横浜副流煙裁判と裁判をジャーナリズムの土俵に乗せる実験
横浜副流煙裁判の控訴審(4月16日)が近づいている。
この裁判は、裁判を「ジャーナリズムの土俵」に乗せる実験でもある。裁判をジャーナリズムの土俵に乗せるという発想は、スラップ訴訟を起こされた場合の対抗策として浮上した。
不当な裁判を起こされて泣き寝入りすれば、スラッパーの手中に落ちる。相手の思うつぼだ。そこで「司法の土俵」に立たされた場合、別に「ジャーナリズムの土俵」を築き、そこへスラッパーを立たせる戦略である。
「ジャーナリズムの土俵」では、記事による裁判報道の他に、裁判書面を公開する。それによりスラッパーのデタラメな主張やそれを支援する弁護士の質を公衆の目にさらすことができる。たとえ「司法の土俵」で負けても、「ジャーナリズムの土俵」では相手をノックアウトするという発想だ。
しかし、裁判書面の公開となると、弁護士がなかなか応じない。そこで自由に裁判書面を公開できる条件を整えなければならない。具体的には、スラップの被害を受けた側が、弁護士に頼らずに支援者の協力を得て、みずから書面を作成し、それを公開することである。
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横浜副流煙裁判は、裁判を「ジャーナリズムの土俵」に乗せた最初のケースである。幸いに、第一審の横浜地裁では、被告の藤井さんが完全勝訴した。しかも、作田学医師の医師法20条違反も認定させることができた。
現在、藤井さんの支援者らは、控訴審に向けて準備を進めている。裁判であり、同時にジャーナリズム活動なので、山田義雄弁護士が神奈川県警本部長(現、警視総監・斎藤実氏)を動かして、冤罪事件をあおった証拠も提出される見込みだ。そのための音声翻訳も進んでいる。
重要な事実を全部公表することで、最高裁事務総局による報告事件化(政治判断による不当な判決を書くこと)を避けることもできる。
藤井さんのケースは、実験の段階であるから、まだ10年ぐらい継続する可能性もある。裁判が終了した後には、当然、「戦後処理」の問題が出てくるからだ。「司法の土俵」は、裁判が終われば消えるが、「ジャーナリズムの土俵」は消えない。事件を歴史的に検証する作業があるからだ。当然、その記録も残る。