1. 加計学園事件に関与している疑惑の安倍政権下、内閣府と文部科学省のずさんな金銭感覚

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2017年05月19日 (金曜日)

加計学園事件に関与している疑惑の安倍政権下、内閣府と文部科学省のずさんな金銭感覚

加計学園の事件に内閣府と文部科学省が関与している事実を示す文書を、朝日新聞が報じている。これら2つの組織の隠蔽体質をよく示している資料を紹介しよう。黒塗りで公開された文書の凄まじい実態が分かる。内閣府と文部科学省がまったく信用できない組織であることが分かるだろう。

紹介するのは、メディア黒書で繰り返し紹介してきた文書だが、加計学園の事件を念頭において、これらの文書を眺めると、黒塗りの背景にある官僚や政治家の人間性がビジュアルに見えてくる。罪悪感もないく、ロボットのように感覚がおかしくなっているのかも知れない。

◇完璧な黒塗り-情報隠し

次の文書は、「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広告テーマの広報実施業務等」と題するプロジェクトの契約書と請求書である。契約相手は博報堂。

「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広告テーマの広報実施業務等」(2015年度)

肝心な部分をすべて黒塗りにしている。
各新聞社や放送局に支払った金額の明細はまったく分からない。内閣府に繰り返し黒塗り部分の開示を求めたが、どうしても開示しない。

このプロジェクトは、野田政権の時代にはじまり、安倍政権下で規模を拡大していく。2015年度の場合、新聞広告だけで支出が20億円を超えた。しかし、博報堂が新聞各社に支払った金額はまったく分からない。

文部科学省による情報開示の実態も類似している。次に示すのは、「日本人海外留学促進事業」の契約書と請求書である。契約額は8000万円。この資料の後半に注目してほしい。完璧な黒塗りになっているのだ。書式すら分からない。当然、原紙が白紙である疑いもある。

■「日本人海外留学促進事業」の契約書と請求書

◇インボイスナンバー(書類番号)の不在が意味するもの

加計学園の事件で疑惑がかかっている内閣府と文部科学省では、極めて不透明な情報開示が行われているのである。それが体質と言えるだろう。
ちなみに内閣府は、内閣官房から「天下り」した職員名を公表することも拒否してきた。その理由を述べた書面も交付しない。

ここで紹介した内閣府と文部科学省の書面には、ある共通点が見られる。読者は、請求書(PDF資料の後半)に注目してほしい。どの請求書にもインボイスナンバー(書類番号)が付番されていないのだ。

インボイスナンバーが不在になっている状況がいかに異常であるかは、たとえばクレジットカードに番号が付いていない状況を想像すれば分かるだろう。番号が不在では、コンピューターで管理することはできない。

同じことが請求書についても言える。インボイスナンバーが不在になっていれば、コンピューターによる管理が、不可能とまではいえないにしても、労力を要する。逆説的に考えると業務を合理化するためにインボイスナンバーを付番するわけだから、それが付番されていない状況は、コンピューターと連動した正規の会計システムとは別の所で経理処理が行われている可能性を提示するのだ。裏金作りの疑惑があるのだ。

この点については、次の記事を参照にしてほしい。

【参考記事】博報堂によるエクセルやワードによる「手作り」請求書、対象は内閣府と中央省庁だけ、地方の「役所」宛ては正常

◇ウエブサイト1件で2100万円の異常

文部科学省による国家予算の使い方のずさんさを示す例はこれ以外にもある。2015年度に文部科学省は、博報堂に2100万円で「日本人海外留学促進事業」(前出)のウエブサイトを発注した。

■裏付け資料(行政事業レビューシートの4ページ目)

ところが前年(2014年度)にも、やはり博報堂に1500万円で「日本人海外留学促進事業」のウエブサイトを発注しているのだ。さらに博報堂プロダクツに170万円のウエブサイト、それに(株)パズルに110万円のウエブサイトを発注しているのだ。

■裏付け資料(行政事業レビューシートの4ページ目)

ちなにみこの年、文部科学省は博報堂へ、印刷・発送費として2900万円を支出している。どのような出版物を何部印刷して発送したのか、今後、調査する必要があるだろう。

◇国家予算の使途明細開示の異常

このように安倍政権下の内閣府と文部科学省は、加計学園の問題以外にもさまざまな疑惑があるのだ。と、なれば一層黒塗りにしている部分を情報公開させる必要がある。国家予算の使途明細を開示しないのはおかしい。