折込広告の大量水増し、最大の被害者はパチスロ業者、1700部の新聞に対して2400枚のチラシ
【動画説明】段ボールに梱包された折込広告(水増し分)が、販売店から搬出される場面。ビデオの最後に登場する「紙」の収集場所の実態も凄まじい。この収集場所から、段ボールは再びトラックに積まれ、四国へ向かった。しかし、尾行車両は、瀬戸大橋を渡ったところで古紙回収のトラックを見失った。
新聞人による「押し紙」と折込広告の「折り込め詐欺」が後を絶たない。1980年代から、これらは大きな問題になってきたが、彼らはまったく聞く耳をもたない。まるで批判が耳に入らないかのように、新聞部数の詐欺的なかさ上げと、それに連動した折込広告の水増しを続けている。
恐るべき腐敗が進行しているのだが、感覚が麻痺してしまい、罪悪感すらもないようだ。それどころか、たとえば毎日新聞などは「事実へまっすぐ」というキャッチフレーズで、自社の新聞をPRしている。言行不一致とはこのことである。
「押し紙」問題は、新聞業界内部の問題である。これに対して「折り込め詐欺」は、新聞業界の枠を超え、さまざまな分野の職種との関連性を持っている。それゆえに、「押し紙」問題に取り組んでいる筆者らは、広告主に実態を伝える重要性を認識している。
新聞社を批判しても解決しない。大半のメディア研究者もこの問題にだけはタッチしたがらない。新聞について論じるときも、ABC部数には「押し紙」が含まれていないという間違った事実認識を前提にしている。
新聞販売店を取材したところ、「折り込め詐欺」の最大の被害者は、パチスロ業者だという声が多い。パチスロ業者はABC部数が実配部数だと勘違いしているので、簡単に騙されてしまうという。たとえば新聞の実配部数が2000部しかないのに、ABC部数が2500部になっていれば、2500枚の折込広告の発注する。
◇1700部に対して2400枚の折込広告
次の数値は、山陽新聞・岡輝販売センターが2005年6月17日に、新聞に折り込んだ折込広告の枚数である。新聞の実配部数が1702部しかないのに、パチスロ業者のスーパーハリウッドとラスベガスは2400枚を発注している。
他の業種も含めた詳細は次の通りである。
おかやまコープ:2000枚
旭化成ホームズ:2400枚
ハピーズ岡輝店:2300枚
スーパーハリウッド:2400枚
マクドナルド:2150枚
ぜにや質舗:2350枚
岡山日産自動車:2200枚
アンペン:2300枚
ボックスクラブ:2400枚
ハウジング山忠:2400枚
マルイ:2200枚
ジャスコ:2400枚
ケンタッキーFC:2000枚
ハリウッド:2000枚
ゴルフファイブ:2300枚
ヤマブシタケ研究:2150枚
アイシティー :2400枚
ZOA岡山店:2400枚
山陽新聞社:1950枚
ラスベガス:2400枚
興味深いことに、最も発注部数が少ないのは、山陽新聞社の1950部である。「折り込め詐欺」がビジネスモデルに組み込まれていることを知っているから、少なめの枚数に留めたのだろう。とはいえ実配部数の1702部に対応させることは、さすがにはばかったようだ。詐欺が露骨になるからだ。
【参考動画】