1. 「押し紙」の実態

「押し紙」の実態に関連する記事

『広報えどがわ』の水増し問題、江戸川区新聞販売同業組合が区に対してABC部数を超える部数を発注させていた決定的証拠

江戸川区の広報紙の配布を請け負った江戸川区新聞販売同業組合(以下、組合)が、媒体の必要枚数を偽って発注させていた決定的な証拠が明らかになった。折込広告を水増しして、過剰になった媒体を廃棄していた事実が浮上した。

【不正が発覚した経緯】
東京都江戸川区は、組合に依頼して、『広報えどがわ』を配布してきた。ところがメディア黒書に対する公益通報により、同媒体が配達されずに大量に廃棄されている疑惑が浮上した。

そこで筆者は真相を確認するために、2つの資料を入手した。まず、江戸川区に対して、『広報えどがわ』の新聞折込を発注するに際して、組合が江戸川区に提示した同媒体の必要枚数を裏付ける資料である。情報公開請求の結果、次の枚数が明らかになった。

30年度(2018年):166,300枚
31年度(2019年):144,700枚

■裏付け資料

次に筆者は、日本ABC協会が調査して、4月と10月に新聞各社へ通知している新聞発行部数を確認した。その結果、江戸川区の部数は、次のようになっていた。()内は、組合が区に提示した媒体の必要枚数との差異である。ABC部数には、「押し紙」などが含まれているが、たとえ「押し紙」が皆無であっても、水増し状態になっている。

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2019年10月02日 (水曜日)

【写真特集】「押し紙」問題を放置して、 新聞に対する軽減税率の適用は異常

10月1日から、消費税が10%に引き上げられた。同時に、特定の商品に対する軽減税率も適用された。新聞もこの優遇措置を受ける商品のひとつである。理由は、新聞が日常生活の必需品であること、あるいは文化的な商品であることなどとされている。

しかし、新聞業界は、「押し紙」、「積み紙」、さらには折込広告の水増し問題などを内包している。そのために、全国各地で裁判などが多発してる。しかも、これらの問題は、1970年代から続いている。国会でも度々問題になっている。が、新聞人は解決に乗り出さない。

「押し紙」は1部もないと主張しているのだ。たとえば「押し紙」が1部もなくても、「積み紙」の存在は明らかだ。

この問題を放置して、なぜ、新聞人が税の優遇措置を受けなければならいのか、筆者はまったく理解できない。

そこでビジュアルに広義の「押し紙」問題の実態を知らせる。次に紹介する写真を参照にこの問題を考えてほしい。

 

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公益通報者に対して弁護士を使って圧力 江戸川区の選挙公報水増し問題

折込広告の水増し行為は、広告主にとっては許しがたい行為にほかならない。4年前、広告代理店・アルファトレンドが折込詐欺で広告主から提訴され敗訴した事件をメディア黒書で繰り返し報じたところ、同社があっけなく倒産したことがある。広告主の怒りを物語っている。

【参考記事】広告代理店・アルファトレンドが倒産、折込広告の詐欺発覚で

 

現在、取材中の江戸川区の選挙公報水増し事件が発覚したのは、公益通報があったからだ。その公益通報を最初に受けたAさんが、自分のブログで廃棄される選挙広報や江戸川区民報などの写真を公表したところ、国吉延男氏(YCと広告代理店を兼業、江戸川区北葛西3-1-18 )が、Aさんのブログを管理するKDDIに対して、Aさんの個人情報を明かすように求めて裁判を起こした。

この裁判で勝訴した店主は、渋谷区にあるしぶや総和法律事務所を通じて、Aさんに対して、公益通報者を密告するように求めてきたのだ。Aさんに対する刑事告訴や民事訴訟もほのめかしている。一部を引用してみよう。

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2019年09月27日 (金曜日)

佐賀新聞の「押し紙」裁判、11月1日に証人尋問、ABC部数の水増しを暴露か? 原告が呼びかけ文を発表

佐賀新聞社を被告とする「押し紙」 裁判の証人尋問が、11月1日に開かれる。詳細は次のとおり。

日時:2019年11月1日 午前10時~午後5時

場所:佐賀地方裁判所 3階
(佐賀県佐賀市中の小路3-22)

午前10時:証人・佐賀新聞販売局長 井出研一
午前11時:証人・元佐賀新聞販売局長 江口賢郎
午後11時30分:証人・元佐賀新聞販売局員・三神部会担当 武富一也
午後2時10分:証人・元佐賀新聞販売局員 原 正則
午後3時10分:証人・原告 寺﨑昭博

原告・寺崎さんは、証人尋問を前に証人尋問の傍聴を呼びかける文書を発表した。その内容から察して、尋問ではABC部数の水増しや、それに伴う折込広告の水増し問題にも言及するようだ。呼びかけ文をPDFで紹介しよう。

原告・寺崎氏のお願い文

佐賀新聞「押し紙」裁判の全記事

 

【「押し紙」事件の経緯】
原告の寺崎さんは、2009年4月に佐賀新聞・吉野ヶ里販売店の経営者になり、2015年12月末で廃業した。負担させられていた「押し紙」の割合は、当初は10%程度だったが、ピーク時の2012年6月には約19%に。その後、佐賀新聞社が全販売店を対象に「押し紙」を減らしたこともあり、廃業時には約14%だった。

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2019年09月11日 (水曜日)

船橋市の新聞販売店50店が「見守り活動」、警察と連携した住民の監視にエスカレートする懸念

千葉県船橋市にある約50店の新聞販売店でつくる船橋市新聞販売同業組(吉岡宏組合長=読売・船橋中央店)は、船橋市と協力して住民の「見守り」活動に乗り出すことになった。全国の警察と覚書を交わして連携を取りながら「見回り活動」を実施している読売新聞販売店の活動に追随する動きである可能性が高い。

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2019年09月06日 (金曜日)

読売700万部の時代へ突入、年間で約41万部減、宮本友丘専務が2010年に「押し紙をしたことは1回もございません」と証言

2019年7月度の新聞のABC部数が明らかになった。最新のものである。
今回発表されたデータの最大の特徴は、読売が800万部を割ったことである。厳密に言えば読売は、6月度ではじめて800万部の大台を割り、7月にはさらに部数を減らした。年間の減部数が約41万部もあることから判断して、読売は700万部の時代に突入したと言っても過言ではない。部数の回復は期待できない。

 

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2019年09月04日 (水曜日)

南日本新聞の販売店5店が「押し紙」の集団訴訟、『週刊金曜日』が報じる

『週刊金曜日』(8月30日)が、地方紙の「押し紙」問題を取り上げている。クローズアップされている新聞社は、南日本新聞、宮崎日日新聞、それに佐賀新聞である。また、「押し紙」制度を廃止した例として、熊本日日新聞の取り組みが紹介されている。

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2019年08月29日 (木曜日)

江上武幸弁護士が、産経新聞による景品表示表違反事件の顛末を『消費者法ニュース』でレポート、産経新聞が訴訟を取り下げた深刻な理由

新聞社経営が順調だった今世紀の初頭ごろまで、水面下でたびたび社会問題になってきたのが新聞拡販活動だった。ビール券や洗剤を多量にばらまき、時には消費者をどう喝して、新聞の購読契約を迫る商法があたりまえに横行していた。「新聞はインテリがつくってヤクザが売る」とまで言われたのである。

その後、新聞拡販活動は徐々に衰えたような印象があったが、形を変えて残っていたようだ。本質的な部分では何も変わっていなかった。

 

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2019年08月20日 (火曜日)

佐賀新聞の「押し紙」裁判、原告・寺崎氏が販売局員のハラスメントを克明に綴った陳述書を提出

佐賀新聞の元販売店主・寺崎昭博氏が起こした「押し紙」裁判で、去る7月1日に同社の販売局の実態を克明に綴った寺崎氏の陳述書が提出された。陳述書は、原稿用紙に換算すると60枚をこえる分量で、寺崎氏が販売店主になった経緯から、「押し紙」により廃業に追い込まれるまでの経緯を書いている。ABC部数をかさあげする手口にも言及している。

この裁判は2016年6月に寺崎氏が起こしたものである。請求額は8186万円。最初、寺崎氏が江上武幸弁護士に相談し、「押し紙」弁護団が結成され、提訴に至った。

地方紙を舞台とした「押し紙」裁判ということもあって、あまり話題になっていないが、裁判の中で新聞社販売局の前近代的な体質が浮き彫りになっている。

次に引用する陳述書のくだりは、寺崎氏が販売局員から、「押し紙」を買い取らなければ、商契約を終了すると脅される場面である。

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2019年07月19日 (金曜日)

「読売から抗議文がきた」、メディア黒書への通報が相次ぐ、新聞人は司法よりも言論の土俵で論争を

ここ3カ月ほどの間に、読売新聞社、あるいは読売関係者から、読売新聞についての報道に対する抗議があったという情報提供が2件あった。このうちの一件は、新聞販売店の元従業員からの情報提供で、自身のブログで読売を批判したところ、標的にされた販売関係者がブログのサーバーに圧力をかけてきたというものである。

このブログは、読売関係者を明らかに誹謗中傷しており、抗議を受けてもいたしかたないと判断できた。削除して、謝罪するようにアドバイスした。

もう一件は、山武ジャーナルというサイトの主催者から得た情報である。同サイトで「残紙処理現場 配達されず、闇から闇に葬られる新聞残紙。折込みで届けられるはずの広報誌の行方は?」と題する記事を掲載したところ、読売の広報部長から、抗議書が送付されたというのだ。

山武ジャーナル

山武ジャーナルの報道内容と読売からの抗議内容については、これから検証していくが、読売の主張は、簡単に言えば読売は注文部数を超えた新聞を販売店に搬入したことはないというものだ。これまでも同社が延々と繰り返してきた主張である。読売が主張する「押し紙」の定義を前提として、山武ジャーナルがいう「押し紙」は、定義に当てはまらないから、「押し紙」ではないという主張だ。

抗議書の最後には、「 なお、本抗議書の著作権(著作者人格権を含みます)は、当社に帰属しますので、WEBサイト等に掲載することはお断りします」と、記されている。(続きはウェブマガジン)

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本日発売の『週刊金曜日』、産経新聞の内部資料を暴露、大阪府の広域における「押し紙」

4月21日に投票が行われた統一地方選挙の当日のことである。筆者のもとに2枚の写真がメール送信されてきた。写真に写っていたのは、新聞販売店の店舗に積み上げられた選挙公報である。各候補者の公約を掲載したもので、有権者が投票先を決める際の指標になる情報である・・・・・・

本日発売の『週刊金曜日』に、筆者の「腐敗臭を放つ新聞社の部数獲得策『押し紙』と『景品』」--『産経』では搬入部数の約6割しか配達しない販売店も 」というタイトルの記事が掲載された。

これは産経新聞の内部資料に基づくもので、大阪府の特定の広域における正確な「押し紙」部数を暴露したもの。新聞社の両輪は、「押し紙」と高価景品を使った拡販。その両輪が回転を速めて、坂道をばく進している。

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2019年05月31日 (金曜日)

「公序良俗」に反し取引契約は無効か、「押し紙」問題の新しい流れが浮上

「押し紙」が洪水のように販売店に搬入され、保管する場所にこまり、仮眠部屋に運び込んだ。台所にも、押し入れの中にも運び込んだ。

「わしの部屋も店舗も、そこら中が新聞だらけになってしまい、販売局に部数を減らすように申し入れたら、『小屋を建てて保管しろ』と言われた」

2005年の話である。店主は、60万円で「押し紙」小屋を建てた。安倍公房の『砂の女』は、砂に埋もれてしまう人間を描いた小説だが、この店主は「押し紙」に埋もれる生活を続けているうちに、それが当たり前の日常になったのである。正気に戻ったときは、銀行に自宅を没収されていた。「押し紙」裁判を起こしたが、押し売りされた証拠が不十分で敗訴した。吐き捨てるように、

「あの裁判官は、死ぬ前に重病で苦しむで」

と、筆者に何度も呟いた。

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2019年05月28日 (火曜日)

激減する読売新聞、ひと月に約6万部減、年間で約42万部減、値上げの影響か?2019年4月度のABC部数

2019年4月度のABC部数が明らかになった。メディア黒書が提供してきたABCデータは、これまで()内に対前年同月差を表示していたが、今回は対前月差を表示した。

それによると最も減部数が激しいのは、読売新聞である。対前月差で約-5万7000部である。ちなみに対前年同月差は約42万部。読売の極端な部数減に歯止めがかかっていない。購読料の値上げが影響した可能性もある。

毎日新聞も対前年同月差は約42万部。4月度の総部数が約240万部なので、減紙率でみれば、読売よりも深刻な事態になっている。

次に示すのが、中央紙の部数内訳である。

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