1. 横浜副流煙裁判のまとめ、提訴の経緯から判決まで

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2020年01月27日 (月曜日)

横浜副流煙裁判のまとめ、提訴の経緯から判決まで

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■横浜副流煙裁判とは何か?

【横浜副流煙事件の概要】

◇被告と原告の関係

この事件は、同じマンションに住む住民が、煙草の煙で化学物質過敏症などに罹患したとして、隣人に対して自室での喫煙の禁止と約4500万円の損害賠償を求めて、横浜地裁へ提訴したものである。提訴日は、2017年11月21日。第一審では、原告の訴えはすべて棄却された。

裁判は2020年10月に東京高裁で確定した。藤井さんの全面書訴である。

被告にされた藤井さんはミュージシャンで、自宅マンション(1階)の一室を仕事部屋にあてている。その部屋は音が外部にもれない構造になっている。当然、煙草の副流煙ももれない。しかも、仕事柄、自宅にいないことが多く、自宅で仕事をする際も喫煙量は少ない。空気清浄機も使う。

原告のA夫・A妻・A娘は、藤井さんと同じマンションの2階に住んでいる。ただし藤井さん宅の真上ではない。真上マンションの隣に位置するマンションだ。つまり原告と被告の位置関係は、1階と2階を45度ぐらいの直線で結んだイメージになる。

◇訴因
だれが考えても、藤井さん宅の「防音室」で吸った煙が、原告宅へ達するはずがない。確かに化学物質過敏症の人はごく微量の化学物質に被曝しても症状を呈する。それは事実である。ヨーロッパではすでに化学物質過敏症に保険が適用されている国もあるほどだ。しかし、症状の出現は汚染された空気が、化学物質過敏症の人の体内に入った場合に限る。

この裁判では、藤井さん宅の「防音室」の煙が、原告宅に届いているかどうかがひとつの争点になった。原告は、風向きが年中、被告宅から原告宅の方向へ吹いているので、副流煙が自宅に入ると主張した。これに対して藤井さん側は、気象庁から横浜市の風向に関するデータを取り寄せ、実際の風向が1年を通じてまちまちであることを立証したのである。

斎藤実県警本部長(当時、後に警視総監)と事件のかかわり

裁判の提訴は2017年11月22日である。既に述べたように請求額は4500万円。

提訴から1月あまりが過ぎた12月27日、神奈川県警青葉署の刑事ら2名が藤井さんの自宅を訪れた。実は、8月にも青葉署の刑事ら4人が藤井さんの妻・敦子さんを取り調べている。煙草による苦情で、刑事が出動するのは異例だ。極めて不自然なことである。

特に問題なのは2回目の事情聴取である。この聴取が原告の山田義雄弁護士が当時の県警本部長・斎藤実氏へ依頼した結果実現したことが、山田義雄弁護士が裁判所へ提出した記録によって明らかになっている。山田義雄弁護士がなぜ、自らを窮地に追い込みかねないこうした書面を提出したのかは分からない。

ちなみに事情聴取が行われたとはいえ、原告側は藤井さんを刑事告訴していたわけではない。それにもかかわらず本格的な取り調べが行われたのだ。この取り調べが、斎藤本部長の指示で行われたことは、藤井敦子さんを取り調べた望月刑事も認めている。
改めて言うまでもなく、疑わしいことは何も出てこなかった。

◇判決

判決は、2019年11月28日に言い渡された。藤井さんの完全勝訴だった。2年をかけて審理を尽くしたが、原告の訴えはなに一つ認定されなかった。それとは逆に藤井さん側の主要な訴えがほぼ認められた。たとえば作田学・日本禁煙学会理事長が原告のために作成した診断書の一通が、患者を直接診察しないで作成されていたことが判明した。判決は、作田氏の無診察による診断書の作成行為を医師法20条違反と認定した。また、日本禁煙学会の受動喫煙症の診断基準そのものが政策目的(煙草裁判の提訴)である可能性を指摘した。

高裁判決は、医師法20条違反には直接は言及しなかった。問題となった診断書は、意見書の域を出ないした。つまり提訴の根拠として診断書を診断書と認めなかったのである。

 

【重要記事】

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【重要資料】

被告の最終準備書面

横浜地裁の判決

原告の控訴状

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