1. 「押し紙」の実態

「押し紙」の実態に関連する記事

東京・豊島区の広報紙水増し問題、2018年度の水増し率は30%、背景に「押し紙」による新聞販売店の経営悪化

豊島区の広報紙『広報としま』が大幅に水増しされている問題で、過去10年分の関係資料を入手した。詳細については、検証が完了した段階で公表するとして、今回は、2018年度のケースに絞って報告する。

朝日、読売、毎日、産経、日経、東京の6紙が折り込み媒体となっている。卸部数は総計で7万8765部である。これに対して、ABC部数(2018年4月)は、5万4778部である。次に示すのが裏付けだ。

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「押し紙」認定の判例、2007年の対読売新聞裁判、PC上に架空の配達区

新聞販売店が起こした訴訟の中で、「押し紙」が認定されたケースは、これまでに3件ある。2006年の福岡地裁、2011年の岡山地裁、そして2020年の佐賀地裁である。

このうち福岡地裁のケースは、その後、2007年12月に最高裁で判決が確定した。福岡高裁の判決は有名で判例タイムズ(2008年6月1日)にも掲載されている。

真村裁判・福岡高裁判決

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しかし、真村裁判は「押し紙」の損害を求めた裁判ではなく、店主の地位保全を求めた裁判である。YC広川(福岡県)の真村久三さんが、2002年に読売新聞・西部本社を訴えた裁判である。

発端は、真村さんが読売本社から自店の営業地区の一部を、隣接するYCへ譲渡するように求められたことである。真村さんは理不尽な要求を断った。これに対して読売は、真村さんの店主としての地位を解任しようとした。そこで真村さんが地位保全を求めて提訴したのである。

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2020年05月16日 (土曜日)

佐賀新聞「押し紙」裁判、判決の公開と解説、佐賀新聞社の独禁法違反を認定

既報したように佐賀新聞の「押し紙」裁判で、原告の元販売店主・寺崎昭博さんが勝訴した。佐賀地裁は佐賀新聞に対して、寺崎さんに約1066万円を支払うように命じた。

この判決の最大の評価点は、裁判所が単に寺崎さんが受けた被害だけではなく、86店ある佐賀新聞の販売店の大半で同じ被害が発生している高い可能性を具体的に指摘したうえで、「被告の原告に対する新聞の供給行為には、独禁法違反(押し紙)があったと認められる」と、認定したことである。佐賀新聞の販売店が一斉に「押し紙」裁判を起こせば、勝訴する道が開けたのである。

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2020年05月15日 (金曜日)

【臨時ニュース】佐賀新聞の「押し紙」裁判で原告の元店主が勝訴、1066万円の賠償命令

【臨時ニュース】

佐賀新聞の元店主が起こした「押し紙」裁判で佐賀地裁は、15日、原告の元店主に対して1066万円の支払いを命じる判決を下した。「押し紙」裁判で勝訴判決が出たのは、2011年の山陽新聞の「押し紙」裁判以来。和解で販売店が勝訴するケースは相次いでいたが、裁判所が判決を下したのは9年ぶり。今後の「押し紙」裁判に大きな影響を及ぼしそうだ。

判決の詳細、判決文、弁護団声明は後日。

 

■佐賀新聞の「押し紙」裁判に関する全記事

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折込広告の水増し詐欺の露骨な手口、「4・10(よんじゅう)増減」の全容(2)

ABC公査で不正を摘発されない体制を構築すれば、新聞社はABC部数をどうにでも操作できる。新聞社が販売店へ送り込んだ部数が、そのままABC協会へ申告され、ABC部数として認定される。さらにそれが折込定数になるわけだから、自由自在に折込媒体の水増しが可能になる。

広告主企業の中には、このような構図に気づいている企業もあるが、自主的に折込媒体の発注枚数を折込定数よりも少なめに設定するだけで、新聞社に抗議したという話はない。

わたしは複数の広告主から、その理由を聞いたことがあるが、共通して「新聞社とはトラブルになりたくない」という答が返ってきた。新聞社は社会的な影響力があるので、新聞社と係争になると、折込広告や紙面広告を出稿しづらくなる上に、紙面でバッシングされるリスクがあるからだ。それゆえに抗議しない。

しかし、大半の広告主企業は、この欺瞞的な実態そのものを知らない。そこへつけ込んで、大胆にABC部数を捏造する新聞社もある。そのための変形した手口が、「4・10(よんじゅう)増減」と呼ばれるものである。これは露骨な「折り込め詐欺」にほかならない。

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ABC部数改ざんの恐るべき手口の全容、PC上で過去の読者を現在の読者として再登録して部数を水増し(1)

ABC部数は、俗にいう新聞の公称部数のことである。ただ、日本ABC協会は、ABC部数が公称であることを否定している。同協会のウェブサイトは、ABC部数について次のように説明している。

新聞や雑誌の広告料金は、部数によって決まります。ABC協会は、第三者として、部数を監査(公査)し認定しています。この認定された部数がABC部数です。対して、公称部数(自称部数)とは、ABC協会に参加していない発行社が自社発表しているもので、数倍から10倍以上の部数を自称している場合があります。合理的な広告活動を行うため、発行社の自称ではない、第三者が確認した信頼出来るデータであるABC部数をご利用ください。

この引用を読む限り、ABC部数は実配部数を反映している説明している。と、言うのも対比の論法を採用して、「ABC協会に参加していない発行社が自社発表している」部数は、「数倍から10倍以上の部数を自称している」場合があると述べることで、ABC協会に参加している新聞社の部数、すなわちABC部数は実配部数を反映していると仄めかしているからだ。

しかし、実際にはABC部数は残紙を含んでいるわけだから、実配部数を反映していない。しかも、その残紙量は尋常ではない。

ABC協会が定期的に部数の監査(公査)を実施しているにもかかわらず、なぜABC部数が実配部数を反映しないのか、その原因を探ってみよう。

結論を先に言えば、新聞社と販売店が徹底した残紙の隠蔽工作を行っているからにほかならない。しかし、この点に踏み込む前に、ABC協会の運営体制にふれておこう。

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豊島区の『広報としま』の水増率43%の問題、過去10年分の関連資料を情報公開請求

新聞折り込みのかたちで配布されている東京都豊島区の広報紙『広報としま』が、43%も水増しされていた問題を調査するために、新たに4件の情報公開請求を行い受理された。4件の請求項目は次の通りである。

1、『広報としま』の新聞販売店向け部数を示す資料。対象は、2011年度から2018年度。及び2020年度。

2、『広報としま』の印刷会社を示す資料。対象は。2011年度から2020年度。

3、『広報としま』の新聞折り込み業務に関する新聞販売同業組合との契約書。対象は2011年から2020年の業務をカバーするもの。

4、『広報としま』の個人宅宛て郵送分の部数を示す資料。対象は、2011年度から2020年度。 ■出典

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東京・豊島区の広報紙3万部の水増し問題、朝日オリコミの折込定数でも「詐欺」の裏付けが成立

4月22日付けのメディア黒書で、「新聞人が東京・豊島区の広報紙を大量廃棄、水増し率が43%、折込定数がABC部数を大幅に超過」と題する記事を掲載した。

これはタイトルのとおり、東京都豊島区が発行する『広報としま』の水増し問題を取り上げたものである。『広報としま』は、新聞折り込み(朝日、読売、毎日、産経、日経、東京)のかたちで配布されている。 ところがこれら6紙のABC部数の総合計が43,722部しかないのに、76、500部の『広報としま』を販売店へ卸していることが判明したのである。水増し率:43%である。

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新聞の「折り込め詐欺」による毎日新聞販売店の年間収入、2002年10月の内部資料をベースに試算、最低でも総計140億円

新聞社の販売収入のうち、残紙よる収入はどの程度を占めるのかを試算してみよう。幸いにこの目的のために格好の内部資料がわたしの手元にある。2004年に毎日新聞東京本社の社長室から外部へ漏れた「朝刊 発証数の推移」と題する資料である。この資料は、『FLASH』『財界展望』など多くのメディアで紹介された。

この資料によると2002年10月の段階で、全国の新聞販売店に搬入される毎日新聞の総部数は約395万部だった。

これに対して発証数(購読料を集金する際に読者に対して発行される領収書の枚数)は、約251万部だった。差異の144万部が領収書の発行対象とはならない残紙ということになる。144万部の中に残紙ではないものが含まれているとすれば、それは新聞を購読しているが、集金が未完了になっている読者である。こうした読者は極めて少数なので、144万部のほぼ全部が残紙と考えても大きな間違いない。

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新聞人が東京・豊島区の広報紙を大量廃棄、水増し率が43%、折込定数がABC部数を大幅に超過

今月の『紙の爆弾』(5月号)で、東京23区の広報紙の水増し実態を取り上げた。23区のうち12区で明らかな水増し行為が行われているとする調査結果を公表した。

その後、追加の調査を実施したので、その一部を紹介しよう。豊島区のケースである。

豊島区は、23区の中でも、もっとも水増し率が高い区である。大量に廃棄されているのは『広報としま』である。同区のウェブサイトによると、発行状況は次の通りである。

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2020年04月21日 (火曜日)

「NO! 残紙キャンペーン」が「押し紙」の相談窓口

新聞販売店の経営が相当に悪化している。販売店を廃業したいが、借金があるので廃業できないまま、雪だるま式に借金を増やしている店主さんもいるようだ。

対策としては一刻も早く弁護士に相談することである。弁護士の中には、異常な高額請求する方もいるが、全員がそうではない。早めに相談して解決した例は数多くある。

「NO! 残紙キャンペーン」は無料の相談と弁護士窓口を設けている。

相談窓口は、次の通りである。

電話:048-464-1413 (黒薮まで)
メール:xxmwg240@ybb.ne.jp

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東京都の12区で広報紙の水増し、(株)デュプロ社員がABC部数改ざんの手口を明かす、『紙の爆弾』最新号

『紙の爆弾』(5月号)に、わたしが執筆した「新聞『折込み詐欺』」が掲載された。 これは東京23区を対象に、新聞に折り込まれる広報紙の水増し実態を取材した調査報道である。情報公開制度を利用したり、関係者の証言を集めるなどの方法で調査した結果、東京の12区で広報紙を大量廃棄している事実が判明した。

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2020年03月11日 (水曜日)

産経新聞の「押し紙」裁判、裁判所が和解勧告、販売店の敗訴はなくなったが?

産経新聞の「押し紙」裁判の尋問が10日に行われ、約30名が傍聴した。広告代理店サンケイアイの社員、被告会社から2名、それに原告の4人が法廷に立った。尋問が終了した後、裁判長は和解を勧告した。

この裁判の詳細については長文になるので、後日、マイニュースジャパンで報告する。未公開資料を基に新聞社のビジネスモデル(利益をあげる仕組み〈からくり〉)の解明も行う。

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