1. 「押し紙」の実態

「押し紙」の実態に関連する記事

2018年02月09日 (金曜日)

【訂正記事】読売がひと月で約10万部減、このうち約9万7000部が東京本社管内、2017年12月度のABC部数

【訂正記事】

昨日(8日)付け記事で、訂正・謝罪したように、2日付けで公表した新聞各社の2017年12月度のABC部数は、裏付け資料が間違っていた。次に示す数字が、2017年度12月度のABC部数である。

それによると、読売が前月比で約10万部の減部数になったのが著しい特徴としてあげられる。このうち東京本社管内の減部数は、9万7126部である。つまり読売の場合、減部数の大半が東京本社管内で起きたことを意味している。

対前年比で見た場合、朝日は約30万部、毎日は約16万部、読売は約24万部、日経は約23万部、産経の約4万の減部数となっている。

部数内訳は次の通りである。[ ]対前月数。()対前年同月数

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2018年02月08日 (木曜日)

訂正と謝罪 2月2日のABC部数に関する記事について

【謝罪と訂正】

2月2日付けの記事に誤りがありました。同日付の記事で紹介したABC部数は、2016年12月時点のものでした。記事を取り消すと同時に、朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞社、日経新聞社、産経新聞社、ならびに読者の皆様にお詫びを申し上げます。

2017年12月度のABC部数については、明日のメディア黒書で公表します。

ABC部数に関する資料は、毎月、国立国会図書館で入手しております。資料を請求する際に、「2017年」と記入するところを誤って「2016年」と記入したことが、今回のミスの原因でした。

重ねてお詫びを申し上げます。

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2018年02月05日 (月曜日)

毎日新聞、元販売店主が「押し紙」訴訟…搬入部数削減を拒否され経営難に

(Business Journalから転載)

千葉県の元販売店主が毎日新聞社に対して2016年4月に起こした「押し紙」裁判が、今春に結審する見込みだ。「押し紙」裁判とは、新聞社が新聞販売店に新聞の買い取りを強制することで被った損害の賠償を求める裁判である。新聞社が販売店に対して新聞の「押し売り」をしたかどうかが争われる。これまでに毎日新聞社だけではなく、過去には朝日、読売、産経、山陽、西日本、北國などの各新聞社も訴訟を起こされている。また、佐賀新聞の「押し紙」裁判は、現在進行している。

原告の元店主が毎日新聞社に請求している額は約5800万円。元店主は12年7月10日に店主に就任して、毎日新聞社との取引を始めた。しかし、スタート時から大量の「押し紙」が送られてきたために、経営が成り立たなくなった。そこで搬入部数を減らすように毎日新聞社へ繰り返し交渉したが、聞き入れてもらえなかった。そして最後には、新聞の卸代金の納金ができなくなった。【続きはBusiness Journal】

 

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2018年01月29日 (月曜日)

「押し紙」についての裁判所の見解に変化の兆し、新聞販売店は今が集団訴訟を起こすタイミング

このところメディア黒書に「押し紙」の損害賠償を求める裁判についての問い合わせが増えている。かつて、新聞人が販売店の店主に、

「あなたたちが裁判を起こしても絶対に勝てないですよ」

と、平然と暴言を吐いた時代もあるが、今は状況が変わっている。

裁判の終盤になって、裁判所が「和解」を強く進めるケースが増えているのだ。裁判所が新聞社に対して、「押し紙」で販売店に与えた損害を賠償するように説得する流れが生まれはじめているのである。昨年も、大阪で「押し紙」裁判が解決した。

和解で解決したので、記事として積極的には公表していないだけで、実は、新聞販売店に有利な条件が生まれ初めているのだ。

新聞社は和解勧告を受け入れざるを得ない。と、言うのも判決で敗訴すれば、それが判例となるので、販売店勝訴の流れが一層顕著になるからだ。

こうした状況を踏まえて販売店を取材したところ、多くの店主さんが、訴訟はハードルが高いと考えていることが分かった。高額の「軍資金」が必要だと思っているようだ。が、これは完全に間違っている。

勝訴の流れが生まれた状況下では、弁護士の着手金を安く設定して、勝訴したときの成功報酬を高く設定するという方法もあるのだ。たとえば塵肺(じんぱい)裁判がそのような流れになっている。C型肝炎の訴訟も同様だ。

某弁護士のように全員が訴訟をビジネスとしてやっているわけではない。人権擁護活動として弁護活動を展開している優れた弁護士もいるのだ。

もちろん弁護士も自分の生活を支えなければならないから、報酬を支払うのが原則だが、交渉次第で負担がかなり軽減される。裁判を起こしたがゆえに、破産したといったことにはならない。

 

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2018年01月19日 (金曜日)

【特集】動画でみる「押し紙」世界一。「押し紙」と折込広告の回収実態、予測される損害賠償裁判の多発、販売店は証拠の保管を

最近の「押し紙」裁判の特徴として、裁判所がようやく「押し紙」問題を理解するようになったことである。以前は、裁判官の多くが、新聞社に限って社会的な不正行為を実行することはありえないという偏見を持っていたらしく、「押し紙」の存在は認められなかった。訴えは棄却されてきたのである。

もっとも2007年に最高裁で判決が確定した真村訴訟は例外である。これは地位保全裁判(真村訴訟)だったが、判決の中で読売の「押し紙」政策を認定した。また、2011年に山陽新聞の店主が勝訴したケースもある。だが、筆者の知る限り、その他の訴訟ではことごとく販売店が敗訴していた。

ここ数年、販売店が和解勝訴するケースが増えている。

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2018年01月12日 (金曜日)

公取委に販売店から批判が集中、「押し紙」政策を防衛するための新聞人の奇策と新聞特殊指定の歪曲

新聞販売店主の間で公正取引委員会に対する不信感が沸騰している。筆者のところへ、「公取委はなぜ動かないのか?」という問い合わせがあった。自殺する店主が増えているのに、問題を直視して、「押し紙」の排除に乗りださないエリートの冷酷ぶりに、納税者として、あるいは人間として納得できないというのである。

筆者は公取委の職員ではないので、彼らが仕事をしない本当の理由は分からないが、それを推測することはできる。公取委という組織は、一見すると政府から独立した機関のようにも見えるが、委員長と委員を首相が任命する仕組みからも察せられるように、政府の承諾を得ず独自に行動を起こすことはありえない。正義の仮面をかぶった「ガス抜き」的役割をはたす組織に過ぎない。

新聞人と安倍首相が会食を重ねているような異常な状況下で、「押し紙」を排除できるはずがないのだ。「押し紙」を取り締まらないことで、新聞・テレビをコントロールしているのである。

これまで販売店主らは次々と、自店における「押し紙」の証拠を公取委に提出してきた。しかし、公取委は腰を上げない。その論理上の根拠は、新聞社が販売店に新聞を強制的に注文させた証拠がないからというものである。確たる証拠がない限り、「押し紙」を排除するための行動は取れないのだという。

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2018年01月11日 (木曜日)

2017年11月のABC部数、日経は年間で27万部減、朝日は30万部減、読売は24万部減、新聞の「押し紙」型ビジネスモデルはほぼ崩壊

 2017年11月度の新聞のABC部数が明らかになった。それによると、この1年間で朝日新聞は、約30万部を減らし、読売新聞は約24万部を減らした。地方紙を含む全国76紙のベースでみると、125万部が減部数となった。新聞の凋落傾向に歯止めはかかっていない。

中央紙5紙のABC部数は次の通りである。()内は前年同月比である。

朝日新聞:6,065,235(-295,411)
毎日新聞:2,899,711(-127,973)
読売新聞:8,765,366(-239,403)
日経新聞:2,456,555(-268,224)
産経新聞:1,520,262(-46,318)

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2018年01月09日 (火曜日)

読売「北田資料」に見る「押し紙」の実態、読売は「押し紙」を否定

 新聞販売店が次々と経営破綻の寸前に追い込まれている。原因は、インターネットの台頭と表裏関係にある「紙新聞」の衰退という状況の下で、「押し紙」が重い負担となって販売店にのしかかってきたことである。販売店の経営悪化が、従業員の待遇を押し下げる。士気を奪う。こうした新聞販売現場の空気が、新聞発行本社の幹部へ伝わっているのかも疑問だ。

しかし、「押し紙」問題は最近になって浮上してきたものではない。日販協(日本新聞販売協会)の会報のバックナンバーを調べてみると、少なくとも1970年代から、大きな問題になっている。日販協が独自の「残紙」調査を行い、新聞発行本社へ「押し紙」政策の中止を申し入れたりもしている。

1980年代の初頭には国会で、共産党、公明党、社会党が、合計で15回も新聞販売の問題を取りあげた。しかし、問題は解決しないまま放置された。

その後、「押し紙」問題は、一旦、表舞台から姿を消した。日本経済が好調になったために、折込広告の需要が急激に増え、「押し紙」によって発生する損害を、折込広告の水増しで相殺できたからである。新聞販売店は折込広告で経営が成り立っていたのである。それが新聞のビジネスモデルだった。

販売店主の中には、折込広告の水増しが発覚すれば、即座にビジネスモデルが崩壊するので、正常な取り引きに徹すべきだと考える人も多かったが、新聞社が耳を貸さなかったのである。販売政策を決定するのは、新聞社なので、販売店側は、社の方針に従わざるをえなかった。従わなければ、強制改廃の対象になった。責任があるのは、新聞社の側である。

しかし、このようなビジネスモデルは、折込広告の需要がなくなれば成り立たない。実に単純な原理である。このところ新聞社が急激にABC部数を減らしているが、これは「押し紙」を減らさぜるを得なくなった結果である可能性が高い。読者離れも進んでいるが、「押し紙」整理の要素の方が強い。

新聞経営者の多くは、経営者としてもダメな人が多いので、既存のビジネスモデルが孕んでいるリスクを予測できなかったのである。そして、今、悪夢が現実のものとなった。

参考までに、1970年代から80年代の時期の「押し紙」の実態を紹介しておこう。例に引くのは、北田資料と言われる有名な資料で、1982年3月8日に、共産党の瀬崎博義議員が国会質問で取りあげた。読売新聞・鶴舞直売所の「押し紙」の実態である。

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2017年12月25日 (月曜日)

新聞配達網が危機的状況、販売店主が配達・集金、月収5万円、新しい同業組合の結成を早急に

 そろそろ新聞社の倒産もありうるのではないかという予感がする。すでに経営が破綻している販売店が急増しているからだ。新聞社の系統によっては、搬入される新聞の半分近くが「押し紙」になっている店も少なくない。

わたしが初めて「押し紙」5割の情報を得たのは、確か2002年だったから、それから15年ほどが経過している。15年前は、ガセネタだと思って、取材しなかった。その後、「押し紙」が4割にも5割にもなっている実態を、現場で次々と確認して認識を改めたのである。

最近は、「押し紙」が5割になっていると聞いても驚かない。

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2017年12月20日 (水曜日)

新聞販売店の間に広がる公取委に対する不信感、怒りが沸騰、「公務員としての職務を果たせ」

新聞販売店の関係者の間で公正取引委員会に対する不信感が高まっている。関係者の話によると、これまで相当数の店主が公取委(公正取引委員会)に「押し紙」に関する証拠を提出しているようだ。しかし、公取委は対策に乗りださない。1997年に北國新聞に対して、「押し紙」の排除勧告を発令したケースを除いて、公取委が本気で「押し紙」問題と対峙したという話を聞いたことがない。

店主らの証言をもとにいろいろと、その原因を探ってみると、どうやら新聞社が販売店にノルマとして、不要な新聞の買い取りを強制した事実が見あたらないから、たとえ残紙があっても、それは「押し紙」ではないという論理を採用している事情があるようだ。

この論法は、読売には「押し紙」が一部たりとも存在しないと主張してきた喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)らの解釈と共通している。裁判所も喜田村弁護士らの論法を鵜呑みにして、そういう判断をしてきたので、それが正当な論理として、幅をきかせ、ついには定着してしまったといえよう。極めて、その可能性が高い。

しかし、最近になって江上武幸弁護士らが、佐賀新聞を被告とする「押し紙」裁判の中で、従来のこの解釈の誤りを指摘している。結論を先に言えば、「実配部数+予備紙」(これが注文部数)を超えた部数は、若干の例外を除いてすべて「押し紙」であるという見解だ。

この理論は公取委の新聞の商取引に関する見解を歴史的にさかのぼって検証すれば明らかになるだけではなく、岐阜新聞を被告とする「押し紙」裁判の名古屋高裁判決(2003年)の中でも、採用されている。この裁判では、原告の販売店が敗訴したが、裁判所は、「押し紙」の定義について、公取委の見解を歴史的にみれば極めて当たり前の、それでいて斬新で示唆に富む新見解を示しているのである。

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2017年12月05日 (火曜日)

折込広告の大量水増し、最大の被害者はパチスロ業者、1700部の新聞に対して2400枚のチラシ

新聞人による「押し紙」と折込広告の「折り込め詐欺」が後を絶たない。1980年代から、これらは大きな問題になってきたが、彼らはまったく聞く耳をもたない。まるで批判が耳に入らないかのように、新聞部数の詐欺的なかさ上げと、それに連動した折込広告の水増しを続けている。

恐るべき腐敗が進行しているのだが、感覚が麻痺してしまい、罪悪感すらもないようだ。それどころか、たとえば毎日新聞などは「事実へまっすぐ」というキャッチフレーズで、自社の新聞をPRしている。言行不一致とはこのことである。

「押し紙」問題は、新聞業界内部の問題である。これに対して「折り込め詐欺」は、新聞業界の枠を超え、さまざまな分野の職種との関連性を持っている。それゆえに、「押し紙」問題に取り組んでいる筆者らは、広告主に実態を伝える重要性を認識している。

新聞社を批判しても解決しない。大半のメディア研究者もこの問題にだけはタッチしたがらない。新聞について論じるときも、ABC部数には「押し紙」が含まれていないという間違った事実認識を前提にしている。

新聞販売店を取材したところ、「折り込め詐欺」の最大の被害者は、パチスロ業者だという声が多い。パチスロ業者はABC部数が実配部数だと勘違いしているので、簡単に騙されてしまうという。たとえば新聞の実配部数が2000部しかないのに、ABC部数が2500部になっていれば、2500枚の折込広告の発注する。

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2017年11月29日 (水曜日)

2017年10月度のABC部数、朝日は年間で約30万部減、「10月部数」に見る偽装部数の特殊なトリック、「昔からやってきた」

2017年10月度の新聞のABC部数が明らかになった。長期低落の傾向には変わりがないが、前月比でみると、中央紙も地方紙も+に転じている傾向がある。その背景には、「10月部数」が紙面広告の媒体価値を決める評価基準として採用される新聞業界の慣行があるようだ。つまり新聞社は10月に「押し紙」を増やすことで、紙面広告の媒体価値も詐欺的に高くしているのである。

同じことは「4月部数」についても言える。

その結果、年間を通じて次のようなパターンが観察される。

3月から4月にかけて「押し紙」を増やしてABC部数をかさ上げする。
4月から5月にかけて「押し紙」を若干減らし、販売店の負担を軽減する。
9月から10月にかけて「押し紙」を増やしてABC部数をかさ上げする。
10月から11月にかけて「押し紙」を若干減らし、販売店の負担を軽減する。

筆者が調査したところ、少なくとも2000年から、このような操作をしていることが裏付けられた。販売関係者によると、こうした数値の偽装は、それよりもずっと昔からやってきたという。

以下、10月部数の詳細を紹介しよう。()前月比、[]前年費。

 

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2017年11月27日 (月曜日)

大阪に続き千葉でも搬入される新聞の約7割が「押し紙」、100%独禁法違反の毎日新聞社、公取委は摘発を

千葉県の毎日新聞・販売店の元店主が起こした「押し紙」裁判で明らかになった新聞の偽装部数の実態を数字で紹介しよう。被告は毎日新聞社(当時、朝比奈豊社長)である。結論を先に言えば、「押し紙」率が約7割にもなっていた。約7割にも達した例は、大阪の高屋肇氏が経営していた毎日新聞・蛍池店と豊中店だけではなかった。関東でも同じような異常な実態があったのだ。

2013年1月から2015年7月までの期間に毎日新聞社が、原告の販売店に搬入した新聞の総部数は、4万8702部(搬入部数)だった。これに対して、実際に配達されていた部数は1万5095部(実配部数)だった。差異は、3万3607部。ここから予備紙(通常は実配部数の2%程度)を差し引いた部数が「押し紙」である。

この販売店の場合、搬入される新聞の約7割が「押し紙」だったことになる。
毎日新聞社は毎日、毎日、こりもせずに新聞を「押し売り」してきたのである。月ごとの数字は次の通りである。左の数字が実配部数、右の()ないの数字が搬入部数)

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