電通が関与したMnetの「疑惑」放送確認書の件で、総務省へ調査の依頼、博報堂でも同じ例が
衛星放送局Mnetが電通に送付したテレビCMの放送確認書に偽造疑惑がある問題で、筆者は25日、総務省の衛星地域放送課に調査を依頼した。
以下、総務省に26日に送付予定の文書である。事件の経緯を分かりやすく説明しているので、初めてこの事件に接する読者にも参考にしてほしい
windows画面が表示された奇妙な放送確認書について電通が回答、「Mnet社が当社宛てに発行したものです」
電通と衛星放送局Mnet(CJ E&M Japan株式会社)の不可解な取り引きが明るみにでた。24日付けのメディア黒書で報じたように、テレビCMを放送したことを立証する放送確認書(広告主は株式会社ライオン)にさまざな疑問点が発見されたのだ。
◇CM放送の仕組み
テレビCMの制作と放送は次のようなプロセスになっている。広告主(この件では、ライオン)が電通にCMを発注する。電通がMnetと打ち合わせてCM放送の段取りをする。そのCMが放送されると、放送確認書が発行される。それを見て広告主は、CMが放送されたことを確認する。
ところがその放送確認書に不可解な点が複数あることに加えて、ライオンがMnetの放送確認書自体を見たことがないと言っているのだ。
常識的には、この放送確認書を根拠としてMnetが電通に請求を起こし、電通の担当者がMnetに料金を支払ったと考えるのが自然だ。一方、ライオンが電通に料金を支払ったかどうかは分からない。と、いうのもライオンはMnetの放送確認書を見たことないと言っているからだ。
この件に関して、電通に次の問い合わせをしていたところ、24日に回答があった。まず、筆者からの質問を紹介し、それから回答を示そう。
電通も関与か?衛星放送局Mnetの(株)ライオン宛ての奇妙な放送確認書、
電通が仲介した(株)ライオンのテレビCMにある重大な疑惑が浮上している。ライオンのテレビCMは、本当に放送されたのだろうか?中抜きされた可能性はないのか?そんな疑問をていする書面の存在が明らかになった。
次のPDFで示すのが、筆者が入手した問題の書面である。
これは、テレビ業界で俗に放送確認書と呼ばれているものである。テレビCMが完成すると、そのCMのコード(10桁)をコンピューターシステムに入力する。そして、そのCMがスケジュールの時間帯に放送されると、コンピューターが自動的にCMコードが入った放送確認書を作成する。放送されないと、CMコードは印字されない。
このようにコンピューターによってCMの放送状況を確認することで、人的な操作による「CM間引き」などの不正を防止するようになっている。1990年代の後半に、静岡第一テレビなどでCM間引きが発覚し、2000年に民放連などが、再発防止を目的に、コンピューターによる放送確認書を作成するシステムを導入したのである。
このシステムは現在は、衛星放送局も含めて放送業界の常識として定着している。広告主は、広告代理店から提出された放送確認書を見て、自社が発注したCMが放送されたかどうかを確認するのだ。
博報堂ルートの政府新聞広告、内閣府の不自然な説明、掲載料の支払いは広告掲載の1年後?
5月19日に内閣に対して次の文面で、情報公開請求を申し立てた。
2016年度(2016年4月~2017年3月)に内閣府と内閣官房が広告代理店と交わした契約書、及びそれに対応する見積書と請求書の全部。見積書が存在しない場合は、契約書と請求書。
同じ趣旨の情報公開請求を筆者は、2012年度から2015年度までの各年分に対しても行い、内閣府が博報堂との間で交わしたプロジェクト・「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広告テーマの広報実施業務等」の契約書と請求書を入手している。今回は、このプロジェクトの2016年度分の請求を行ったのだ。
参考までに、2015年度分を紹介しておこう。メディア黒書の読者には、すっかりお馴染みになった真っ黒な請求書である。
■2015年度分の「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広告テーマの広報実施業務等」
さて、既に筆者が入手している2012年度分から15年度分の資料に関して、これまで指摘してこなかったある問題がある。
加計学園事件に関与している疑惑の安倍政権下、内閣府と文部科学省のずさんな金銭感覚
加計学園の事件に内閣府と文部科学省が関与している事実を示す文書を、朝日新聞が報じている。これら2つの組織の隠蔽体質をよく示している資料を紹介しよう。黒塗りで公開された文書の凄まじい実態が分かる。内閣府と文部科学省がまったく信用できない組織であることが分かるだろう。
紹介するのは、メディア黒書で繰り返し紹介してきた文書だが、加計学園の事件を念頭において、これらの文書を眺めると、黒塗りの背景にある官僚や政治家の人間性がビジュアルに見えてくる。罪悪感もないく、ロボットのように感覚がおかしくなっているのかも知れない。
内閣府の隠蔽体質、官房の「天下り情報」は開示せず、博報堂から加計学園へ広がる不透明感
内閣府(総理の直属機関である内閣官房を含む)に対して、同府から「天下り」した職員の名前を過去にさかのぼって開示するように情報公開請求を申し立てている。これに対して内閣府は、内閣官房については開示できないと筆者に通知している。そこで筆者は不開示にする公式な理由を書面で提出するように求めている。
筆者は回答を待っているが、理由書は提出されない。情報公開請求に対して不開示を決定した場合は、その理由を書面で示すルールになっている。内閣府は過去にもそんな対応をしてきた。しかし、今回、内閣官房からの天下り職員の名前を開示しない理由を書いた書面は送られてこない。回答期限の1カ月をすでに過ぎている。
内閣府からの「天下り」は明らかにできても、内閣官房については、実態を公表できないというわけだから、何か特別な理由があるのだろう。
折しもこの時期、加計学園の問題で内閣府が加計学園へ便宜を図っていた疑惑が浮上している。菅官房長官は、17日の記者会見でそれを否定したが、内閣府の灰色ぶりを考えると疑惑があることは間違いない。
公文書の黒塗り情報公開問題、環境省に対し「首謀者」を特定する文書の開示を求めたが・・・
内閣府が真っ黒に塗りつぶして開示した博報堂からの請求書。その総額は新聞広告(政府広報)だけで年間20億円(2015年度)を超えているが、肝心の掲載料の詳細は分からない。どの新聞社にいくら支払われたのか国民は知ることができない。
環境省が真っ黒に塗りつぶして開示した「平成27年度低炭素社会づくり推進事業委託業務」の見積書。博報堂が発行したものだ。総額は約8億6300万円。ただし明細は全く不明。こちらも真っ黒に塗りつぶされている。
フィクサーが博報堂に乗り込んだプロセスを描く『見えざる政府―児玉誉士夫とその黒の人脈』①
日本の広告業界は寡占化されている。その寡占化の下で、企業やメディアをコントロールできる暗黙の仕組みが構築されているようだ。当然、これではジャーナリズムは育たない。メディアを単なるプロパガンダの機関に変質させてしまう。
博報堂のケースを例に、この問題を検証してみよう。
北朝鮮脅威の「記事」を書かせて世論誘導、安倍政権から軍事産業へ国費800億円、国策プロパガンダの新しい手法、
読売新聞(電子版・5月13日)に、「陸上型イージス導入へ…ミサイル防衛強化」というタイトルの記事が掲載されている。この防衛システムの構築費用は、なんと800億円。当初、導入を検討していたTHAADよりも、価格的には450億円安い。とはいえ、莫大な国家予算の支出であることには変わりない。この800億円が米国の軍事産業の手に渡るのだ。
安倍政権からの高額なプレゼントである。安倍首相が推薦する読売の記事を引用してみよう。
博報堂によるエクセルやワードによる「手作り」請求書、対象は内閣府と中央省庁だけ、地方の「役所」宛ては正常
博報堂が内閣府や中央省庁に対して発行した請求書にインボイス・ナンバー(書類の番号)が欠落しているものが多量にあることは既報したとおりである。
これに対して、博報堂が地方自治体に対して発行した請求書はどうだろうか。筆者がこれについて調べたところ、サンプル数は少ないものの、正常であることが分かった。
つまり不正経理疑惑の対象となるのは、内閣府と中央省庁だけということになる。内閣府と中央省庁からは、これまで博報堂へ多人数が天下りしており、癒着関係はないのか、厳密な調査が必要になる。
【参考記事】1975年ごろから博報堂へ続々と天下り、元国税庁長官2名、内閣府からも多数、警察関係者も、病的腐敗の温床か?