1. 楽天の基地局設置をめぐるトラブル相談が年間で約70件、楽天、「弊社としては総務省の電波防護指針に従って法令遵守で設置しております」

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2021年10月27日 (水曜日)

楽天の基地局設置をめぐるトラブル相談が年間で約70件、楽天、「弊社としては総務省の電波防護指針に従って法令遵守で設置しております」

わたしの手元に1通の告知チラシがある。携帯電話の基地局設置工事を告知した4A版のチラシである。

 皆様方には、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
 この度、下記予定にて楽天モバイルの通信設備工事を実施いたします。
 作業期間中は何かとご迷惑・ご不便をおかげいたしますが何卒ご理解・ご協力を頂きますようお願い申し上げます。(略)

工事の期間は10月16日から10月23日となっている。

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鈴木芳子(仮名、和歌山県)さんがこの告知チラシを受け取ったのは、10月9日だった。工事の開始まで1週間しかなかった。そこでインターネットで「電磁波からいのちを守る全国ネット」の相談窓口をみつけて連絡したのである。

事情を聞いてみると電磁波に対する感受性が強い体質だという。とりわけ交通事故にあって後遺症が現れたあとに、それが顕著になっている。家電の電磁波にも体が反応するという。

楽天が基地局設置を計画しているのは、鈴木さんの住居の至近距離にある2階建てビルの屋上である。基地局が稼働すると、自宅は電磁波の放射を受ける。当然、体調を悪化させるおそれがあった。

「全国ネット」は、鈴木さんから裏付け資料を送付して もらい、事実関係を確認した後、楽天モバイルに対して、工事を延期するように申し入れた。幸いに楽天モバイルは、それを受け入れて、工事を延期した。

◆◆

その後、わたしは楽天モバイルに対して、次の質問状を送った。

楽天モバイル:池内健太様
       廣瀬昇蔵様
         広報部

 先日、和歌山県●●●の基地局設置をめぐるトラブルで、工事延期を申し入れました「電磁波からいのちを守る全国ネット」の運営委員・黒薮哲哉です。まず、当方の申し入れを承諾していただきましたことに感謝を申し上げます。

 鈴木芳子さんが、当会の会員であり、現在体調がおもわしくないので、今後はわたしが貴社の窓口として対応させていただきます。よろしくお願いします。

 連絡は、わたし宛てにお願いします。

 まず、貴社との話し合いの大前提として、次の点を教えて下さい。

1、貴社が設置を計画しておられる基地局の周波数と出力

2、マイクロ波を照射する範囲を表示した地図

3、貴社が鈴木さんに提供されたWHOファクトシートの英語版(原板)

4、貴社が鈴木さんに提供された『電波と安全な暮らし』(総務省制作)の貴社への搬入部数。(2020年度の実数)。

 以上、1週間以内にご回答ください。1から4の基本データを入手したうえで、マイクロ波の安全性に関する質問をさせていただきます。

【連絡先】埼玉県朝霞市岡3丁目●●  黒薮哲哉

 電話:048-464-1413

メール:xxmwg240@ybb.ne.jp

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楽天モバイルからは期限通り10月26日に回答があった。回答してきたのは、楽天モバイルの関西営業部・関西営業4課の池内健太(ヴァイスセクションマネージャー)氏だった。池内氏は、次のように回答した。

質問「1」貴社が設置を計画しておられる基地局の周波数と出力

回答:今回の計画局の周波数帯は1.7GHz帯です。 出力に関しましては機器仕様に関するものなので公開は控えさせていただきます。

質問「2」マイクロ波を照射する範囲を表示した地図

回答:弊社計画に関するものですので地図等の開示は控えさせていただきます。

質問「3」貴社が鈴木さんに提供されたWHOファクトシートの英語版(原板)

回答:総務省のホームページをご確認ください。

質問「4」貴社が鈴木さんに提供された『電波と安全な暮らし』(総務省制作)の貴社への搬入部数。(2020年度の実数)。

回答:総務省ホームページから必要時にダウンロードしています。

 なお、弊社としては個別の事案であり、今後のご質問に対するご返信は控えさせて頂く所存でございますので宜しくお願い申し上げます。

形式的には回答したことになるが、実質的に楽天モバイルが公表した情報は、基地局の周波数だけだった。出力は未公開。電波を放射する範囲も未公開。鈴木さんに配布したWHOのファクトシート(注:304、大久保千代治訳) の英語原文も提示しなかった。

質問「4」に至っては、質問と回答が正確に噛み合っていない。質問は、『電波と安全な暮らし』の受け取り冊数である。鈴木さんに手渡し冊子が、コピーしたものかどうかを質問したわけではない。

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そこでわたしは再度、池内氏に確認のメールを送った。回答と併せて紹介しておこう。

【再質問】「1」と「2」について:貴社の見解は、基地局が放射する電磁波に関する情報は開示せず、たとえ住民が不安を感じていても、情報を隠したまま自社のビジネスを優先して基地局を設置・操業するという方針だと解釈させていただきます。健康被害が発生しても、電波防護指針を守っているので、責任を取るつもりはないとう解釈になると思います。

回答:弊社としては総務省の電波防護指針に従って法令遵守で設置しております。貴殿の仰られている「情報を隠したまま自社のビジネスを優先して基地局を設置・操業するという方針」、「健康被害が発生しても、電波防護指針を守っているので、責任を取るつもりはない」は貴殿の解釈であり弊社の見解ではございませんのでここに明示させていただきます。
 尚、貴殿から質問にはすでに回答させて頂いております。

【再質問】「3」:当該のURLをお知らせください。

 回答:以前の回答通りです。

【再質問】「4」:『電波と安全な暮らし』に関しては、わたしが総務省に対して情報公開請求を実施して確認します。

 回答:以前の回答通りです

なお、楽天モバイルの基地局設置に関する相談は、昨年秋から優に70件を超えている。その大半は、解決している。

【参考記事】楽天の基地局設置をめぐる係争、懸念されるマイクロ波の遺伝子毒性、地主が反対住民に、「損害賠償請求の検討に入った」

 

【注】トラブル相談・対策に一切料金は発生しません。相談の際は、トラブルを起こしている電話会社名と正確な設置場所を必ずお知らせください