晴海オリンピック村の用地「叩き売り」事件、17日に提訴、メディアはどう報じるか、立ちはだかる大口広告主の壁
東京都が晴海の公有地を約1200億円の値引きをしてディベロパーへ譲渡した問題(晴海オリンピック村事件)で、「晴海選手村土地投げ売りを正す会」は、8月17日に、住民訴訟を提起するようだ。
【参考記事】小池都知事を被告に近々に住民訴訟を提起、晴海の選手村建設予定地の払い下げ事件で、五輪スポンサー企業が逆に莫大な利益
この事件は、森友学園や加計学園の問題のように、大々的な報道は行われていない。日刊ゲンダイや東京新聞が記事にした程度である。
広告依存型のジャーナリズムの下では、極めて報じにくい事件である。と、いうのも、土地の「叩き売り」の恩恵を受けたのが、大手の広告主であるからだ。しかも、オリンピックという巨大な利権がからんでいる。
読者には、この事件とメディアの関わりも監視してほしい。
不当な価格で土地を入手した大口広告主は、次の企業である。赤字で示したのは、東京オリンピックのスポンサーでもある。
・三井不動産レジデンシャル ・
・NTT都市開発 ・
・新日鉄興和不動産
・住友商事 ・
・住友不動産・
・大和ハウス工業・
・東急不動産
・東京建物
・野村不動産 ・
・三井不動産 ・
・三菱地所レジデンス・
森友学園や加計学園は、広告主ではない。従って広告代理店が介在して、メディアに報道を自粛させることはできなかった。しかし、晴海オリンピック村事件に関与しているのは、全社とも知名度の高い大企業である。メディアをコントロールすることは容易だ。
改めていうまでもなく、疑惑がかかっている金額の規模は、森友学園や加計学園とは比較にならないほど大きい。従ってこの事件がクローズアップされたならば、IOCが問題視する可能性もある。
1984年のロサンゼルス五輪から、オリンピックはスポンサーを募って大会を運営する「商業オリンピック」となった。ゲームをおもしろくするために、プロ選手の参加も認められるようになった。さらに五輪を口実とした開発のプロセスで、不透明な資金の流れが取り沙汰されるようになった。
そして今、オリンピックの開催を希望する国がなくなりつつある。
◇国際医療福祉大学の事件
公有地の払い下げをめぐる事件としては、他に千葉県の国際医療福祉大学の疑惑がある。医学部の新設が「特区」で認められるプロセスに疑惑がかかっているのだ。この事件は、週刊金曜日が取材・報道している。
【参考記事】森友・加計に続く第3の「特区事件」、国際医療福祉大学の疑惑事件の報道が始まる
国際医療福祉大学の事件と晴海オリンピック村の事件は、ほとんど報じられていないのが実情だ。ひとつの事件が社会問題になるまでには、実に長時間を要する。多くのメディアが報道の優先順位を間違っている。
あまり大事ではないことは早く報道して、大事なことは遅いのが実情だ。
【写真】小池ゆりこ東京都知事