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2016年06月07日 (火曜日)

広告代理店・アルファトレンドが倒産、折込広告の詐欺発覚で

折込広告の「折り込め詐欺」で2010年に訴訟を起こされ、約250万円の返金と弁護士費用の返済で事件を処理した広告代理店が、今年の3月に倒産していたことが分かった。倒産したのは、大阪市と東京都に拠点を構えていた広告代理店アルファトレンド(飯干正芳社長)。

同社は読売広告社(現在、博報堂DYホールディングス傘下)の元社員・飯干正芳氏が設立した会社で、読宣など読売系の会社とも連携して業務を進めていた。

この事件の発端は、アルファトレンドが大阪市内のクリニックに対して折込広告の未払金を請求する裁判を起こしたことだった。このクリニックは、PR活動の戦略として折込広告を採用していたのだが、ある時期から広告効果がまったくないことに気づいた。

そこで原因を調査するうちに、「折り込め詐欺」を疑うようになった。

※「折り込め詐欺」:折込広告の新聞販売店への搬入枚数は、新聞販売店に搬入される新聞の総部数に一致させる基本原則がある。そのために新聞の搬入部数に「押し紙」が含まれていると、折込広告が水増し状態になる。当然、「押し紙」が大量にある現在の状況下では、折込広告の広告効果は期待できない。
   「折り込め詐欺」には、折込広告を水増しするもののほかに、販売店に搬入する前の段階で「押し紙」分を捨てる「中抜き」の手口もある。

クリニックは、アルファトレンドに対する支払いを一時的に保留した。これに対してアルファトレンドは、未払い金の支払いを求める裁判を起こしたのである。

◇「押し紙」分の折込広告67万枚を「中抜き」

ところが裁判中にクリニック側が調査したところ、発注した35万枚の折込広告のうち5万枚が新聞販売店に到着していないことが判明。物流のどこかの過程で、「中抜き」されていた疑いが強まったのだ。

裁判は、アルファトレンドの敗訴だった。裁判所はアルファトレンドの請求を認めなかったのである。

ところが事件はこれだけではすまなかった。裁判中にクリニックが行った調査の中で、アルファトレンドが他の広告主に対しても、「中抜き」詐欺を行っていたことが発覚したのだ。クリニックから「中抜き」詐欺を通告された広告主は、(株)バーステーだった。

(株)バーステーは直ちに過去の帳簿類を精査し、アルファトレンドに対して返金を求める裁判を起こした。が、本格的な審理に入るまでもなく、アルファトレンドは非を認めて、約250万円の返金と弁護士費用の返済に応じた。

(株)バースデーが被害を受けていた期間は、2008年6月から2009年3月までの10カ月。同社は、この期間に253万枚の折込広告を発注したが、このうち67万枚が中抜きされていた。さらにこの67万枚のうち、少なくとも42万枚は、チラシの印刷すらも行われていなかった。アルファトレンドは、印刷せずに印刷代を請求していたのである。

■(株)バーステーが受けた「折り込め詐欺」被害一覧

◇参考記事

■大阪市北区の広告代理店業「株式会社アルファ・トレンド」に破産開始決定 オリコミ広告の中抜き問題で訴訟に発展

■《メディア黒書》折込広告「折り込め詐欺」から「中抜き詐欺」へ、253万枚のうち67万枚を秘密裏に「廃棄」、被害額約250万円、広告代理店・アルファトレンドが広告主に提訴され、全額賠償+弁護士費用で和解

2014年04月30日 (水曜日)

折込広告「折り込め詐欺」から「中抜き詐欺」へ、253万枚のうち67万枚を秘密裏に「廃棄」、被害額約250万円、広告代理店・アルファトレンドが広告主に提訴され、全額賠償+弁護士費用で和解

折込チラシを水増しする手口が日常化するなか、新聞業界では、新たな騙しの手口が浮上している。折込チラシを「中抜き」する新しい手口である。もっとも「中抜き詐欺」は、かなり昔からあったとする説もある。

「中抜き詐欺」を一言で説明すると、折込チラシが販売店に到着する前の物流過程で、「押し紙」部数に相応した枚数の折込チラシを廃棄する手口である。 販売店に到着して、店舗で一時保存した後、古紙回収業者に引き渡していたのでは、「折り込め詐欺」が発覚するリスクが生じるから、新手口が登場したのだ。

過剰になった折込チラシを回収する場面をビデオ撮影され、インターネットで告発されたら、詐欺の実態が知れ渡る。そこで販売店に到着する前に、処理する。

次に示すPFDは、大阪府で発覚した「中抜き詐欺」で、クライアントの(株)バースデーが被った金銭被害の一覧表である。

■PDFバースデーが被った「中抜き詐欺」の被害一覧

上記の一覧表によると、2008年6月から2009年3月までの間に、(株)バースデーが発注した253万枚の折込チラシのうち、67万枚が中抜きされていた。このうちの少なくとも42万枚は、チラシの印刷すらも行われていなかった。

(株)バースデーが騙し取られていた額は、約250万円にもなった。

 (株)バースデーは、折込チラシを扱っていた広告代理店・アルファトレンドに対して民事裁判を起こした。そして、不正な請求分と弁護士費用をアルファトレンドが(株)バースデーに支払うことで和解が成立した。その後、(株)バースデーは、アルファトレンドを刑事告訴している。

アルファトレンドは、読売新聞社の子会社・(株)読宣を通じて、(株)バースデーの折込チラシを新聞販売店に搬入していた。

アルファトレンドによる「中抜き詐欺」の特徴をまとめると、次の3点に集約できる。

1、折込チラシを「廃棄」するプロセスが、販売店よりも前の物流段階に設定されている。

2、「押し紙」部数に相応した折込チラシの一部が、印刷さていなかった。これにより広告代理店は、印刷費を節約できる。

3、「中抜き詐欺」を主導しているのは、新聞販売店ではなく、広告代理店・アルファトレンドである。

◇ 元広告代理店の社員があかす「中抜き詐欺」の手口 

広告代理店が折込チラシを「中抜き」した場合、経理上、どのような処理がなされるのだろうか。ある広告代理店の元従業員によると、帳簿上、次のような処理が行われるという。たとえば10万枚の折込チラシを処理する場合、折込チラシの搬入先と割り当て枚数を次のように処理する。

A販売店:2万枚

B販売店:3万枚

C販売店:1万枚

その他 :4万枚

「その他」として記された枚数が、印刷を逃れ、「中抜き」の対象になる。

新聞経営者(新聞人)は、新聞に対する軽減税率の適用を主張する前に、まず、このような不正行為をやめるべきだろう。それが元ジャーナリストの責任ではないだろうか。

冒頭写真:アルファトレンドが行った折込広告の中抜き一覧表

参考記事:「新聞も「偽装」発覚で刑事告訴 “折り込め詐欺”でチラシ65万枚を中抜き、250万円の被害」

参考記事:「広告代理店が折込チラシ5万枚を「中抜き」、大阪地裁が(株)マーケティング読宣など3社に情報開示求める」