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2017年03月26日 (日曜日)

誰が環境省の見積もり内訳を「黒塗り」にしたのか、情報公開請求で調査を開始

環境省に対して情報公開請求した資料(博報堂が請け負った約8億6300万円のプロジェクト「平成27年度低炭素社会づくり推進事業委託業務」の見積もり内訳)の肝心な部分が黒塗りにされて開示されたことを受けて、筆者は23日、環境省に次のような文言の情報公開請求を公式に申し立てた。

「平成27年度低炭素社会づくり推進事業委託業務」の見積書の内訳を黒塗りにして開示するように決定を下した人物を特定できる文書。

既報したように、筆者は昨年、環境省に対して「平成27年度低炭素社会づくり推進事業委託業務」の契約書、見積書、請求書の開示を請求した。これらの書面は開示されたが、最も肝心な見積書の内訳が欠落していた。請負価格が約8億6300万円と高額だったために、筆者はその内訳を開示するように、再度申し立てを行った。

数日後、内訳を入手することができたが、すべて数字は黒塗りになり、隠されていた。

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2017年03月24日 (金曜日)

「一日一善」「人類みな兄弟」、笹川良一氏による世論誘導と広告代理店の大罪

世論誘導は、半ば日常的に行われているにもかかわらず、意外に認識されていない。空気のような存在だ。かつて日本船舶振興会が、「一日一善」とか、「人類みな兄弟」といったフレーズのテレビCMを垂れ流していた。CMには、同振興会のトップ・笹川良一氏も登場していた。

こうしたCMをどの広告代理店が制作していたのかは別にして、冷静に考えると恐ろしいCMである。「一日一善」を実行し、「人類みな兄弟」という気持ちを持てば、それで幸福を得られるかのような間違った思い込みが社会に浸透してしまうからだ。特に児童に対する影響が大きい。が、実はこれが洗脳なのだ。権力者による巧みな世論誘導なのだ。

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2017年03月23日 (木曜日)

1975年ごろから博報堂へ続々と天下り、元国税庁長官2名、内閣府審議官や警察関係者も、病的腐敗の温床か?

本稿の「①」で述べたように、博報堂への天下りが始まったのは、1975年ごろからである。児玉誉士夫氏の側近で等々力産業社長の太刀川恒夫氏が博報堂コンサルタンツの取締役に就任した時期からである。

参考:本稿「①」博報堂コンサルタンツの取締役に児玉誉士夫の側近・太刀川恒夫氏が就任していた、極右勢力と博報堂の関係、①

『現代の眼』(1975年7月)によると、次の人々が博報堂へ天下っている。驚くべきことに内閣府の官僚も含まれている。その他に、国税局の長官が2名。

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2017年03月21日 (火曜日)

博報堂コンサルタンツの取締役に児玉誉士夫の側近・太刀川恒夫氏が就任していた、極右勢力と博報堂の関係、①

メディアの歴史をさかのぼってみると、ひとつの権力を手に入れた者が、次のステップとしてメディア支配を企てることがままある。世論誘導の道具に利用できるからである。

その典型的な例としては、読売新聞社に乗り込んだ元特高警察の高官・正力松太郎と博報堂の支配を企てた右翼の児玉誉士夫の例がある。。

児玉と博報堂の関係を検証する際に、どうしても無視できないのが、博報堂事件である。これは昭和47年11月30日に、創業家の3代目である瀬木庸介社長を福井純一副社長が追放して、社長に就任した事件である。

日経新聞などの報道によると、福井氏は博報堂を私物化するために、みずからの資金で「亜土」を設立して、「博報堂の持ち株会社『伸和』の株を庸介氏から買い取ったり」「違法な方法で新株式割り当てなどで、『伸和』の株式83.5%を支配下に収めた」。伸和は「博報堂の発行済み株式の30%を保有」しており、博報堂は実質的に福井社長の支配下に置かれたのである。ちなみに福井氏は後に、特別背任容疑で逮捕され有罪になっている。

このお家騒動の時期に「伸和」に乗り込んできたのが、児玉氏の側近であり、等々木産業(株)の代表取締役である太刀川恒夫氏らだった。

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2017年03月17日 (金曜日)

環境省が開示した博報堂の8億6285万円プロジェクトの見積内訳は黒塗り、国会予算使途の恐るべき不透明性を露呈

環境省から驚くほど簡素化された見積書の内訳が開示された。しかし、総見積額10億円を超える金額の使途は不明。国会予算の恐るべき不透明性が露呈した。

発端は、筆者が環境省に対して、2015年度に博報堂が環境省と交わした全ての業務契約に関する書面(契約書、見積書、請求書)を開示するように求めたことである。これに応えて環境省は、5件のプロジェクトの契約書・見積書・請求書を送付してきた。

ところが見積書の内訳が開示されていなかった。たとえば次の書面は、「平成27年度炭素社会づくり推進事業委託業務」と題するプロジェクトの見積書である。見積額は、8億6285万円。金額の内訳が分からない。

■最初に送付された見積書

契約額が高額なので、筆者が内訳も開示するように求めたところ、環境省は「検討する」と回答した。数日後、内訳が送られてきた。期待して封を切った。それが次の書面である。

■見積内訳

これでは内訳を情報開示したことにはなっていない。一体、博報堂がどのような仕事をしたのか全く分からない。このような見積書で湯水のように国家予算が支出されているのだ。

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2017年03月15日 (水曜日)

政府広報のテレビCMは本当に放送されているのか、民間企業のケースでは放送確認書の偽造・CM「間引き」が発覚、仲介者は博報堂

筆者は、内閣府や省庁が博報堂に発注してきたPR業務(公共事業)の検証を進めてきたが、唯一、解明が進んでいない分野がある。それはテレビCMだ。内閣府や省庁は、公共の新聞広告だけではなく、国策プロパガンダを目的としたテレビCMも博報堂に制作させている。

筆者が調査したいと考えているのは、テレビCMを本当に放送しているのかという点である。読者からは、「あまり見たことがない」という声が寄せられている。

新聞や雑誌の広報、あるいはインターネット広告は、なんらかの形で「成果物」を確認することができるが、テレビCMだけは、簡単に「成果物」を確認することができない。CMを放送したテレビ局には、放送の記録(動画)が残っているはずだが、広告代理店が関与した事件の取材に協力してくれるほどの寛大さはないので、まず「成果物」の確認は期待できない。

と、なれば放送確認書だけが頼りになる。

放送確認書とは、CMが放送されたことを証明する一種の証書である。重い意味を持つ。テレビCMを制作する際に、コンピューターにコードを入力すると、実際にCMが放送された際に、CMコードがデータとして記録される。放送局は、それをプリントアウトして、広告代理店を通じてスポンサーに届ける。人的な手を加えずに、コンピュータが書面を発行することで、「CM間引き」を監視するのだ。

CMコードは、現在ではほぼ全放送局が導入している。

筆者は、内閣府から2015年度の放送確認書を入手している。その数量は膨大なものになる。これらの放送確認書には、CMコードも付番されている。従って常識的には、政府CMは制作・放送されたことになるが、それですべてがクリアーになったわけではない。

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2017年03月13日 (月曜日)

博報堂が内閣府や防衛省に発行している怪しげな請求書、エクセルやワードで作成の可能性、あずさ監査法人と東証は調査を

内閣府や一部の省庁が博報堂に発注したPR業務には、不可解な点がまま見受けられる。社会通念から逸脱していて、その中にはブラックユーモアを伴うものもある。国家事業であるから大問題だ。

博報堂が発行している請求書もそのひとつの例である。内閣府に対して同社が発行している請求書が、エクセルで作成されているとしか思えないことは、繰り返し報じてきたが、それよりも杜撰で、失笑をかう請求書が防衛省で使われている。

次に示すのがその実物だ。

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2017年03月08日 (水曜日)

環境省が博報堂へ支払った「12億円プロジェクト」の見積明細の開示を要求、契約額を途中で1億円上積み

環境省から博報堂へクールビスのプロジェクトなどで支払われた約12億の明細を公開するように、筆者は環境省に申し入れた。環境省は、「検討する」と回答した。

筆者は昨年、環境省に対して博報堂から環境省へ送付されたすべての契約書、見積書、それに請求書を情報開示するように手続を行った。

これに対して環境省は、5件のプロジェクトに関連した契約書・見積書・請求書を提出した。このうちクールビスのプロジェクトに関して、成果物を開示させるなどして検証作業を行った。その中で、成果物と請求額に整合性がない疑いが浮上した。少なくとも筆者は、そんな印象を受けた。

その理由のひとつは、成果物を示した実施報告書の一部に記述のパクリがあったからだ。複数ある異なるプロジェクトの実施報告書の記述に、まったく同じ記述が見受けられるのだ。それぞれのプロジェクトの担当者が、自分の言葉で書いた文章でないことは明らかだ。

以下に示すように、2つのページの赤枠で囲んだ部分以外が、パクリの箇所である。このページでは、4分の3がパクリである。

■パクリ箇所の実物(赤枠以外が全部パクリ)

こうした事情から、筆者は見積もり明細を調べる必要を感じ、(注:明細は開示されなかった)環境省に申し入れたのである。見積もり明細を開示しなかった理由について、環境省は次のように述べている。

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2017年03月06日 (月曜日)

環境省からは博報堂へクールビスで12億円、報告書の一部記述をパクリ、自民党政権下で国家予算の無駄遣いが止まらない

環境省が2015年度に博報堂に発注したクールビス関連の事業は、少なくとも総額で約12億円になることが、情報公開で入手した資料によって分かった。主要なものは次の通りである。

①平成27年度CO2テクノロジーアセスメント推進事業委託業務
約9900万円

②平成27年度CO2削減アクション推進事業委託業務
2億2500万円

③平成27年低酸素社会づくり推進事業委託業務
8億6300万円

①から③のテーマから察し、分割して発注する必要があるのかも疑問だ。具体的にこれらの国家予算をどのような用途に使ったのかもよく分からない。見積書の明細を、環境省が開示しなかったからだ。

②と③の実施報告書の冒頭にある「業務の目的」の記述は、約7割がまったく同じだ。どちらかの文章をコピーして貼り付けた可能性が高い。読者には下記の2つのPDFでそれを確認してほしい。筆者が赤枠を付けた部分だけが、記述が異なる部分で、それ以外は一字一句同じである。

■①②の冒頭部分

他の箇所についても調査が必要だ。

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2017年03月04日 (土曜日)

【動画解説】博報堂を通じて「血税」を新聞社やテレビ局に湯水のように流し込む仕組み

博報堂を通じて国会予算を新聞社やテレビ局に湯水のように流し込む仕組みを解説した動画を制作した。この動画は、『週刊金曜日』(2月24日号)に掲載した「裁量は内閣府次第、政府広報費の杜撰な使い道」をベースにしたものである。

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2017年03月02日 (木曜日)

内閣委員会の議員58名に博報堂関連の資料を提供、メディア企業に巨額な国家予算注入の恐るべきシステムの裏付け

博報堂を通じて巨額の国家予算をメディア企業へ流し込むカラクリを暴いた『週刊金曜日』(2月24日)の記事、「裁量は内閣府次第、政府広報費の杜撰な使い道」(黒薮執筆)のコピーを、1日、内閣委員会の国会議員58名に送付した。

日本の場合、欧米に比べて議員定数が少ないので、議員ひとりあたりの仕事の量が多く、積極的に国会質問を依頼しない限り、大問題が放置されてしまう可能性が高い。こうした配慮から、今回の記事送付に至った。

書き手の側は単に記事を執筆するだけではなく、資料の配布、講演、訴訟など、PRの舞台を自分で準備する必要がある。

記事に添付した手紙は次の通りである。

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2017年03月01日 (水曜日)

法知識に乏しい筆者を騙した内閣府の手口を記録する、なぜか博報堂を擁護

省庁などいわゆる「役所」に対して情報公開請求を申し立てると、役所がどのような情報を隠したがっているかが分かる。

■内閣府の不開示決定通知書

内閣府が筆者の情報公開請求に対して開示をかたくなに拒否している情報がある。それは電通が制作した新聞広告の版下価格だ。

メディア黒書で報じてきたように、政府の新聞広告の中には、電通が版下を制作して、それを博報堂へ譲り、博報堂が新聞各社に版下を配信してマージンを得ているものが複数ある。まったくあり得ないことではない(「制作代理店」と「媒体代理店」)が、これ自体に多少疑問がある。

もともと広告代理店の収益は、広告のマージンが大部分を占めるので、電通にとって版下を博報堂へ提供することは、納得がいかないシステムのはずだ。だが、内閣府はこのような方法を採用している。ちなみに版下制作費は、推定で30万円から100万円程度である。

当然、次のような疑惑が浮上する。新聞社への版下配信は、実はそれを制作した電通が行っていて、広告掲載料のマージンも得ている。電通は何の不利益も被っていない。その一方で、博報堂からも、広告掲載料として莫大な国家予算が支払されている。2重支払いの疑惑である。

このような疑惑が浮上する背景には、次のような事情がある。

①情報公開資料を、真っ黒にして、情報隠しをしている。

②博報堂が内閣府へ送付した請求書が、エクセルで作成されたものだった。通常はあり得ない。社の公式の請求書が使用される。

③請求書に日付が付されていない。これは会計システムに則して会計処理が行われていない証拠である。

④博報堂と内閣府の間で交わされた契約書に明記されたPR業務のうち、実際には履行されなかったものが含まれている。(フェイスブックやツイッターのコンテンツ制作) 

⑤総務省、文部科学省、環境省などでも、博報堂がからんだ経理の疑惑がある。たとえば文部科学省は、9ページのホームページ制作に2100万円を支出している。

⑥地方自治体のレベルでも、博報堂の業務が問題になったことがある。(盛岡市、大槌町、横浜市、志布志市など)

⑦民間企業との間でも問題を起こしている。

⑧過去に国会で繰り返し、博報堂の経理問題が取りあげられている。

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2017年02月27日 (月曜日)

博報堂事件の取材開始から1年、民間企業から省庁まで腐敗の構図が輪郭を現わす

「折込広告の水増し詐欺を受けている疑惑があるので、相談に乗ってもらえないでしょうか」

ちょうど1年前、わたしは1本の電話を受けた。電話をかけてきたのは、福岡市に本社がある化粧品の通販会社・アスカコーポレーションの社員だった。折込広告の水増し問題は、新聞社による「押し紙」と共に、わたしのライフワークだったので、すぐに承知して資料を送付してもらった。

送付されてきた資料を検証したところ疑惑があったので、取材することを想定して、まず、最初のステップとして、資料の提供者が信用できるかどうかを直接確認するために、福岡市まで足を運んだ。

博報堂事件の取材をはじめてまもなく1年をむかえる。当初は予想しなかった大事件の様相を強めている。今、事件の輪郭が鮮明になってきた。

アスカコーポレーションを訪問して、事情を聞いた。その中で同社が受けた被害は、折込広告に関する疑惑に留まらないことが分かった。テレビCMを約1500本も間引かれていた強い疑惑があることなども分かった。CMが放送されたことを証明する放送確認書に、放送の完了を証明するコードが欠落しているものが多量にあるのだ。

さらにワードで作成した偽造の放送確認書の存在も判明した。

博報堂は、電通や東急エィジェンシーなどを追い出して、2008年から、同社のPR業務を独占してきたのである。

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