2021年03月03日 (水曜日)
楽天モバイルに対して2通のお願い文書を送付、基地局設置をめるぐトラブルで、計画の白紙撤回を求める
「電磁波からいのちを守る全国ネット」(以下、全国ネット)は、3月1日、楽天モバイルに対して、携帯電話の基地局設置計画の中止を求めるお願い文書を送付した。
5Gの普及が進む状況の下で、「全国ネット」は、基地局設置をめぐるトラブル相談に応じてきた。その大半は住民の反対運動で解決しているが、ペンディングになっている2件のケース(いずれも楽天モバイル)について、今回、公式に計画の白紙撤回を求めたものである。
2021年01月20日 (水曜日)
基地局設置をめぐる最近のトラブル状況、公有地にビジネス目的の基地局、住民訴訟の提起も可能
「電磁波からいのちを守る全国ネット」のウエブサイトより転載。
昨年の秋ごろから、基地局設置をめぐるトラブル相談が「全国ネット」へ多数寄せられている。その9割以上が楽天基地局に関するものである。そのほかにソフトバンク、KDDI、ドコモの基地局に関する相談も寄せらた。
各電話会社との対応状況は次の通りである。
■楽天
相談があった。トラブル件数は多いが、楽天は一応は住民の意思に配慮している。トラブルの大半は解決している。
千葉市で小学校へ複数の基地局を設置したケースがある。
■KDDI
相談があった。住民の抗議を無視して強引に工事を強行したケースが複数件ある。警察も出動している。
■ソフトバンク
相談があった。神奈川県川崎市のケースでは、担当者との連絡がなかなか取れない。直通電話もメールも公表しないので交渉に手間取る。テレビCMで描かれた善良な家族のイメージではなかった。
■ドコモ
相談があった。
◆◆
公有地(公園、学校など)へ基地局を設置したケースでは、設置場所の賃借料が、私有地の場合と比較して各段に安い。地域により価格差があるが、たとえば埼玉県朝霞市岡3丁目の城山公園に設置されたKDDI基地局の場合は、年間で3400円である。ビルの屋上に設置した場合の相場は、50万円から80万円ぐらいである。
公有地に基地局が設置され、賃借料が相場からかけ離れている場合は、市長を被告として、実際の賃借料と相場の賃借料の差額を市に支払うように求める住民訴訟を提起することができる。
電話会社に土地を提供した地主が、賃借契約を結んだ後に、住民から電磁波問題を指摘されてはじめて電磁波のリスクを知ったケースもある。このような場合、電話会社が電磁波の「非熱作用」説の存在を説明していない可能性が高く、地主は説明義務違反で電話会社を提訴して、契約を無効にできる可能性もある。
行政の対応は、基本的に電話会社に配慮しており、基地局に関する情報公開には応じない。従って、住民は基地局の所有会社を特定することすらもできない。基地局から放射されている電磁波の周波数や電力密度も把握できない。
基地局問題が発生したときの電話会社の言い分は、自分たちは、総務省の電波防護指針を遵守しているから、人体への影響はないというものである。
住民説明を開かないまま基地局を設置したケースもある。
◆◆◆
対策としては、電磁波についての住民学習会の開催、署名活動の展開、地方自治体レベルで基地局設置を規制する条例を制定させる活動の展開、商品不買運動などがある。
2021年01月07日 (木曜日)
朝霞市の公有地への通信基地局設置事件、賃借料360円、設置計画を市に打診したのはKDDI、時系列ノート㉙
KDDIが埼玉県朝霞市岡3丁目の市営・城山公園内に通信基地局を設置した問題で、いくつかの新事実が明らかになった。既報してきたように、KDDIが朝霞市に支払う土地の賃借料は、月額で約360円である。朝霞市は基地局を「電柱」と解釈した上で、条例に従ってこの価格を設定したとしている。しかし、相場とはかけはなれている。
この基地局の設置計画は、KDDIが打診したのか、それとも朝霞市が打診したのか、朝霞市へ問い合わせたところ、「基地局の設置については、市から事業者へ打診はしておりません」との回答があった。つまりKDDIが朝霞市へこの計画を持ち掛け、両者が月額360円の賃借料で合意したことになる。
また筆者は、朝霞市が所有する公園に設置されているKDDI基地局の数と場所をすべて公開するように求めた。これに対して、次のような回答があった。
2020年12月23日 (水曜日)
楽天モバイル「広報部」、電磁波の安全性に関する質問に対するAIのような回答
読むたびにうんざりするのが企業の広報部が発行する文書である。企業が関係する事件を取材して記事化するとき、批判対象となる企業のコメントを求めるのがメディアの慣行になっており、それはそれで一応は理にかなっているので、わたしも批判対象になる企業の広報部を取材する。
すると、「質問を文書で提出してほしい」という決まり文句が返ってくる。そこで質問を送付する段取りとなる。
わたしは電磁波問題を取材している関係で、電話会社の広報部に質問することが多い。さすがに質問そのものを無視されることはあまりないが、回答を読むたびに、AIが作成した作文ではないかと違和感を感じる。担当者が自分の言葉で綴った回答は皆無に等しい。
2020年12月19日 (土曜日)
多発する通信基地局の設置をめぐるトラブル、認識されはじめた5Gによる人体への影響、懸念される遺伝子毒性
電話会社が広範囲に通信基地局の設置を進めている状況の下で、電話会社と住民との間のトラブルが多発している。メディア黒書へも、この1週間だけで5件の相談があった。5Gの普及がはじまる前は、相談件数は月に数件だったが、このところ急増している。大半の係争は、楽天モバイルを相手にしたものである。
基地局の設置をめぐるトラブルが増えている現象を、肯定的に捉えれば、無線通信で使われる電磁波による人体影響が多くの人々に認識されはじめた証である。かつては電磁波の危険性とえば、変電所近辺や高圧電線の下の住宅に住む人々に癌や小児白血病が相対的に多いという疫学調査の結果を、一部の層が知っていた程度だったが、ここにきて5Gに使われる電磁波(マイクロ波とミリ波)による毒性について知る人が増えてきた。
これは裁判を起こしてでも解決しなければならない深刻な問題にほかならない。「予防原則」を理由にすれば訴訟の提起は可能だ。危険物に対する説明義務違反にも問えるのではないか。
2020年12月03日 (木曜日)
「電磁波からいのちを守る全国ネット」が楽天モバイルに公開質問状を送付、「マイクロ波に遺伝子毒性がないと考える理由は?」
「電磁波からいのちを守る全国ネット」の運営委員会は、2日、楽天モバイルに対して公開質問状を送付した。
筆者も運営委員を務めている「全国ネット」は、5Gの普及に反対する住民運動や個人を支援している。だれもが直面しかねな重大問題であるからだ。
実際、このところ通信基地局の設置をめぐるトラブルが急増している。「全国ネット」に対して、ほとんど毎日のように、全国から相談が寄せられている。
今回、楽天モバイルに対して公開質問状を送付した理由は、特に楽天に対する苦情が多いからだ。苦情の8割を占める。次がKDDI。
質問内容は次の通りである。(青文字は、筆者による解説) (PDFはここから)
2020年11月28日 (土曜日)
楽天の基地局設置をめぐるトラブル相談が急増
楽天による基地局設置をめぐって、「電磁波からいのちを守る全国ネット」への相談が急増している。この1週間だけで新規相談が3件あった。
通信基地局が一旦設置されると、基地局周辺に住む住民は、半永久的にマイクロ波に被曝することになる。マンションの最上階に基地局が設置された場合、天井を隔てた基地局直下の住民は、低周波の影響も受けることにもなりかねない。
2020年11月20日 (金曜日)
5Gの時代、隠されているマイクロ波のリスク、電話会社の常套句、「総務省の基準を守って操業しますから絶対に安全です」
環境問題でいう規制値とは、環境に放出される汚染物の許容範囲を定めた数値である。それは通常、総務省が設定する。無線通信で使うマイクロ波の場合、1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・センチメートル)が、規制値である。
規制値が1000μW/c㎡ と言っても、ほとんどの人は、どの程度の許容範囲なのかをイメージすることができない。結論を先に言えば、この数値では、規制になっていない。
許容範囲の程度をメージ化するためには、他の地域における規制値と比較することが有効だ。
たとえば欧州機構が定めているマイクロ波の規制値(勧告値)は、0.1μW/c㎡ である。近い将来には、この数値を、0.01μW/c㎡ へ引き上げると言われている。
2020年11月17日 (火曜日)
KDDIが通信基地局に関する説明を一方的に打ち切り、朝霞市岡の基地局問題、設置場所の賃借料は月額360円の異常、時系列ノート㉗
KDDIは、11月5日、筆者に対して一方的に通信基地局問題に関する質疑応答の打ち切りを通知した。これに対して筆者は、基地局設置場所(朝霞市城山公園内)を提供している朝霞市に対して、基地局を2020年度中に撤去するように申し入れた。
◆一方的な基地局設置
事件の発端は、KDDIが朝霞市岡3丁目の朝霞市城山公園内に、一方的に通信基地局を設置したことである。(KDDIが朝霞市に支払う賃借料は、月額で約360円である。非常識な価格設定である。)
筆者が設置計画を知って、KDDIに中止を求めたところ、KDDIは一時的に工事をペンディングにした。そして筆者からの質問に文書で回答するようになった。KDDIの言葉を借りると、基地局の近隣住民に対する説明である。
ところがその質疑応答が完了していな段階で、KDDIは一方的に基地局設置工事を再開した。これが8月である。現場で抗議すると、警察を呼んだ。これ自体が企業コンプライアンスにかかわる行為である。
その後も質疑応答は続いた。
2020年11月03日 (火曜日)
楽天モバイル基地局、マンション住戸の真上に新規設置で住民が反対…健康への影響を懸念
東京都内のIT企業でAI(人工知能)の開発に携わっている中国人の柳大海(仮名、38歳)さんは、3年ほど前に東京都大田区南六郷にある分譲マンションを購入した。そこは京浜急行の雑色駅から徒歩で10分、民家や中層のビルが建ち並ぶ住宅街である。
柳さんの住居は、7階建てマンションの最上階である。2LDK。広々としたルーフバルコニーもある。築20年ほどの中古物件だが、物件管理が行き届いているので、新築のような印象がある。柳さんは月々約10万円のローンを返済している。柳さんは20代のときに仕事で来日し、その後、職能を高く評価されて日本企業に転職した。日本の生活にもなじみ、永住するつもりでマンションを購入したのである。
その柳さんに不穏な話が持ち上がったのは、今年の8月だった。楽天モバイル(以下、楽天)が柳さんの住居の真上に通信基地局を設置する計画を、マンションの管理組合に打診してきたのだ。柳さんが言う。【続きはビジネスジャーナル】
2020年10月29日 (木曜日)
危険極まりない総務省の電波防護指針、 KDDIは安全を断言、「60年以上に及ぶ研究結果が蓄積」、5G導入の国策下でメディアは沈黙【時系列ノート㉖】
スマホなどの通信基地局の設置をめぐって電話会社と住民の間で、トラブルになるケースが増えている。メディア黒書に情報が提供される事件についていえば、最も件数が多いのは楽天である。次にKDDIである。
基地局問題の諸悪の根源は、総務省が定めている電波防護指針(マイクロ波の規制値)が実質的には規制レベルになっていないことである。それは次の比較値を見れば明らかになる。
日本:1000μW/cm2
中国:40μW/cm2
イタリア:10μW/cm2
スイス:6.6μW/cm2
欧州評議会:0.1μW/cm2(勧告値)
日本は米国と並んで世界で最も規制がゆるい国なのである。確かに1000μW/cm2まではいかなくても、900μW/cm2ぐらいのレベルを規制値に定めている国は少なくないが、マイクロ波が人体に及ぼす影響が研究により裏付けられて来るにつれて、海外では国とは別に地方自治体が独自の基準を設置するケースが増え、現在、規制値に大きな差が生じているのである。
日本の規制値は、1989年に設定された。それ以来、更新されていない。
2020年10月20日 (火曜日)
楽天の方針、欧州評議会の勧告値の20倍までの強度で通信基地局を操業、基地局周辺住民に懸念されるガンの罹患率上昇
電話会社による通信基地局設置に拍車がかかる中で、電磁波による人体影響が懸念されている。とりわけ5Gで使われるミリ波の安全性についての不安が広がっている。
昨日、総務省が定めている電波防護指針(安全基準)について、楽天に問い合わせをした。その中で楽天は、総務省の基準が示している数値で、健康被害を防止できると考える根拠について、「総務省が定めた数値であるから」と述べた後、次のような主旨の説明を付け加えた。