「押し紙」「積み紙」がひと月で500部 増えた店も、黒書が入手した内部資料を公開、折込広告の大量廃棄?
新聞の発行部数が激減を続けているにもかかわらず、個々の新聞販売店に対する搬入部数が大幅に増えているケースがあることが、メディア黒書へ送付されてきた内部資料で判明した。
次の資料は、新聞の「管理センター」が発行している2016年11月における販売店別の部数内訳の1ページである。新聞社名と販売店名を明かさないことを条件に、資料を公開する承諾を得た。
読者に注視していただきたいのは、「2016年11月部数」と「前月比」の欄である。
赤丸を付けた販売店では、前月比が大幅に増えている。500部を超えている店も4店ある。新聞離れが進んでいる最中に、たとえば高額な景品類をばらまいても、ひと月で500部も増えているのは不自然だ。東京都内の元店主が言う。
「こんな数字はありえません。これは『押し紙』か『積み紙』のどちらかでしょう。ABC部数を維持するための談合の可能性もあります」
新聞社が過剰な部数を押し付けたか、販売店が折込広告の水増し詐欺を働くために自主的に買い取った新聞である可能性が高いという。
◇折込広告の水増し詐欺
改めて言うまでもなく、「2016年10月部数」にも「押し紙」や「積み紙」が含まれている可能性が高い。従って前月比で500部が増えたということは、従来の「押し紙」部数にさらに500部の「押し紙」が上乗せされたことを意味する。
ただ、いくら「押し紙」や「積み紙」があっても、折込広告の需要の多い地域では、赤字にはならない。折込広告の搬入枚数を、新聞の搬入部数に連動させる基本原則があるからだ。従って水増しした折込広告を配達せずに捨てても、広告料金だけは徴収できる仕組みになっている。
最近、折込広告の需要が減っているのは、ひとつにはこうした新聞業界の慣行が広告主の怒りをかっているからにほかならない。
公正取引委員会が「押し紙」の排除命令を発令するまで、内部資料の公開を続けざるを得ないだろう。
【写真】大量の捨てられていた旧民主党の折込広告