞販売店の支持を得られていないが、1990年ごろまでは、極めて真っ当な団体だった。『日販協月報』のバックナンバーを閲覧すると、「押し紙」を告発した記事が多数掲載されている。戦後、まもない時期から「押し紙」はあったのだ。

1977年に日販協は、全国の新聞販売店を対象とした「残紙」のアンケート調査を行った。その結果、搬入される新聞の8.3%が残紙になっていることが判明した。この調査結果をもとに、日販協は新聞各社に対して「押し紙」政策を改めるように繰り返し申し入れている。たとえば、

 この調査からの推計によれば、年額17.9万トン、207億円に相当する新聞用紙を無駄に消費し、これを新聞店に押しつけ、さらに莫大な拡材費(黒薮注:ビール券や洗剤などの景品)をかけて、ほんの一部の浮動読者の奪い合いを演じている実態を見るとき、ひとり1社の損害計算に止まらず、わが国の新聞産業全体の大局からみても、その利害損失は果たしてどうであるか、経営責任者である貴台には十分おわかりのことと存じます。

こうした真摯な申し入れに対して、新聞人(その大半は記者としては箸にも棒にもかからず、経営者を目指した人々)は耳を貸さなかったのである。

◇「押し紙」世界一

日販協の路線がおかしくなったのは、1980年代の後半に自民党新聞販売懇話会が発足してからである。再販制度を撤廃する動きが浮上する兆候があり、日販協は政界工作により、再販制度を維持する「必要悪」に迫られたのである。
それにつけ込んだのが、新聞社や放送局の元ジャーナリストである。

特に元NHKの水野清氏が新聞販売懇話会の会長になってから、おかしくなった。日販協からの政治献金も行われるようになった。

その後、小渕恵三氏が新聞販売懇話会の会長と内閣総理大臣を兼任するようになり、政界と新聞業界の癒着は病的に進行したのである。

現在の新聞販売懇話会の会長は、元読売新聞記者の丹羽雄哉氏である。丹羽氏は、日販協から政治献金を受けている。政治献金を受けて、新聞に対する軽減税率を阻止する運動に協力した事実がある。

「NO残紙キャンペーン」は、政界工作のためのキャンペーンではない。思想・信条も問わない。新聞の「押し売り」は、即刻中止すべきだという単純明快な観点で立ち上げたキャンペーンである。

「押し紙」は、厳密には戦前からある。それがまだ続いているのである。日本の新聞社には、反省という言葉がない。