新聞人による読売裁判の提訴から11年、なお未解決の「押し紙」問題と折込詐欺
読売新聞の江崎徹志法務室長(当時)と喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)が、筆者に対して著作権裁判を提起してから21日で11年になる。この裁判は、喜田村弁護士が作成した「江崎」名義の催告書を江崎氏が筆者に送付したことが発端だ。その内容が怪文書めいていたので、すぐにメディア黒書で全面公表したところ、削除を求めて提訴した事件である。
裁判の中で、江崎・喜田村の両氏は、催告書が江崎氏の著作物であるから、筆者(黒薮)に公表権はないと主張(著作権違反)した。ところが催告書の本当の執筆者は江崎氏ではなく、喜田村弁護士であった高い可能性が判明。江崎氏の著作物を筆者(黒薮)が公開したという提訴の論拠がまったくの嘘だったことが判明したのだ。当然、江崎氏らは門前払いのかたちで敗訴した。
ちなみに著作権は、著作者人格権と著作者財産権に分かれる。著作者財産権は他人に譲渡できるが、著作者人格権は譲渡できない。著作物を公表する権利に関する法律は著作者人格権の範疇にある。従って問題になった催告書の著者ではない江崎氏には、喜田村弁護士が著作権を有する催告書の削除を請求する権利はない。提訴の権限そのものがなかったのだ。
これは虚偽の事実(名義を偽った催告書)を前提に提訴に及んだ事件の典型である。おそらく前例がないケースではないかと思う。
その後、筆者(黒薮)は事件の後処理に入った。すなわち喜田村弁護士に対する弁護士懲戒請求を申し立てた。訴因そのものが虚偽(著作権者が江崎氏であるという嘘)であることを知っていながら、提訴に及んだというのがその理由である。江崎氏らにとって不幸中の幸いだったのは、金銭請求をしていなかったことである。
詳細については、事件8周年の際に詳しく書いた。次の記事である。訴状や判決もダウンロードできる。
■ 喜田村洋一弁護士が作成したとされる催告書に見る訴権の濫用、読売・江崎法務室長による著作権裁判8周年①
■報道・出版活動に大きな支障をきたしていた可能性も、読売・江崎法務室長による著作権裁判8周年②
◆何が目的で著作権裁判を起こしたのか?
読売の江崎法務室長は、何が目的でこのようにリスクが高い裁判を起こしたのだろうか。この裁判に続いて読売は、筆者に対して2件目の裁判を提起した。【続きはウェブマガジン】