1. 新聞没落、1販売店から月間30トンの「押し紙」、「折り込め詐欺」の発覚でクライアントが折込広告に見切りか?

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2017年09月14日 (木曜日)

新聞没落、1販売店から月間30トンの「押し紙」、「折り込め詐欺」の発覚でクライアントが折込広告に見切りか?

「折り込め詐欺」とは、新聞の折込広告の水増し行為のことである。たとえば新聞を1000部しか配達していない新聞販売店に、(1種類につき)1500枚の折込広告を搬入すれば、500枚が未配達になる。この500枚についても手数料を徴収する。このような工作が「折り込め詐欺」である。

大半の新聞社は、新聞販売店に対して実配部数をはるかに上回る部数(「押し紙」)を搬入するので、「折り込め詐欺」は半ば日常化してきた。いわば新聞のビジネスモデルに組み込まれてきたのである。

次に示すのは、産経新聞・四条畷販売所から入手した古紙(「押し紙」)回収業者の伝票(2001年8月21日~29日)である。「押し紙」の回収量を㎏で表示している。古い資料だが、これを見れば「押し紙」の量がいかに凄まじく、それに連動する「折り込め詐欺」もいかに深刻だったかが分かる。

8月21日  2010㎏
8月22日  3290㎏
8月28日  2090㎏
8月29日  3970㎏

わずか10日ほどで11トンを超えているのである。月間では、推定30トンにもなる。

次に示すのが裏付け資料である。

 

◇発覚したときにクライアントを失う

上記の資料は、2001年ごろの「折り込め詐欺」の実態を示している。しかし、最近は「折り込め詐欺」は下火になっているようだ。と、言っても「押し紙」が減っているわけではない。広告主が「折り込め詐欺」に気づき、自主的に折込広告の発注枚数を減らす傾向が現れているのだ。

たとえば公称の配達部数が2000部の販売店の場合、本来であれば2000枚の折込広告を発注するが、広告主が自主的に500枚を減数して1500枚に枚数調整するというふうに。その結果、販売店は折込広告の水増し収入が得られない。

最近、新聞販売店の経営が急激に悪化しているが、その主要な原因は、広告主が折込広告の発注枚数を自主的に減らすことである。多くの販売店が折込広告の激減に苦しんでいる。

ちなみに現在の新聞のビジネスモデルを構築したのは販売店ではなく、新聞社の側である。販売店は、基本的には、そのビジネスモデルに組み入れられているに過ぎない。「折り込め詐欺」の責任は、新聞社にあるというのが筆者の考えである。

新聞社の経営悪化といえば、とかく発行部数の減部数と紙面広告の衰退がその原因として指摘されるが、新聞業界全体で見れば、折込広告の激減も同程度に重要な要因になっているのである。

東京都内の元販売店主が言う。

「私は昔から、折込広告の水増しはやめるべきだと主張してきました。発覚したときに、クライアントを失い、経営に支障をきたしかねないからです。私のような考えの店主は、たくさんいましたが、新聞発行本社が販売店の声に耳を傾けませんでした。その結果、今、新聞社は経営難に陥っています」

 

【動画】余った折込広告を詰め込んだ段ボールをトラックで搬出する場面