1. 「押し紙」の実態

「押し紙」の実態に関連する記事

2020年09月01日 (火曜日)

読売の残紙とABC部数、「押し紙」であろうが残紙であろうが不正の温床に

既報したようにYC門前駅前(読売新聞・販売店)の元店主が、8月7日に、「押し紙」の損害賠償を求める裁判を起こした。読売が店舗の残紙が「押し紙」であるとは認めていないので、本稿では単純に残紙という言葉を採用するが、その割合は、搬入部数の約5割にも達していた。

しかも、読者数が変動していたにもかかわらず、搬入(供給)部数は一定にロックされていた。

■訴状

■「押し紙」一覧

裁判では、当然、これらの残紙が「押し紙」なのか、それとも予備紙なのかという点がひとつの争点になると思われるが、ジャーナリズムの観点からいえば、別の問題もある。仮に店舗に残っていた残紙が予備紙だとすれば、読売新聞社は免責されるのだろうか?

と、言うのも残紙はABC部数に反映される制度になっているので、ABC部数と実配部数に乖離があることを知らない広告主が、紙面広告や新聞折込をPR媒体として採用した場合、PR戦略を誤るリスクが高くなるからだ。広告主との関係で、残紙問題を問題をとらえると、公序良俗に違反する問題なのである。

また、このようなABC部数の実態が公になると、広告媒体としての新聞の信用が失墜して、新聞社も販売店もクライアントを失うことになりかねない。いわば過剰な部数を発生させることは自殺行為に等しい。

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2020年08月30日 (日曜日)

動画で見る「押し紙」回収の実態、「押し紙」回収が産業として成り立つ異常

ビニール梱包が解かれていない新聞束を、1日に10包装も20包装も古紙回収業界に回収させる行為が日常的に行われるようになったのは、おそらく1980年代からである。当然、「押し紙」とセットになっている折込広告や自治体の広報紙も廃棄されている。

それにもかかわらず日本新聞協会は、「押し紙」の存在そのものをいまだに否定している。延々と従来の商慣行を放置している。その結果、いまや「押し紙」回収業がひとつの産業として成り立っている。

この社会問題を理解するための最初のステップは、まず、「押し紙」回収の現場を見ることだろう。以下、現場を撮影した2本の動画を紹介する。その異常な実態が即座にわかる。

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2020年08月28日 (金曜日)

独禁法に忠実に則した「押し紙」の定義を紹介、週刊金曜日の最新号

本日(28日)発売の『週刊金曜日』の「金曜アンテナ」欄が、黒薮執筆の「『読売』を元販売店主が提訴」と題する記事を掲載している。最新の対読売裁判の争点について解説した。「押し紙」の定義が従来のものから修正される可能性が浮上しており、その背景について解説した。

今後の「押し紙」問題を考える上で、新しい視点なので購読してほしい。

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2020年08月15日 (土曜日)

「押し紙」で読売新聞を提訴、元販売店主…供給部数の5割が“残紙”、業界の闇が明るみに

《ビジネスジャーナル掲載》元新聞販売店主が読売新聞大阪本社から過剰な部数の新聞の仕入れを強制されたとして、8月7日、約4120万円の損害賠償を求める「押し紙」裁判を起こした。原告の元店主、濱中勇志さんは、広島県福山市で2012年4月から6年あまりYC大門駅前を経営していた。

大阪地裁へ提出された訴状によると、請求の対象期間は17年1月から18年6月までの1年6カ月。この間、供給される新聞の約5割が残紙となっていた。しかも読売新聞社が販売店へ供給していた部数は、読者数の変動とはかかわりなく毎月2280部でロック(固定)されていた。

「押し紙」裁判が多発するなかで、新聞の供給部数が1年以上もロックされ、しかも、約半分が残紙になっていたケースはまれだ。【続きはビジネスジャーナル】

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2020年08月12日 (水曜日)

「押し紙」問題に本腰を入れた小坪慎也議員、「戦えば戦死するリスクもある」

小坪慎也・行橋市議が「押し紙」問題の解決へ本腰をあげた。5月に佐賀地裁が地元の佐賀新聞社に対して独禁法違反を認定したことや、8月にYC大門駅前(広島県福山市)の元店主・濱中勇志氏が読売新聞社に対して「押し紙」裁判を起こしたことを受けて、政治家として社会正義を実現するために活動を開始することを宣言したのだ。

次のブログがその表明である。

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2020年08月08日 (土曜日)

【速報】元販売店主が読売新聞社を提訴、「押し紙」で4120万円を請求、残紙率50%、供給部数を1年6か月のあいだロック

【速報】YC大門駅前(広島県福山市)の元店主・濱中勇志氏は、7日、読売新聞社に対して約4120万円の損害賠償を請求する「押し紙」裁判を大阪地裁へ起こした。訴状によると、請求期間は2017年1月から18年の1年6か月。この間の供給部数は、読者数の変動とはかかわりなく、2280部でロックされていた。「押し紙」率は、49.47%になる。

 

濱中氏の代理人は、江上武幸弁護士ら「押し紙」弁護団が務める。

詳細は、近々に報告する。

訴状と「押し紙」一覧は次の通りである。

■訴状

■「押し紙」一覧

 

 

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2020年07月28日 (火曜日)

「押し紙」も「積み紙」も広告主にとっては、「折り込め詐欺」の温床に

左の写真は残紙である。しかし、この販売店に限って言えば、その責任の所在が販売店にあるのか、新聞社にあるのかは分からない。確実にいえることは、残紙の最大の被害者は広告主である点だ。

読者は、新聞の「押し紙」と「積み紙」の違いをご存じだろうか。

「押し紙」というのは、新聞社が販売店に対して仕入れを強制した新聞のことである。たとえば1000部しか配達していない販売店に、1500部を搬入して、卸代金を徴収すれば、500部が「押し紙」ということになる。独禁法の新聞特殊指定は、「販売業者に自己の指示する部数を注文させ、当該部数の新聞を供給する」行為を禁止している。

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2020年07月23日 (木曜日)

公権力を牛耳る新聞人の実態、教育界にも司法界にも、「押し紙」は隠蔽

新しい学習指導要領の施行が2020年度からはじまる。20年度の小学校を皮切りに、21年度は中学校、22年度は高等学校と段階的に、新しい教育方針が導入される。約10年ぶりの改訂で、内容についてはさまざまな評価があるが、わたしが最も好奇心を刺激されたのは、学校教育の中で新聞・テレビを教材として使うことの重要性が強調されていることである。

たとえば小学校の5年生の社会科で身に着ける知識や機能として、次のような記述がある。

「放送、新聞などの産業は、国民生活に大きな影響を及ぼしていることを理解すること」

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2020年07月22日 (水曜日)

 産経「押し紙」裁判の不自然な流れ、原告はすでに3月に結審していたと認識、「報告事件」の可能性を探る①

産経新聞の「押し紙」裁判のプロセスがおかしい。この裁判は、千葉県内の元新聞販売店主・Aさんが、「押し紙」による損害賠償を求めて、2018年に起こしたものである。裁判は、3月10日に本人尋問と証人尋問が行われた。

ほとんどが弁論準備(非公開)のかたちで開かれたので、裁判の進行を把握するためには、裁判資料の閲覧と当事者から直接話を聞くいがいに方法はなかった。わたしはAさんサイドから、裁判所が和解を勧めている旨を何度も聞いた。しかし、Aさんは、額が少ないことを理由に、和解を拒否してきた。1000万円以下では応じないと。

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2020年07月21日 (火曜日)

産経新聞「押し紙」裁判、実は結審していなかった、5月に裁判長と右陪席が不自然な人事異動、「報告事件」を懸念する声も、

3月に結審したはずの産経新聞の「押し紙」裁判(東京地裁)で、5月に裁判官が交代していたことが分かった。異動になったのは、裁判長と右陪席。それに代わって新しいく野村武範裁判官石神有吾裁判官が就任した。左陪席は交代しなかった。現時点で、だれが裁判長に就任するかは未定。

わたしが本日、東京地裁の民事48部に確認したところ、この裁判はまだ結審していないとの説明があった。しかし、3月に尋問が行われた後、裁判長が被告と原告に和解を勧告しており、和解が成立しなかった場合は、判決を下すと方向性を示していた。

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2020年07月10日 (金曜日)

なぜか判決の日程が決まらない産経新聞「押し紙」裁判、「報告事件に指定されたのでは?」、販売店サイドからは懸念の声も

千葉県の販売店主が産経新聞社に対して起こした「押し紙」裁判の日程が決まらない。3月10日に4人の関係者の尋問が行われて裁判は結審した。その後、裁判所が和解を勧告したが、産経新聞がこれを拒否した。

裁判所が和解を勧告したということは、産経新聞社に損害賠償を命じることが前提になっている。原告を敗訴させるのであれば、和解勧告はしない。当然、原告が勝訴する可能性が高い。少なくとも裁判官は、原告を勝訴させる方向性である。

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2020年07月07日 (火曜日)

7月8日の学習会が延期に、朝日・読売・毎日はいまだに「押し紙」の存在を否定、「『押し紙』と呼ばれる行為は一切ありません」

7月8日に衆議院第2議員会館で予定していました「押し紙」勉強会は、コロナウィルスの感染拡大のために延期になりました。新しい日程が決まり次第に再告知します。

文春オンラインに掲載された『【チラシ激減】新聞販売店“コロナ廃業危機”の叫び「バタバタ閉店」「融資でしのぐしか…」』と題する幸田泉氏のルポによると、朝日、読売、毎日、は2020年6月の段階でも、自社に「押し紙」は1部も存在しないと公言しています。

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豊島区の広報紙『広報としま』が少なくとも5年前から大幅な水増し、20年度はABC部数が3万7000部に対して7万4000部を受注

豊島区の広報紙『広報としま』が少なくとも5年前から、大幅に水増しされていたことが分かった。

筆者はこれまで、東京23区のうち、12区で新聞折り込みのかたちで配布される広報紙が、必要部数以上に水増しされている証拠をメディア黒書や『紙の爆弾』で公開していた。その後、特に悪質な実態のある豊島区の『広報としま』を、過去5年にさかのぼって調査した。その結果、少なくとも5年前から水増しが行われていたことが判明した。【続きはウェブマガジン】

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