1. 「押し紙」についての裁判所の見解に変化の兆し、新聞販売店は今が集団訴訟を起こすタイミング

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2018年01月29日 (月曜日)

「押し紙」についての裁判所の見解に変化の兆し、新聞販売店は今が集団訴訟を起こすタイミング

このところメディア黒書に「押し紙」の損害賠償を求める裁判についての問い合わせが増えている。かつて、新聞人が販売店の店主に、

「あなたたちが裁判を起こしても絶対に勝てないですよ」

と、平然と暴言を吐いた時代もあるが、今は状況が変わっている。

裁判の終盤になって、裁判所が「和解」を強く進めるケースが増えているのだ。裁判所が新聞社に対して、「押し紙」で販売店に与えた損害を賠償するように説得する流れが生まれはじめているのである。昨年も、大阪で「押し紙」裁判が解決した。

和解で解決したので、記事として積極的には公表していないだけで、実は、新聞販売店に有利な条件が生まれ初めているのだ。

新聞社は和解勧告を受け入れざるを得ない。と、言うのも判決で敗訴すれば、それが判例となるので、販売店勝訴の流れが一層顕著になるからだ。

こうした状況を踏まえて販売店を取材したところ、多くの店主さんが、訴訟はハードルが高いと考えていることが分かった。高額の「軍資金」が必要だと思っているようだ。が、これは完全に間違っている。

勝訴の流れが生まれた状況下では、弁護士の着手金を安く設定して、勝訴したときの成功報酬を高く設定するという方法もあるのだ。たとえば塵肺(じんぱい)裁判がそのような流れになっている。C型肝炎の訴訟も同様だ。

某弁護士のように全員が訴訟をビジネスとしてやっているわけではない。人権擁護活動として弁護活動を展開している優れた弁護士もいるのだ。

もちろん弁護士も自分の生活を支えなければならないから、報酬を支払うのが原則だが、交渉次第で負担がかなり軽減される。裁判を起こしたがゆえに、破産したといったことにはならない。

◇訴訟のハードルは高くない

筆者が勧める訴訟のスタイルは、集団訴訟である。集団訴訟になると、当然、新聞社の販売政策が、「押し紙」を柱としたモデルになっていることが立証しやすい。単独1店のケースだけなら、裁判所は例外と見なしかねないが、複数の販売店が原告になると、「押し紙」の温床が新聞社の販売政策にあることを簡単に立証できる。販売店主らが、同じ被害を受けているからだ。

それに集団訴訟では、相対的に弁護士費用も安くなる。

それでも訴訟に踏み切ることを迷うのであれば、弁護士に新聞の商取引に関する資料を検証してもらい、勝訴の可能性があるかどうかの判断を仰ぐべきである。この作業だけなら、ほとんど費用もかからない。

いずれにしても訴訟をハードルの高い解決法と考えるべきではない。

莫大な借金を背負わされ、泣き寝入りして新聞販売業から転職するのか、それとも損害を取り戻してから、今後の人生を生きるのか、答えは明らかだろう。

メディア黒書では、週末に無料で相談に乗っている。希望される店主は、黒薮まで連絡をください。ただし、スパイ活動はお断り。

■連絡先:048-464-1413

 

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