電通と博報堂から自民党へ政治献金が約600万円、見返りに45億円の政府広報費を獲得
11月末に公表された政治資金収支報告書(2016年度分)によると、自民党の政治資金団体である国民政治協会に対して、広告代理店の大手、電通と博報堂が政治献金を支出していることが分かった。詳細は次の通りである。
博報堂:115万円(6月20日付け)
電通:240万円(6月30日)
:240万円(11月30日)
企業が自民党へ献金する目的のひとつに、公共事業の受注競争を優位に進めたいという思惑があるようだ。政治献金で規模の大きな仕事を受注できれば、政治献金の支出負担を相殺したうえに、それをはるかに上回る額の公共事業収入を得られるからだ。
2016年度に博報堂と電通が得た政府広報費についての情報は、現時点では、後述する理由で、筆者の手元にないが、2015年度分は情報公開制度で入手している。それによると電通が約25億円、博報堂が約20億円である。
下記の表を参考にしてほしい。
内閣府から疑惑のプロジェクトで電通へ25億7200万円
読者は、メディア黒書でたびたび取りあげてきた内閣府と広告代理店が連携したプロジェクト-「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広告テーマの実施」-を記憶されているだろか? プロジェクト名が長いので、ここでは「ブランドコンセプトP」と略称しておこう。
このプロジェクトは、国策(たとえば、北朝鮮に対する警戒の喚起)をPRするためのもので、新聞広告、テレビCMなど種々の内容で構成されている。内閣府が広告代理店と提携してPR活動を展開するのは、珍しいことではないが、ブランドコンセプトPには、ある著しい特徴がある。
安倍首相が海外での自衛隊PRのCMにみずから登場、東京新聞が報じる
8月1日付けの東京新聞に興味深い記事が掲載されている。日本政府が日本の自衛隊をPRするCMを作成し、それに安倍首相がみずから登場しているというのだ。タイトルは、次の通り。
・自衛隊「活躍」CM
・首相登場「違和感」
・欧米で放映 在外邦人から疑問の声
・「軍隊PR 独裁国家のよう」
・「税金使って個人メッセージか」
・アジアなら反発必至 日本の印象ゆがめる
リードは次のようになっている。
テレビ番組に潜む世論誘導の危険な道具、CM型ルポルタージュからサブリミナル効果まで
テレビのあり方を考える作業が、複雑化している。かつては番組内容を批評するたけで十分だったが、最近は視聴者が認識できない部分で、さまざまなトリックが使われている。フェイクニュースの問題も含めて、世論誘導の手口は巧妙化している。
ロッキード事件の担当検察官は今、「天下り」が経済事件の公平な捜査・裁判をさまたげる
1976年の7月27日、東京地検特捜部は田中角栄を逮捕した。ロッキード社の航空機売込みに便宜を図った際の贈収賄容疑による逮捕だった。
田中邸へ赴いたのは、松田昇という検察官だった。松田氏は同じ事件でやはり逮捕された児玉誉士夫(元内閣参与で政界フィクサー)の取り調べも行っている。
ロッキード事件の発覚から41年。読者は、松田氏が現在、どのような地位にいるかをご存じだろうか? 結論を言えば、さまざまな企業の役員として再就職しているのだ。元検察官が特定の大企業と特別な関係を持つことが、公正に経済事件を取り締まる際の障害になる可能性が高いことはいうまでもない。
松田氏が関係している企業と役職は次の通りである。なかには不祥事を起こしている会社もある。
内閣府と中央省庁、それに博報堂の裏金づくり疑惑をシミュレーションする、毎日新聞社のケースと類似
裏金づくりは、まれなことなのだろうか。筆者は、水面下に隠れているだけでかなり広く、大手を振って行われていると見ている。特に珍しいことはない。
メディア黒書で報じてきたように、大手広告代理店・博報堂と内閣府・中央省庁の間の取引で発行された請求書には、インボイスナンバーが外してあるものが含まれている。こうした請求書の額面総計は次のようになる。
内閣府:約64億円(2012年度~2015年度)
防衛省:(陸上自衛隊):約9億円(2008年~2015年度)
文部科学省:約9000万円(2015年度)
復興庁:約2000万円(2015年度)
農林水産省:約300万円(2015年度)
環境省:約1000万円(2015年度)
メディア黒書で既に公表している数字で、これを見た読者から次のような質問が寄せられた。それは、これらの金額がすべて裏金になっているのかという質問である。結論を先に言えば、裏金になっている可能性があるのは全額ではなく、一部である。
裏金づくりの構図をシュミレーションで説明する前に、実際に裏金工作の存在が確定したある例を紹介しよう。裏金づくりの構図を考える参考になるだろう。
海上自衛隊が博報堂へ8年で5回もHPの再構築を発注、インボイスナンバーを外した「手作り」請求書で1000万円を請求
昨日(14日付け)に続いて、防衛省から入手した博報堂によるPR活動で発生した請求金額(2016年度分)を紹介しよう。今回は、海上自衛隊である。(陸上自衛隊については、14日付けを参照)。
下記のデータは、博報堂が海上自衛隊へ送った請求書から拾った数字である。
博報堂が作成した陸上自衛隊向けの「手作り」請求書の異常、H28年度分を公開、HPコンテンツの改修で1420万円の高額請求、裏金の疑惑も?
防衛省から、2016年度(平成28年度)に陸上自衛隊が博報堂へ発注した業務の見積書・契約書・請求書を入手した。
業務件数は5件。このうち1件は請求書が欠落している。次に示すのが、4件の業務内容と請求額である。
内閣府がかかえる重大疑惑、実は加計事件だけではない、政府広報費を利用した裏金疑惑、64億円の別会計?
加計学園をめぐる事件で、10日、前川喜平・前文部科学事務次官を参考人招致して閉会中審査が行われる。舞台になるのは、衆参の内閣委員会と文部科学委員会である。これら2つの委員会で、同審査会が行われるのだ。
そのこと自体は歓迎すべきことだが、読者は内閣委員会に関する極めて不可解な事実をご存じだろうか。内閣府が加計学園事件の疑惑の的であるにもかかわらず、先月閉会した国会では、内閣委員会がほとんど休会になっていたのだ。
同委員会の主導権を握る自民党が開かなかったのだ。
筆者が請求している情報公開を内閣府が1年延期、国策プロパガンダに関する多量の資料の存在が判明
内閣府に対して5月22日に申し立てた情報公開請求の開示が大幅に遅れる見通しとなった。内閣府が筆者に通知してきた開示期限は、なんと2018年(平成30年5月21日)である。民間企業の社員に比べて、公務員の仕事が遅いことは周知しているが、度がすぎるのではないか?
筆者は、今年(2017年)5月22日に、内閣府に対して、次のような文面で情報公開請求を行った。
北のミサイル攻撃を想定、国民に避難を呼びかける政府広告・テレビCMが登場、国家予算は3億6000万円、安倍内閣による露骨な世論誘導とメディアコントロール
6月23日付け朝刊に、北朝鮮のミサイル攻撃に対処するための指示を示した政府広報(内閣府)が掲載された。北朝鮮の経済力・軍事力と、日米同盟の経済力・軍事力の圧倒的な差を知る人は、「戦争ごっこ」じみた安倍内閣の国策に苦笑したのではないかと思うが、この政府広報の裏には、関係者のさまざまな思惑があるようだ。
まず、センセーショナルなキャッチコピーを紹介しよう。
「Jアラートで緊急情報が流れたら、慌てずに行動を。」
「できる限り丈夫な建物や地下に避難する。」
「物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る。」
「窓から離れるか、窓のない部屋に移動する。」
博報堂に対するクールビスPRの国家予算が10億円減、インボイスナンバーが欠落した疑惑の請求書は前年同様
環境省から博報堂へ支払われたクールビスPR費が、1年間に大幅に削減されたことが分かった。筆者が環境省から入手した資料によると、2016年度のクールビスPR費(博報堂分)の総計は、約2億8400万円だった。
前年の2015年度は、12億円を超えていたので、大幅なカットが行われたことになる。ただ、カットされた分が、他の広告代理店へ支払われている可能性もある。
2016年度のクールビスPR費(博報堂分)の詳細は、次の通りである。