1. 横浜・副流煙裁判

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2020年03月31日 (火曜日)

横浜副流煙裁判と裁判をジャーナリズムの土俵に乗せる実験

横浜副流煙裁判の控訴審(4月16日)が近づいている。
この裁判は、裁判を「ジャーナリズムの土俵」に乗せる実験でもある。裁判をジャーナリズムの土俵に乗せるという発想は、スラップ訴訟を起こされた場合の対抗策として浮上した。

不当な裁判を起こされて泣き寝入りすれば、スラッパーの手中に落ちる。相手の思うつぼだ。そこで「司法の土俵」に立たされた場合、別に「ジャーナリズムの土俵」を築き、そこへスラッパーを立たせる戦略である。

「ジャーナリズムの土俵」では、記事による裁判報道の他に、裁判書面を公開する。それによりスラッパーのデタラメな主張やそれを支援する弁護士の質を公衆の目にさらすことができる。たとえ「司法の土俵」で負けても、「ジャーナリズムの土俵」では相手をノックアウトするという発想だ。

しかし、裁判書面の公開となると、弁護士がなかなか応じない。そこで自由に裁判書面を公開できる条件を整えなければならない。具体的には、スラップの被害を受けた側が、弁護士に頼らずに支援者の協力を得て、みずから書面を作成し、それを公開することである。

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2020年03月05日 (木曜日)

作田学医師の医師法20条違反が覆る可能性は皆無、横浜副流煙裁判

既報したように横浜副流煙裁判で作田学医師の医師法20条違反が認定された。週刊新潮や日刊ゲンダイなどの主要なメディアもそれを報じた。こうした状況の下でこの嫌がらせ裁判を起こした人々は、作田医師を弁護するための抗弁を開始した。

控訴人(元原告のA夫、A妻、A娘)側が提出した書面には、作田医師による無診察で診断書を交付した行為は医師法20条に違反しないとする記述があり、それに照応して裁判判例などの証拠も提出された。わたしはこれらの資料を一通り閲覧した。

その結果、A夫らの代理人弁護士である山田義雄・山田雄太(父と息子)の両弁護士が提出した証拠がかえって、作田氏の違法行為を2重にも3重にも裏付けてしまったという感想を抱いた。医師法20条違反が控訴審で取り消されることはまずありえない。以下、取材ノートを紹介しよう。

医師法20条は次のように述べている。

第二十条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せ ん を交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。

この裁判で問題になっているのは、診断書である。作田医師が患者であるA娘を診察せずに、診断書を交付した事実である。病名は、受動喫煙症レベル4と化学物質過敏症である。

 

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2020年03月04日 (水曜日)

岡本光樹・東京都議が回答、「『ゴミ箱』というのは、集合住宅共同のゴミ置き場」、「訴訟という方針をお勧めしたことはありません」、横浜副流煙えんざい裁判

昨日(2日4日付け)の記事で、裁判を起こしたA夫が岡本光樹・東京都議(弁護士で日本禁煙学会理事)から得た訴訟上のアドバイスの件に言及した。藤井将登さん(元被告、現被控訴人)が煙草を四六時中吸って、その煙が階を隔てたA夫の住居にまで入っていたという主張の裏付け証拠を掴むための方法として、岡本都議から、藤井家のゴミ箱を調べて煙草の吸殻を探すようにアドバイスを受けたとされる件である。

■事件の概略

これについて岡本都議に事実関係を問い合わせたところ、次のような回答があった。

【メールの抜粋14:25分受信】
下記(黒薮注:吸殻さがしをアドバイスした事実)のご指摘の内容は、事実です。

 なお、誤解なきように付け加えますが、私は、本件に関して●●氏に訴訟という方針をお勧めしたことはありません。

【メールの抜粋14:40分受信】
 誤解があるようなので、指摘しておきます。
「ゴミ箱の中を調査するためには、他人の住居に立ち入る必要があるから、違法な証拠収集ということになる。」
とのことですが、
「ゴミ箱」というのは、集合住宅共同のゴミ置き場(住宅外)を意味しています。他人の住居に入ることは、ありません。

つまりゴミ箱というのは、控訴人の自宅に備えられているゴミ箱のことではなくて、集合住宅共同のゴミ収集場のことである。

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2020年03月03日 (火曜日)

山田弁護士らが証拠資料を含め300ページの控訴理由書を提出、期限を30日オーバー、都民ファーストの岡本光樹議員らも関与か? 横浜副流煙スラップ裁判

横浜副流煙裁判の続報である。既報したように裁判の舞台は、東京地裁から東京高裁へ移った。被控訴人(元被告)の藤井将登さんは、山田義雄・山田雄太(親子)の両弁護士から控訴理由書が到着するのを待っていた。ところが提出期限の1月29日を過ぎても、書面は届かない。そこで山田弁護士に内容証明を送って提出を促したり、裁判所に対して指導を求める上申書を提出した。その結果、期限からひと月おくれの2月29日に書面が届いた。

事件の概要

ページ数は証拠資料を含めて約300ページ。藤井さんは、4月9日までに答弁書を作成しなければならない。控訴した側が、書面の作成に80日もの日数を使い、一方、藤井さんの準備期間は40日しかない。

この裁判提起は、もともと訴権の濫用の疑惑があるのだが、わたしのような第3者からみると、藤井さんに答弁の時間を十分に与えないのも、山田親子の戦略のようにも感じられる。これも訴権の濫用のかたちなのかも知れない。

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2020年02月21日 (金曜日)

藤井さんが東京高裁へ上申書を提出、山田義雄弁護士はいまだに控訴理由書を提出せず、横浜副流煙裁判

横浜副流煙裁判の敗訴判決を不服として、原告は昨年の12月10日に控訴したが、肝心の控訴理由書をいまだに提出していない。民事訴訟規則第182条によると、控訴理由書は控訴日から50日以内に提出する規則になっている。この規則に従って提出期限日を計算すると1月29日がそれにあたる。既に3週間ほど遅れている。

こうした状況を受けて被控訴人(元被告)の藤井将登さんは、17日、東京高裁へ上申書を提出した。目的は、控訴人(元原告)の山田義雄弁護士らに対して早急に控訴理由書を提出するように指導を求めることである。

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背景にピラミッド構造、横浜副流煙事件と滋賀医科大事件

『紙の爆弾』に続いて『週刊新潮』が作田学・日本禁煙学会理事長の医師法20条違反を報じた。医師法20条は患者を診察せずに診断書を交付する行為を禁じている。作田医師は、横浜副流煙裁判の原告の依頼に応じて、無診察で診断書を作成したのである。その行為が判決の中で、認定され、断罪されたのだ。

『週刊新潮』の記事によると、作田医師は記者からコメントを求められて次のように答えている。

「書面を精査し、夫妻に聞き取りを行い、書面を一通作成しました。なお、診断はしていません。書面は診断書でなく意見書です」

このコメントは真っ赤なウソである。「診断書でなく意見書」ではない。そのことは次の記述を読めば明らかになる。原告の準備書面(2)を引用してみよう。【続きはウェブマガジン】

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週刊新潮が横浜副流煙裁判を報道、この裁判の何が問題なのか?

本日(13日)発売の『週刊新潮』が、横浜・副流煙裁判について報じている。タイトルは、『「反たばこ訴訟」で認定された「禁煙学会理事長」の医師法違反』。日本禁煙学会の作田学医師の医療行為が医師法20条に違反していることが認定された経緯を伝えている。

ところでこの裁判は、原告による訴権の濫用である可能性がある。周知のように、原告が被告に請求した金額は4500万円だった。請求額としては極めて高額だ。しかし、高額訴訟であれば、特にめずらしくはない。わたしも読売新聞社から総額で約8000万円請求されたことがある。

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2020年02月09日 (日曜日)

『紙の爆弾』が横浜・副流煙事件を報道、被告にされた者が受けた莫大な損害

7日に発売された『紙の爆弾』に横浜・副流煙裁判の記事が掲載された。タイトルは、「その一服、4500万円」「巨額訴訟の裏に日本禁煙学会理事長の不正診療」。わたしが執筆したルポルタージュである。

この事件については、メディア黒書で報じてきた。事件の概要と重要資料は、次のURLでアクセスできる。

横浜・副流煙事件とは何か?

原告側は昨年の11月28日に、弁護士を立てなかった被告に完全敗訴した。それほど最初から勝ち目のない提訴だったのだ。原告の弁護士は原告に提訴を思いとどまらせるべきだったのだ。言葉を変えると敗訴が明らかに予測できたのに、強引に提訴に及んだのである。

さらに無診察で作成された不正な診断書を根拠に、4500万円の金銭請求を行った事実は重大だ。

その後、原告は12月10日に控訴した。ところが控訴理由書の提出期限が1月31日になっているのに、現時点で控訴理由書は、被告・藤井将登さんに届いていない。事件の発生から3年が過ぎており、これ以上係争が長引いた場合は、被告側から損害賠償や弁護士の責任を問う対抗策が講じられる可能性が高い。

『紙の爆弾』は、全国のほどんどの書店で販売されている。

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2020年02月08日 (土曜日)

横浜・副流煙裁判と訴権の濫用&反撃

横浜・副流煙裁判は取材すればするほど不可解な部分が浮上してくる。取材当初は創価学会が背後で糸を引いているのではないかと疑っていたが、学会の組織的な関与はない。ただ、原告一家が創価学会の会員である事実は判明している。

裁判への関与が疑われるのは、日本禁煙学会である。日本禁煙学会は、わたしの電話取材に対して、副流煙の被害者に対して裁判提起を奨励していることを認めた。横浜副流煙裁判もこうした脈絡の中で提起された可能性が高い。【続きはウェブサイト】

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2020年01月30日 (木曜日)

横浜副流煙裁判、原告宅と被告宅の位置関係を現地調査ぜすに診断書を書いた作田学医師

メディア黒書に日本禁煙学会の作田学氏に関する情報提供があった。「盛岡地裁の受動喫煙訴訟不当判決に抗議する」と題する作田学氏が執筆した抗議文がネット上に掲載されているというのだ。文書の日付は、「平成24年10月10日」。肩書は、「NPO法人 日本禁煙学会 理事長 」となっている。

盛岡地裁が審理した受動喫煙裁判の概要は、岩手県の職員が「公用車(注:の内部で)の受動喫煙による化学物質過敏症を発症させられた」として賠償を求めたものである。盛岡地裁は原告の訴えを棄却した。

作田氏による抗議文の内容は次の通りである。

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2020年01月27日 (月曜日)

横浜副流煙裁判のまとめ、提訴の経緯から判決まで

■横浜副流煙裁判とは何か?

◇被告と原告の関係

この事件は、同じマンションに住む住民が、煙草の煙で化学物質過敏症などに罹患したとして、隣人に対して自室での喫煙の禁止と約4500万円の損害賠償を求めて、横浜地裁へ提訴したものである。提訴日は、2017年11月21日。第一審では、原告の訴えはすべて棄却された。

裁判は2020年10月に東京高裁で確定した。藤井さんの全面書訴である。

被告にされた藤井さんはミュージシャンで、自宅マンション(1階)の一室を仕事部屋にあてている。その部屋は音が外部にもれない構造になっている。当然、煙草の副流煙ももれない。しかも、仕事柄、自宅にいないことが多く、自宅で仕事をする際も喫煙量は少ない。空気清浄機も使う。

原告のA夫・A妻・A娘は、藤井さんと同じマンションの2階に住んでいる。ただし藤井さん宅の真上ではない。真上マンションの隣に位置するマンションだ。つまり原告と被告の位置関係は、1階と2階を45度ぐらいの直線で結んだイメージになる。

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2020年01月25日 (土曜日)

横浜副流煙裁判、原告が東京高裁へ控訴、「報告事件」対策と今後の支援について

横浜副流煙裁判で、原告が控訴していたことが分かった。この裁判の判決は昨年の11月28日。被告の藤井将登さんの完全勝訴だった。判決の中で、原告のひとりを直接診察せずに診断書を作成した作田学医師の行為が医師法20条に違反することが認定された。また、同医師が訴訟目的で恣意的に診断書を作成した可能性も認定された。

藤井さんの完全勝訴だった。

控訴状によると請求額が約4500万円から約4680万円へと引き上げられている。控訴理由が現在時点では届いていないので、その原因については不明だ。

藤井さんに届いた控訴状は次の通りである。

控訴状の全文

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2020年01月22日 (水曜日)

冤罪の横浜副流煙事件、原告の請求項目を検証する、「被告は、自宅において、喫煙してはならない」

横浜副流煙裁判の訴状に記された「請求の趣旨」は2項目ある。第1項目は、原告による4500万円の金銭請求である。高額さゆえに注意を惹く。

第2項目は第1項目の陰になって、若干その異常さが議論の対象になりにくいが、こちらの請求も前代未聞の変な内容だ。次の請求である。

2、被告は、自宅(神奈川県横浜市◆◆)において、喫煙してはならない。

なぜ、この請求が常道を逸しているのだろうか。これについては説明を加えるよりも、類似した請求例を提示する方が手っ取り早いだろう。以下、わたしが便宜上、作成した架空の請求内容である。

・ 被告は、自宅(神奈川県横浜市◆◆)において、ニンニクを食べてはならない。

・ 被告は、自宅(神奈川県横浜市◆◆)において、お経を読んではならない。

・ 被告は、自宅(神奈川県横浜市◆◆)において、音楽を聴いてはならない

実際に、原告が藤井さんに提示した請求項目、「 2、被告は、自宅(神奈川県横浜市◆◆)において、喫煙してはならない」は、法律の支配から除外されたところに位置している請求内容なのである。それに対して司法判断を求めているのである。【続きはウエブマガジン】

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