1. 「押し紙」の実態

「押し紙」の実態に関連する記事

2021年02月26日 (金曜日)

2021年1月度のABC部数、政府よりの右派2紙・読売と産経は前月差でABC部数増加、

2021年1月度のABC部数が明らかになった。それによると朝日は、前年同月差でマイナス43万部、読売新聞はマイナス58万部、毎日新聞はマイナス28万部と大幅な部数減となった。

しかし、前月差でみると右派で政府よりの2紙、読売と産経は、12月から1月にかけてABC部数を増やしている。新聞離れの時代にもかかわらず好調だ。新聞販売店向けの部数の場合、読売は約1万部、産経は約1500部ほどABC部数を増やしている。

1月部数の詳細は次の通りである。

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2021年02月15日 (月曜日)

最初の国会質問から40年、いまだにメスが入らない残紙問題と拡販問題、絶対に自分の非を認めない新聞人の体質

景品を使った新聞拡販や「押し紙」の問題が、はじめて国会質問で取り上げられたのは、1980年3月5日である。共産党の瀬崎博義議員が、衆議院予算委員会で新聞販売の過当競争をテーマに質問したのが最初である。今年は、2021年だから、この3月で40年の歳月が流れたことになる。

この40年の歳月をどう評価すべきなのか。2007年に、読売新聞の真村訴訟で、福岡高裁が読売の「押し紙」政策を認定した後、徐々に残紙問題にメスが入るようになってきたものの、新聞人たちは、未だに「押し紙」の存在を認めていない。「積み紙」はあっても、「押し紙」は存在しないという詭弁を平気で貫いてきた。新聞人は絶対に自分の非を認めない。これは真理である。

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千葉県柏市の広報紙『広報かしわ』に水増し疑惑、折込部数が新聞の発行部数を上回る

新聞折込で配布されている千葉県柏市の広報紙『広報かしわ』が、水増しされて広告代理店に卸されている疑惑が浮上している。2020年4月時点での『広報かしわ』の部数内訳は次のとおりである。

総発行部数:143、860部
新聞折込部数:135,000部
宅配部数:6,600部 (※新聞の非購読者が対象)

問題なのは、新聞折込部数の135,000部である。と、いうのも新聞の発行部数を表すABC部数が、柏市全域で107,088部しかないからだ。新聞販売店に残紙が1部もなくても、水増し状態になっている。

【注】発行日の新聞(読売・朝日・毎日・産経・東京・日本経済・赤旗)の朝刊に、折り込みで配布しています。出典:柏市HP

ABC部数には、赤旗の発行部数が含まれていないが、同紙の規模は全国で20万部程度しかないので、柏市の部数は数千部に過ぎないと推測される。この数字を含めて、かりに柏市の新聞部数の総計が11万部と仮定した場合、『広報かしわ』は約25,000部水増しされている計算になる。

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2021年02月03日 (水曜日)

千葉県山武市が広報紙の新聞折込を中止、行政を動かした『山武ジャーナル』の追及

 千葉県山武市は、今年の4月から広報紙『広報さんむ』の配布方法を、新聞折込からポスティングに切り替えた。地元の『山武ジャーナル』(鈴木まさや代表)が残紙と広報紙の水増し問題を追及し続けた成果である。この問題についての最新記事が掲載されたので紹介する。

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山武市の広報誌「広報さんむ」の配布が、令和3年4月より新聞折込からシルバー人材センターによる全戸ポスティングに変更されることが、広報さんむ令和3年2月号で明らかとなった。

山武市市民自治支援課によると、配布方法変更の理由は、新聞購読率、自治会組織率がともに低下している中、新聞折込や回覧板ではなく、ポスティングによる配布が多くの市民に広報を届ける方法として最適と判断したとのこと。

これまで山武ジャーナルが指摘してきた、山武市新聞折込組合による申告数水増し疑惑については、配布方法を変更する切っ掛けの一つになっていることは認めた。

山武市内でポスティングを行う体制を持つ民間業者がないため、業務はシルバー人材センターが受け持つ。【続きは山武ジャーナル】

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広報紙の配布実態調査、石川県のケース、不自然に高い新聞購読世帯率87%

この記事は、都道府県が発行する広報紙の配布実態調査の続報である。今回、取り上げるのは石川県の広報紙『ほっと石川』である。石川県の場合、広告代理店を仲介せずに、地元紙である北國新聞に新聞折込とポスティング(個別配達)を依頼する仕組みになっている。

結論を先にいえば、広報紙の配布事業そのものには問題がないが、ABC部数の信憑性に疑惑がある。

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2021年01月26日 (火曜日)

日経新聞が200万部の大台を割る、2020年12月度のABC部数

2020年12月度のABC部数が明らかになった。12月度の特徴としては、日経新聞がはじめて200万部の大台を割ったことである。前回11月度の部数は2,048,943部で、今回12月度は1,993,132となった。年間で約24万部の減部数だった。

他社も部数減の傾向に歯止めはかからず、年間で読売が約60万部の部数減となり、朝日は約42万部の部数減となった。

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大阪府の『府政だより』の水増しをめぐる疑問、謎の約50万部、1回目の広報提供データと2回目の広報提供データに大きな誤差、過去10年分を公式に情報公開請求へ

大阪府(吉村洋文知事)の『府政だより』の発行部数に関して疑惑が浮上している。この問題については、1月22日付けの記事で、新聞折込部数がABC部数を下回り、「水増し」とは言えないと報告したが、その後、過去の取材記録を再検証したところ、次の疑問点が明らかになった。

既報したように筆者らは、都道府県が発行する広報紙の新聞折り込み部数について調査している。このうち大阪府が筆者に公表した『府政たより』の発行総部数と新聞折込部数が、1回目の取材と2回目の取材では異なっているのだ。

1回目の取材では、関連するデータについて大阪府は次のように報告していた。

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大阪府の広報『大阪府政だより』、大阪府が公式の新聞折り込み部数を公表、折込定数<ABC部数、高い残紙率が原因で依然として水増しの疑惑、

新聞折り込みの際の水増しの疑惑がかかっている『府政だより』について、大阪府の広報部は、折込定数(新聞に折り込まれる『府政だより』部数)を公表した。

それによると2020年の11月時点における、『府政だより』の新聞折り込み部数は、2,273,200部だった。

これに対して新聞の発行部数を示すABC部数は、2020年4月の時点で、2,321,305部である。ABC部数の方が約48万部多い。

※最初の取材時に大阪府は、全体の発行部数が282万部、折込枚数が277万部と説明している。

※ABC部数は4月と10月に公表され、適用期間は次のようになっている。4月の部数は「6月から11月の広告営業」に、10月の部数は「12月から翌年の5月の広告営業」に活用される。

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『広報東京都』、新聞折り込みで水増しされている高い可能性

東京都が発行する広報紙、『広報東京都』が水増し状態になっている高い可能性が浮上した。東京都によると、『広報東京都』の折込定数(新聞折り込み部数)は、282,1000部(2020年4月)である。これに対して東京都全域における新聞発行部数(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経のABC部数)は、2,777,430部である。

新聞に折り込まれる『広報東京都』の部数が新聞発行部数を約4万部ほど上回っている。この過剰になった4万部を予備部数とみなすこともできるが、それは残紙(広義の「押し紙」)が1部も存在しない場合の解釈である。しかし、実際は東京都でも大量の残紙が確認されている。

たとえば次の写真は、江戸川区内の販売店で撮影した残紙である。

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2021年01月19日 (火曜日)

南日本新聞の現役店主らによる新タイプの「押し紙」裁判、注文部数を自分で決める自由を求めた裁判で和解勝訴

今週の『週刊金曜日』(1月15日号)に、「押し紙」に関する興味深い記事が掲載されている。タイトルは、「新聞社が『販売店の提案部数を尊重』対等な関係で販売戦略可能に」。執筆したのは、「押し紙」問題に取り組んでいる鹿児島大学の宮下正明准教授である。

この記事は、南日本新聞の5名の現役店主が起こした広義の「押し紙」裁判だが、裁判の争点は従来型(損害賠償)とは異なっていた。争点になったのは新聞販売店が自分で新聞の注文部数を決める権利の有無である。販売店が、自分の希望で注文部数を自由に増減する権利の有無が争われたのである。

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産経「押し紙」裁判にみる野村武範裁判長の不自然な履歴と人事異動、東京高裁にわずか40日

昨年12月に判決が下された産経「押し紙」裁判(東京地裁)で、原告の販売店を敗訴させた野村武範裁判長の履歴が不自然だ。次のようになっている。

R 2. 5.11 東京地裁判事・東京簡裁判事
R 2. 4. 1 東京高裁判事・東京簡裁判事
H29. 4. 1 名古屋地裁判事・名古屋簡裁判事

■出典

名古屋地裁から東京高裁へ異動したのは、2020年4月1日。そのわずか40日後に、野村判事は東京地裁は異動して、産経「押し紙」裁判の裁判長に就任した。

野村判事は、東京高裁での40日の間に具体的にどのような仕事をして、何を理由に最高事務総局により異動させられたのか、今後の解明が必要だ。不自然な人事異動の事実を前に、「報告事件」の疑惑が浮上している。

少なくとも司法ジャーナリズムの観点からすれば、検証が必要だ。判決の結果を垂れ流すだけが、司法ジャーナリズムではないだろう。

ちなみに新聞社が被告となった事件では、過去にも不自然な事例がある。携帯電話の基地局撤去をめぐる事件でも、類似したケースがある。前者は国家によるメディアコントロールの問題と、後者も国家による電波政策の問題とかかわりを持っている。

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2021年01月15日 (金曜日)

産経「押し紙」裁判の判決を批判、週刊金曜日、産経が裁判所への上申書でメディア黒書を批判

本日発売の『週刊金曜日』が「『押し紙』を認めて責任認めず?」(金曜アンテナ)と題する記事を掲載している。黒薮の執筆である。この記事は、昨年12月1日に判決が言い渡された産経新聞「押し紙」裁判で、販売店を敗訴させた判決(野村武範裁判長)を批判した内容だ。

記事の中で、筆者は裁判の結審に先立って、産経の奥村毅弁護士と小泉裕樹弁護士が、期日の早期再設定(コロナウィルス感染拡大の影響で、一旦、取り消されていた)を求める上申書を裁判所へ提出し、その中で「メディア黒書」と筆者を批判していたことを報告している。紙面のスペースに制限あり、批判箇所の全体を引用できなかったので紹介しておこう。

以下、批判部分の記述である。

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2021年01月14日 (木曜日)

読売、年間で約60万部の減部数、対前月差はコロナ禍の中でも約1万2500部の増加、2020年11月度のABC部数

2020年11月度のABC部数が明らかになった。それによると読売新聞は年間で約60万部の減部数、朝日新聞は約40万部の減部数となった。毎日新聞は、約26万部の減部数である。

全国の日刊紙の年間減部数は、約226万部である。東京新聞社が5社消えたに等しい。

新聞離れに歯止めはかかっていない。

減部数の原因は、新聞社が残紙(広義の「押し紙」)を減らした結果だと推測される。

折込広告の需要が高ければ残紙が多くても、販売店はある程度まで残紙による損害を相殺できるが、折込広告の受注が少なければ、残紙の損害を相殺できないので、新聞社は残紙を減らさざるを得ない。さもなければ新聞の戸別配達制度そのものが崩壊する。

ちなみに、紙媒体の読者と電子新聞の読者の分離は、ほぼ完了しているとみるのが妥当だ。

2020年11月度(最新)の部数は次の通りである。()内は前年同月差である。

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