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2019年09月27日 (金曜日)

佐賀新聞の「押し紙」裁判、11月1日に証人尋問、ABC部数の水増しを暴露か? 原告が呼びかけ文を発表

佐賀新聞社を被告とする「押し紙」 裁判の証人尋問が、11月1日に開かれる。詳細は次のとおり。

日時:2019年11月1日 午前10時~午後5時

場所:佐賀地方裁判所 3階
     (佐賀県佐賀市中の小路3-22)

午前10時:証人・佐賀新聞販売局長 井出研一
午前11時:証人・元佐賀新聞販売局長 江口賢郎
午後11時30分:証人・元佐賀新聞販売局員・三神部会担当 武富一也
午後2時10分:証人・元佐賀新聞販売局員 原 正則
午後3時10分:証人・原告 寺﨑昭博

原告・寺崎さんは、証人尋問を前に証人尋問の傍聴を呼びかける文書を発表した。その内容から察して、尋問ではABC部数の水増しや、それに伴う折込広告の水増し問題にも言及するようだ。呼びかけ文をPDFで紹介しよう。

原告・寺崎氏のお願い文

■佐賀新聞「押し紙」裁判の全記事

 

【「押し紙」事件の経緯】
原告の寺崎さんは、2009年4月に佐賀新聞・吉野ヶ里販売店の経営者になり、2015年12月末で廃業した。負担させられていた「押し紙」の割合は、当初は10%程度だったが、ピーク時の2012年6月には約19%に。その後、佐賀新聞社が全販売店を対象に「押し紙」を減らしたこともあり、廃業時には約14%だった。

寺崎さんは、繰り返し佐賀新聞社に対して「押し紙」を減らすように求めたが、同社は申し出には応じなかった。担当員や販売局長らを交えた面談の際には、販売局長が、「残紙があって苦しいのはわかるが、『残紙』は販売店の責任だから切ってやることはない」と発言するなど、佐賀新聞社は「押し紙」政策を改めようとはしなかった。

その結果、新聞代金の納金が遅れるようになり、販売局長から、「これ以上納金の遅れが続き、その金額が信認金を超えれば改廃になる」と告げられた。

実際、納金が遅れるようになり、寺崎さんは2015年の12月末日付で廃業に追い込まれた。

「押し紙」問題がはじめてクローズアップされたのは、1970年代である。日本新聞販売協会が1977年に残紙のアンケート調査を行い、全国の新聞の8.3%が残紙になっているという結果を発表した。1980年に入ると、新聞販売問題は、国会質問の場で議題になった。85年までに15回に渡って、共産党、公明党、社会党の3党が15回に渡って「押し紙」問題を取り上げた。

国会質問のなかで、最もインパクトを与えたのは、瀬崎博義(共産)議員による「北田資料」の暴露である。これは読売新聞鶴舞直売所の北田店主が、暴露した同店の資料で、それによると3割から4割程度が残紙になっていた。

ちなみに読売は、「押し紙」をしたことは一度もないと主張してきた。

■■
残念ながら国会質問を繰り返しても、「押し紙」問題は解決しなかった。日本経済が好調で、折込広告の需要が増えたからだ。「押し紙」があっても、折込広告の水増しで、損害を相殺できる構図が生まれると、店主らも「押し紙」問題にはふれなくなった。その結果、洪水のように「押し紙」が押し寄せ、産経新聞・四条畷販売所の今西龍二さんのように、「押し紙」小屋を建設する店主も現れたのである。

今世紀になって、1990年代に蓄積された「押し紙」が発覚しはじめた。
「押し紙」率が40%や50%は、特に珍しくない状態が生まれた。

2007年、福岡高裁が真村訴訟で、読売新聞の「押し紙」政策を認定する判決を下した。これを機にメディアが「押し紙」問題を取り上げるようになった。しかし、2009年に読売新聞社が、『週刊新潮』とわたしに対して5500万円の支払を請求する名誉毀損裁判を起こすと「押し紙」報道は消えた。

この裁判で読売の代理人を務めたのが、喜田村洋一・自由人権協会代表理事である。読売には、1部も「押し紙」は存在しないと主張したのだ。この弁護士が作成した書面は、事実の信憑性が疑わしいので、今後も検証する必要がある。わたしに対する著作権裁判でも読売の代理人を務め、虚偽の事実を前提に提訴していた高い可能性が判決で認定された。信用できる人間ではない。

【参考記事】読売の滝鼻広報部長からの抗議文に対する反論、真村訴訟の福岡高裁判決が「押し紙」を認定したと判例解釈した理由

2019年08月20日 (火曜日)

佐賀新聞の「押し紙」裁判、原告・寺崎氏が販売局員のハラスメントを克明に綴った陳述書を提出

佐賀新聞の元販売店主・寺崎昭博氏が起こした「押し紙」裁判で、去る7月1日に同社の販売局の実態を克明に綴った寺崎氏の陳述書が提出された。陳述書は、原稿用紙に換算すると60枚をこえる分量で、寺崎氏が販売店主になった経緯から、「押し紙」により廃業に追い込まれるまでの経緯を書いている。ABC部数をかさあげする手口にも言及している。

この裁判は2016年6月に寺崎氏が起こしたものである。請求額は8186万円。最初、寺崎氏が江上武幸弁護士に相談し、「押し紙」弁護団が結成され、提訴に至った。

地方紙を舞台とした「押し紙」裁判ということもあって、あまり話題になっていないが、裁判の中で新聞社販売局の前近代的な体質が浮き彫りになっている。

次に引用する陳述書のくだりは、寺崎氏が販売局員から、「押し紙」を買い取らなければ、商契約を終了すると脅される場面である。

 A担当が契約書を持ち帰れば、それは即廃業を意味します。

 A担当は「押し紙を買わないと言われれば自分の立場上そうするしかない。」と言われました。私は、宮崎担当にこれ以上言っても仕方がないと思い直し、契約書を受け取りました。受け取った契約書の作成日は、平成27年4月1日と遡って記載されていました。

 毎回資金ショートを起こすたびに思い悩んできたのですが、この時もなぜ借金を増やしてまで押し紙を買わされなければならないのか、決して読者を増やす努力をしていないわけではないのに、なぜ私だけが経営努力が不足しているように被告に言われ、社会全体の流れとして新聞の購読率の低下を被告は認めながらも、それがさも販売店の努力不足が原因であるかの如く論点をすり替えられ続けられなければならないのか、そして、何か言おうとすれば契約を盾に脅され続ければならないのか、被告が持っているはずの新聞社としての倫理観はどこに消えてしまったのか、借金を増やしてまで、在りもしない読者に対してチラシを貰い続け、押し紙代金のためにそれに正当な利益を加えてまで押し紙代金を払わされなければならないのか、様々な思いがあふれ出てきました。

 

◆新聞人の見解、「『押し紙』は一部も存在しない」
日本の新聞社は、「押し紙」を柱とした販売政策で事業を拡大してきた。「押し紙」問題が本格的に浮上してきたのは、1970年代であるから、それか50年近くが過ぎている。だが、大半の新聞社はいまだに「押し紙」をやめない。読売新聞社や日本新聞協会に至っては、今も「押し紙」は一部も存在しないと開き直っている。

その一方で、ジャーナリズムの旗を掲げている。これだけ甚だしい言行不一致の例は、珍しいのではないか。おそらく「押し紙」制作を廃止すれば、巨大化しすぎた事業を支えきれなくなるからだろう。

寺崎氏の陳述書の全文は次のとおりである。訴状と「押し紙」一覧も併せて紹介しておこう。

寺崎氏の陳述書(販売局員名は匿名にした)

訴状

「押し紙」一覧

 

写真:江上武幸弁護士(左)、原告の寺崎昭博氏(右)。背景の新聞は、証拠として弁護士事務所に持ちこまれた「押し紙」

 

2018年04月02日 (月曜日)

佐賀新聞と販売店の係争、販売店が勝訴、地位保全を認める、背景に典型的な「押し紙」事件

佐賀新聞の販売店主が、店主としての地位保全を求めた仮処分申立事件で、佐賀地裁は、3月29日、店主の申し立てを認める決定を下した。この係争の背景には、「押し紙」問題があり、関係者の注目を集めていた。販売店訴訟で全国的に販売店が勝訴する流れが生まれはじめているなか、今回の販売店勝訴はそれに拍車をかけそうだ。

この事件の発端は、平成28年4月にさかのぼる。店主が佐賀新聞社に対して提出が義務づけられている報告書に、「仕入れ部数2550部お願いします」と記載した。つまり新聞の注文部数が2550部であることを、店主が書面で公式に申し入れたのである。

これに対して佐賀新聞は、店主の要望を拒否。前月と同様の搬入部数2980部を搬入する旨を通知した。そして実際に、2980部を搬入したのである。

この時点で、差異の430部が「押し紙」となった。これを仕入れ価格に換算すると、約86万円(月額)になる。店主は、この86万円の納金を拒否した。

4月以降も佐賀新聞は、店主が発注した搬入部数を認めず、「押し紙」を続けた。店主の方も、「押し紙」に相当する仕入れ代金については、支払いを拒否した。そして平成28年12月の時点で、「押し紙」部数に相当する未払い金は、約705万円に膨れあがった。

もちろんこうした状態に至るまでの間、店主は佐賀新聞に対して繰り返し減紙を申し入れていた。しかし、佐賀新聞は、店主との間に年間の部数目標を定めていることなどを理由に、強引に「押し紙」政策を続けた。そしてあげくの果て、平成28年12月14日に、販売店との商契約を打ち切る旨(契約の更新拒否)を通知したのである。

そこで店主は、地位保全の仮処分を申し立てた。佐賀地裁は、販売店の申し立てを認めた。ただし、地位保全の期間は1年に限定された。

その1年の期間が終了する前の平成29年12月、佐賀新聞は再び販売店との商契約を更新しない旨を伝えた。そこで販売店側は、再び地位保全の仮処分を申し立て、今回それが認められたのである。期間は1年。

◇独禁法の新聞特殊指定に抵触

店主の地位が保全された最大の理由は、過剰になっていた新聞が実質的に「押し紙」と認定されたからである。店主は、繰り返し新聞の搬入部数を減らすように申し入れていた。つまり「押し紙」を断った明確な証拠があったのだ。

また、独禁法の特殊指定によると、新聞販売業における「注文部数」とは、実配部数に予備紙(通常は、搬入部数の2%とされる)を加えた数字を意味しており、佐賀新聞がこのルールに違反して、年間の目標部数(ノルマ)を定めていたことも大きな要因だ。

ちなみに新聞販売店と新聞社の契約は、通常、3年から5年の期間で契約を自動的に更新する慣行がある。佐賀新聞の場合は、3年ごとの契約更新だった。従って契約期間が終了すれば、佐賀新聞は契約を更新しない自由もあるが、
店主が明らかな不祥事でも起こさない限り、なかなか契約更新の拒否は認められない。新聞販売業は家業の側面が強いからだ。

そのために新聞社が常套手段として持ち出してくる理由は、新聞部数の虚偽報告により、信頼関係が破壊されたというものである。次の読売の判例のように。

■ 真村裁判福岡高裁判決(読売)

また、「積み紙」を理由に契約更新を拒否することも多い。「積み紙」とは、折込広告の水増しを意図して、販売店が自主的に注文する新聞部数のことである。

佐賀新聞のケースでは、店主が減部数を繰り返し要求していたので、「積み紙」と認定される余地はなかった。

今後、公正取引委員会の対応が注目される。

◇朝日新聞が「押し紙」報道

なお、今回の判決については、朝日新聞が報道した。

3月31日付け、朝日新聞の記事

2017年04月02日 (日曜日)

佐賀新聞・販売店が提起した仮処分申し立て事件、販売店が勝訴、実質的に佐賀新聞の「押し紙」政策を認定

佐賀地裁(森山由孝裁判官)は、3月29日、佐賀新聞のA販売店が申し立てていた地位保全と「押し紙」の中止を求める仮処分に対して、店側の主張を認める決定を下した。しかし、仮処分の有効期間については、2018年3月31日までの1年間とした。

経緯は次の通りである。

店主の代理人弁護士は、店主に対して、「販売店経営に必要な部数だけを注文すること、新聞社が従前の部数を提供してきた場合は、押し紙の部数の仕入れ代金の支払いは保留しておくこと」を指示したうえで、佐賀新聞社に対して「押し紙」の中止を申し入れた。

しかし、佐賀新聞社は申し入れに応じなかった。販売店からの注文部数を超えた部数を供給することは、独禁法の新聞特殊指定に違反しているにもかかわらず、それを指摘した弁護士の要請を拒否したのである。

そこで店主は、「押し紙」分の仕入れ代金の支払いを拒否するようになった。その結果、「押し紙」の「未払い金」が累積。それを理由に佐賀新聞社は、2016年12月14日、翌年の3月31日をもってA販売店との商契約を終了する旨を通知した。実質的な強制改廃である。

そこで2月21日に、販売店側が地位保全の仮処分を申し立てていたのである。

なお、A販売店の弁護団は、3月7日に、公正取引委員会の九州事務所に対して、「押し紙」の緊急停止命令(独禁法70条の4)を発令するように申し入れている。

ちなみに、佐賀新聞では、A販売店の店主の他にも、「押し紙」裁判を起こしている店主がいる。次の記事を参考にしてほしい。

【参考記事】佐賀新聞の「押し紙」裁判、江上武幸弁護士ら原告弁護団が訴状を修正・再提出、「押し紙」の定義に新見解を示す

【弁護団声明】

【仮処分の決定・全文】

 

2017年02月28日 (火曜日)

佐賀新聞社を舞台に新たな訴訟、 佐賀新聞の弁護士が内容証明で「押し紙」の排除を拒否、販売店訴訟弁護団が全国の販売店へ向けて声明

全国的に新聞ばなれが進むなかで、新聞社と販売店のトラブルが急激に増えている。こうした状況の下で、2月21日、佐賀新聞社の新聞販売店主・A氏が佐賀新聞社に対して地位保全裁判を起こした。「押し紙」を断ったところ、契約期間満了に伴う「契約更新拒絶」を通告され、これに対抗して法的な措置を取ったのである。

A氏の代理人を務めるのは、新聞販売店の訴訟で有名な江上武幸弁護士らのグループである。江上弁護士らは、昨年の夏にも、佐賀新聞社に対して「押し紙」をめぐる裁判を提起しており、今回の新たな訴訟提起により、佐賀新聞社は2件の訴訟をかかえることになった。

【参考記事】佐賀新聞の「押し紙」裁判、江上武幸弁護士ら原告弁護団が訴状を修正・再提出、「押し紙」の定義に新見解を示す

原告側が勝訴した場合、勝訴の判例が今後の「押し紙」裁判に大きな影響を及ぼす可能性もあり、裁判のゆくえが注目される。しかも、「押し紙」の証拠がかなりそろっており、裁判所が政治的判断をしなければ、原告が勝訴する可能性が極めて高い。

◇前代未聞、弁護士が内容証明で「押し紙」代金を請求

地位保全裁判を起こしたA氏は、2016年4月から、佐藤潤一弁護士を伴って佐賀新聞に対し、「押し紙」の解消を求める交渉をしていた。みずから新聞の注文部数を提示することで、過剰になる新聞の搬入を阻止しようと試みたのである。

ところが佐賀新聞社は、A氏の要求を無視して、従来どおりに過剰な新聞の搬入を続けた。そして「押し紙」分の部数についても、新聞の卸代金を請求し続けたのである。

これに対してA氏は、「押し紙」については支払いを拒否。その未払い額は、累積してゆき、2016年11月の時点で、約616万円に達していた。この金額の支払いを佐賀新聞社の代理人弁護士が内容証明郵便で求める前代未聞の事態も起きている。

それでも「押し紙」代金の支払いに応じないA氏に対して、佐賀新聞社が選んだ措置は、契約更新の拒絶の言い渡しであった。今年の3月末をもって、A氏との取り引きを行わないことを、弁護士を通じて通知してきたのである。

この裁判は地位保全裁判であるが、その原因となっているのは、「押し紙」問題である。当然、争点は「押し紙」になる。

◇弁護士が公式に「押し紙」の排除を拒否

A氏の代理人・佐藤弁護士は、江上弁護士らの新聞販売店弁護団に加わり、佐賀新聞社に対して、地位保全を求める訴訟を提起したのである。

原告弁護団によると、今回の仮処分申立は、次のような意味があるという。

・弁護士が代理して「押し紙」の解消(減紙)を求めたにもかかわらず、佐賀新聞は公式にこれを拒否。→違法行為の是正を拒否。組織的な「押し紙」政策を認めるに等しい。

・佐賀新聞が「押し紙」を認めたに等しく、今後、佐賀新聞には同様の「押し紙」解消、損害賠償の訴えが相次ぐ可能性、さらには、この動きが全国に波及する可能性もある。

◇弁護団声明

仮処分申立に際して、原告弁護団は全国の新聞販売店とメディアに向けて次のような声明を発表した。「押し紙」や強制改廃に対抗する方法も示している。

■弁護団声明の全文

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佐賀新聞押し紙訴訟弁護団 声明
平成29年2月22日
福岡県久留米市城南町22-9                  
法務会館4階C
佐賀新聞押紙訴訟弁護団
弁護団長 江上武幸
TEL:0942-30-3275                  
FAX:0942-30-3276  

当弁護団は、昨日2月21日、従前の廃業した販売店の損害賠償請求訴訟に加え、現役の販売店であるA販売店の委任を受け、販売店地位確認を求める仮処分申立を佐賀地裁に提訴しました。
A販売店は、昭和20年代から続く老舗の販売店ですが、全国的にみられる急速な新聞離れの影響を受け、押し紙の仕入代金の増加に苦しめられてきました。

そのため、このままでは販売店経営が立ち行かなくなることから、昨年4月、佐賀県弁護会所属の佐藤潤一弁護士に委任して、仕入れ部数の減紙の申し入れを行うことにしました。
佐藤弁護士は、A販売店主に「販売店経営に必要な部数だけを注文すること、新聞社が従前の部数を供給してきた場合は、押し紙の部数の仕入れ代金の支払いは保留しておくこと」を指示し、佐賀新聞本社に出向き、佐賀新聞の顧問弁護士を交えた席で、A販売店に対する押し紙を止めるよう申し出ました。

しかし、佐賀新聞社は、佐藤弁護士の数回におよぶ交渉にもかかわらず、A販売店の減紙の申出には応じることは出来ないという姿勢を変えようとはしませんでした。
のみならず、佐賀新聞社は、平成28年12月14日「4月からの滞納金が合計700万円を超えていること、減紙の申し入れは社の販売方針や販売店との取引慣行に違反する行為であること」を理由に本年3月31日の期間満了をもって契約を終了させ、以後は契約を更新しない旨を通知しました。

これまで、弁護士が新聞社に対し独禁法に基づく押し紙の禁止を求めたのに対し、それを拒否した例は聞いたことがありません。
そのため、佐藤弁護士はA販売店の経営を守るため、契約更新拒絶の無効を求める仮処分の申し立てを行うことを決め、当弁護団に裁判の協力を依頼された次第です。

弁護団の事務所には、中央紙・地方紙を問わず各地から押し紙の相談が寄せられています。この瞬間にも、押し紙のため経営困難に陥り、倒産の危機に瀕し、苦悩しておられる販売店主の方々がたくさんおられます。

■販売店の皆さんへ

皆さんが理不尽な押し紙の負担にひたすら黙って耐える時期は過ぎました。
押し紙の仕入代金の支払いのためにこれまでの蓄えを使い切り借金までして、なんとか経営を続けようと考えておられる販売店の皆さん。

今こそ、家族と従業員の生活を守るため、新聞社の横暴に断固として立ち上がり押し紙を返上しようではありませんか。

私たちは皆さん方に、次の提案を行います。

①注文票に実売数を正確に記載して新聞社に送って、そのコピーを残しておいて下さい。

②担当員に、実売数と適正な予備紙を超える部数の押し紙の減紙を申し出て、その時の会話を録音しておいてください。前後に会話した日時を録音しておいて下さい。

③実売数がわかる読者台帳、手板、領収書控、自振の銀行通帳、会計記録、決算報告書、確定申告書等の原本やコピーを保管しておいて下さい。

④販売局員(担当を含む)との面談や電話は、録音・日誌で記録に残してください。

⑤押し紙問題の経験のある弁護士に相談し、細かい指示を仰いでください。

黒薮氏にお尋ねいただければ、経験のある全国の弁護士の紹介が可能かと思います。

■メディアの皆さん、特に新聞記者の皆さんへ

新聞社の経営は、基本的に紙面広告収入と販売店の新聞仕入代金収入の2本立で成り立っています。押し紙をなくすことにより、販売店からの収入が減少すると同時に、紙面広告の媒体価値が少なくなりますので広告料の収入も減少します。従って、新聞社の経営にとっては大きなマイナスになることは避けられません。

しかし、新聞社の経営のために、零細な販売店の店主や従業員、その家族を犠牲にすることが許されないのは当然です。

そのようなことは、社会の木鐸である新聞社がとるべき経営姿勢ではありません。賢明な皆さまには、釈迦に説法のことと思います。

しかし、これまで、どれほどの数の販売店主や従業員、その家族が、新聞社のために犠牲に供され、人生を狂わされてきたか想像がつきません。
記者といえども生活があり家族があり、自社の新聞や系列のテレビで押し紙の問題を取り上げることが事実上できないことは十分理解できます。しかし、押し紙問題をこのまま放置しておいては、いずれ新聞社本体の存続にかかわってくることが予想されます。

戦争体験者から、国内的にも世界的にも、きな臭い戦前の空気を感じるとの声が聞こえてきます。

言論の自由を守り、戦争に反対し、平和の礎となる役割を期待されているマスメディア、とりわけ新聞の果たす役割は、今後、益々重要になってくると考えています。

新聞が、時の権力のいかなる不当な介入も許さず、国民の知る権利を守るという本来の使命を発揮できるようにするために、記者の皆さんが知恵と工夫を発揮して、まず自分の新聞社の押し紙問題を解決するために立ち上がられることを切に願っています。

以 上

2016年09月02日 (金曜日)

佐賀新聞「押し紙」裁判の弁護団が協力できる佐賀新聞の販売店主者を募集、10月には「押し紙」を考える全国集会に参加

新聞の偽装部数「押し紙」をめぐる2つの動きを紹介しよう。

まず、佐賀新聞の「押し紙」裁判についてである。第1回口頭弁論が次のスケジュールで行われる。

場所:佐賀地裁   2号法廷

日時:10月11日(火) 午前10時10分

原告弁護団は、佐賀新聞の販売店経営者・元経営者で協力が可能な方を探している。「押し紙」で苦しんでいる店主、あるいは元店主の協力を求めている。

【連絡先】
原告弁護団:江上法律事務所:0942-30-3275
メディア黒書:048-464-1413

メディア黒書は、原告の寺崎氏を全面的に支援しており、今後、裁判関連の資料を公開していく予定。もちろん佐賀新聞からの反論も受け付ける。

◇新聞の偽装部数『押し紙』を考える全国集会

第2のお知らせは、「新聞の偽装部数『押し紙』を考える全国集会」(仮タイトル)開催についてだ。日程と場所は次のとおり。

場所:板橋文化会館(大会議室・東京都板橋区)

日時:10月2日(日) 午後

この大会は左派・右派・無党派の壁を超えて、「押し紙」が理不尽だと感じている人々がひとつの会場で「押し紙」問題について考えることを目的としている。当日は、佐賀新聞「押し紙」裁判の原告弁護団や、「押し紙」問題に取り組んできた小坪慎也行橋市議(福岡県)も参加する。

詳しい内容が決まりしだいメディア黒書で告知する。

 注:会場でのスパイ活動はお断りします。。前歴のある新聞社の関係者は入場できません。

2016年08月27日 (土曜日)

佐賀新聞「押し紙」裁判の波紋が広がる、新判例の誕生に警戒を強める中央紙

佐賀新聞の元販売店主が「押し紙」裁判を起こしたあと、全国に波紋が広がっている。佐賀新聞の発行部数は、わずか約14万部。地方紙の中でも規模の小さな新聞社である。

そのために筆者は、提訴に対する反響はあまりないのではないかと予測していたが、中央紙の関係者らは、あの手この手を使って情報を収集しているようだ。筆者のところにも、素性がよく分からない人物から問い合わせがあった。

「押し紙」問題で有名な江上武幸弁護士らが原告代理人を務めていることが警戒心を強めているようだ。「押し紙」を断罪する新しい判例が生まれることを警戒しているのだろう。

この裁判では、「残紙」はすべて「押し紙」であり、独禁法に抵触するという見解を打ち出している。

■参考記事:佐賀新聞の「押し紙」裁判、江上武幸弁護士ら原告弁護団が訴状を修正・再提出、「押し紙」の定義に新見解を示す

次に示すのは、「押し紙」の回収場面を撮影したものである。

◇「押し紙」の回収場面

「押し紙」の理不尽さを理解するには、現場を見るに限る。上の動画が示すように、新聞販売店で過剰になった新聞が次々とトラックに投げ込まれていく。その割合は、販売店によっては、搬入される新聞の4割にも5割にもなる。

新聞に折り込まれる折込チラシは、原則として新聞の搬入部数と同じなので、廃棄される新聞部数に連動して、折込チラシも秘密裏に廃棄されている。

こうした実態が延々と続いてきた。「押し紙」が最初に社会問題になったのは、1980年代の初頭である。「押し紙」を含む新聞販売の諸問題を、共産・公明・社会の3党が取り上げ、85年までに計15回の国会質問を行った。

しかし、それでも新聞販売の問題にメスが入ることはなかった。国会議員の質が落ちて、メディアの問題にはタッチしなくなったからだ。司法も、残紙を「押し紙」と認定することはなかった。その結果、新聞販売の現場は、どんどん蝕まれていったのだ。

 

2016年08月15日 (月曜日)

佐賀新聞の「押し紙」裁判、江上武幸弁護士ら原告弁護団が訴状を修正・再提出、「押し紙」の定義に新見解を示す

佐賀新聞社を被告とする「押し紙」裁判で、原告の元販売店主・寺崎昭博氏の弁護団は、訴状を再提出した。この裁判は、もともと6月3日に佐賀地裁へ訴状が提出されていたが、その後、原告弁護団は訴えの中身を再検討して、今回の再提出となった。

請求額は8186万円。新しい訴状では、「押し紙」の概念で新見解が示されているほか、佐賀新聞社による優越的地位濫用やABC公査の実態が記録されている。

■訴状(全文)

■「押し紙」一覧表

◇開業から改廃まで

原告の寺崎氏は、2009年4月に佐賀新聞・吉野ヶ里販売店の経営者になり、2015年12月末で廃業した。負担させられていた「押し紙」の割合は、当初は10%程度だったが、ピーク時の2012年6月には約19%に。その後、佐賀新聞社が全販売店を対象に「押し紙」を減らしたこともあり、廃業時には約14%だった。

寺崎氏は、繰り返し佐賀新聞社に対して「押し紙」を減らすように求めたが、同社は申し出には応じなかった。担当員や販売局長らを交えた面談の際には、販売局長が、「残紙があって苦しいのはわかるが、『残紙』は販売店の責任だから切ってやることはない」と発言するなど、佐賀新聞社は「押し紙」政策を改めようとはしなかった。

その結果、新聞代金の納金が遅れるようになり、販売局長から、「これ以上納金の遅れが続き、その金額が信認金を超えれば改廃になる」と告げられた。

実際、納金が遅れるようになり、寺崎氏は2015年の12月末日付で廃業に追い込まれた。

理不尽な「押し紙」制度に納得がいかなかった寺崎氏は、福岡県久留米市の江上武幸弁護士に相談した。江上武幸弁護士は、「押し紙」問題の専門家で、読売新聞社を相手取った真村訴訟では読売に勝訴している。読売による優越的地位の濫用と「押し紙」政策を認定させたのである。この判決は、2007年12月に最高裁で確定し、その後、「押し紙」問題を考える指標になっている。

■真村訴訟福岡高裁判決(全文)

江上弁護士は、寺崎弁護団を結成して訴訟の準備を進め、提訴に至ったのである。

◇「残紙」=「押し紙」の新見解

訴状で弁護団は、「注文部数」、「押し紙」、それに「残紙」についての概念を新しい視点から再定義している。従来、「注文部数」とは、書面上に明記された新聞の仕入れ部数だった。その数字は、たとえ新聞社から強要されたものであっても、書面上では、販売店が自主的に注文した形式になっているので、「注文」に基づいて搬入された新聞部数が過剰になっても、「押し紙」とは見なされない。従って「残紙」と呼ばれる。裁判所も「残紙」を「押し紙」として認定してこなかった。

このような従来の見解に対して、弁護団は、「残紙」も「押し紙」に該当するとの新見解を、公正取引委員会などの文書を歴史的に検証することで示している。(訴状11ページ~)

すなわち、特殊指定にいう「注文部数」とは、販売店が新聞社に形式的に注文した部数を意味するのではなく、部数の中身に着目して「新聞購読部数」に「地区新聞公正取引協議会が定める予備紙等」を加えた販売店経営に必要な部数を「注文部数」と定義している。

 従って、この定義に反して、販売店が販売店経営に必要な部数以上の部数を注文した場合、新聞本社はその部数を供給してはならない独禁法上の義務を課せられている。

◇ABC公査の実態

訴状の中で、弁護団はABC公査についても具体的に言及している。

新聞本社の発行する紙面広告料は発行部数の多寡によって決まる。この発行部数はABC協会が発表する部数であり、各新聞本社の販売店に対する供給部数の合計であり、実際の読者の数ではない。しかし、発行部数と実際の読者の数に差がありすぎると、広告主の判断に悪影響を与えるため、ABC 協会は公表部数の信頼性を確保するために公査を実施している。

 公査は、2年に1度、新聞本社及び販売店を調査員が訪れて帳簿等を調べる方法によって実施されている。

 被告は、各販売店が大量の「残紙」を抱えているため、ABC 協会の公査で「残紙」の存在が発覚しないよう、あらかじめ販売店に対し公査に備えて「残紙」を隠ぺいする偽装工作を指示および指導している。

 具体的な隠ぺい工作の方法としては、まず、販売店ごとに定数に占める「残紙」の割合を計算するよう指示し、「残紙」の率が高い場合は、残紙率を下げるために実配数を増やすよう指示している。実配数を増やす方法としては、読者の存在を裏づけるための架空の領収書を作成したり、読者台帳等の帳票類の数字に手を加えたりする方法などを指示している。

 「公査対策用の1ヶ月分の帳票類ができあがったところで、次の月の帳票類の作業に入る前に、一度担当に確認してもらったほうが良いでしょう。」と、販売店に対し偽装工作の結果について担当のチェックを受けるよう、細部にわたる指示を行っている。

 このことも、被告が販売店に大量の「残紙」が存在する事をあらかじめ知っていたことを示すものある。

◇優越的地位の濫用

優越的地位の濫用については、単に「押し紙」の強要だけではなく、佐賀新聞社が販売店の人事にまで介入している事実(訴状9ページ)や、増紙計画を達成できなかった販売店に対して罰金を課していた事実(訴状9ページ)、さらには本来3年間に定められるはずの商契約を、非協力とみなした販売店に対しては、大幅に短縮している事実(訴状9ページ)などを指摘している。

◇「報告事件」対策

メディア黒書は、佐賀新聞の「押し紙」裁判を、裁判資料の公開も含め、随時報道していく。インターネットの利点を活用した報道を展開する。それが「報告事件」を防止する対策になる。

「報告事件」とは、最高裁事務総局が干渉する裁判を意味する。書記官に裁判の進行を報告させ、事務総局の意に添わない判決が出る可能性が浮上すると、人事権を行使して裁判官を交代させるなどの「対策」を取る。こうした「対策」がメディア企業や一般の大企業との汚職の温床になることは論をまたない。

「報告事件」の存在は、最近、複数の元裁判官らの著書により、その存在が輪郭を現しはじめている。

【写真】江上弁護士の事務所に、証拠として保存されている1週間分の「押し紙」と、それに付随する折込広告。左が江上弁護士、右が原告の寺崎氏。

 

2016年06月06日 (月曜日)

佐賀新聞の元店主が「押し紙」裁判を提起、約7100万円の損害賠償を請求、法廷で審理されるABC部数「偽装」の手口、読売・真村訴訟の弁護団が代理人に

「押し紙」で損害を受けたとして、佐賀新聞の元販売店主が6月3日、佐賀新聞社を相手どって約7100 万円の損害賠償を請求する裁判を佐賀地裁で起こした。元店主は、「押し紙」の負担で販売店経営が悪化し、佐賀新聞に対して執拗に「押し紙」の中止を求めていた。新聞社の「押し売り」問題が法廷で審理されることになった。

「押し紙」の実態と損害は次のPDFに示した通りである。

■佐賀新聞の「押し紙」の実態と損害一覧

「押し紙」率は、原告が店主になった2009年4月の段階では、10%だったが、ピーク時の2012年6月には19%に増えている。原告が年間に被った損害は、年度によって異なるが年間に、約460万円から約1000万円だった。多額の借金を背負わされて、昨年12月に廃業に追い込まれていた。

◇ABC部数「偽装」の恐るべき手口

訴状によると、佐賀新聞社は、「押し紙」部数を隠すために、ABC部数を偽装するための工作を原告に指示していた。これについて訴状は次のように述べている。

公査を受ける時期になると、被告佐賀新聞社から各販売店へ公査に備えるように連絡がされ、対象となる販売店には1~2日前にはABC協会が公査を告知するため、その販売店に対して被告佐賀新聞は次のような具体的な作業を指示する。
①足りない読者数を穴埋めするために過去の読者を現在の読者のようにみせかけたり、実在する人物を架空の読者に仕立て上げたりする。

②1年ないし半年分の架空の領収書を印刷させ、半券を切り取って破棄し、残った半証を過去の領収書の控えの間に挟ませ、各月の売上金額や配達料を支払った金額、配達部数などの数字もすべて作り変えさせる。

③あとは公査当日に店舗に残っている押し紙(残紙)を必要数以外は隠させ、前日のチラシの作業の終了時には定数近くまで折込機会のカウンターだけ回させる。

④日々の紙分けの作業に使う手板(各配達員に渡すべき部数を書く道具)の数字も各月ごとに不審な点が無いように作り変えさせる。

 原告の店舗にABC協会の公査が入った平成23年5月のときも上記の具体的な指示を佐賀新聞より受けており、また被告佐賀新聞は普段から各販売店に上記の隠蔽工作を指導している。

◇新聞社サイドが「押し紙」減部数を指示

「押し紙」は1部も存在しないというのが、従来からの新聞社の主張である。しかし、訴状によると佐賀新聞社は、販売店に指示してABC部数を偽装させているうえに、2013年3月には、全販売店を対象に、全体で搬入部数を2000部減らしている。これは佐賀新聞社が搬入した新聞がすべて配達されていないことをみずから把握していた証拠にほかならない。

さらに翌2014年6月には、やはり全販売店を対象に、搬入部数を3000部減らしている。原告店主の販売店の場合は90部が減数の対象になった。

◇読売・真村訴訟の弁護団が代理人に

新聞社の「押し紙」が初めて司法による認定を受けたのは、2007年である。読売新聞社を相手に、販売店が提起した真村訴訟の判決で、福岡高裁が読売による「押し紙」政策を認定し、その後、判決は最高裁で確定した。

■真村訴訟・福岡高裁判決

今回の佐賀新聞の「押し紙」裁判では、真村訴訟を担当した江上武幸弁護士らが原告の代理人を務める。

※なお、訴状は準備ができしだいメディア黒書で全文を公開する予定。