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2019年08月28日 (水曜日)

晴海選手村マンションの販売が始まる、全戸数のたった15%の販売で土地代はほぼ回収、デベロッパーが法外な利益を得られる背景に「公的支援」

『臨海かわら版』というミニコミ紙をご存じだろうか。これは東京の臨海部開発問題を考える市民グループが発行している機関紙である。最新号(8月22日)では、晴海選手村マンションの販売が始まったことを受けて、マンション開発を行ったデベロッパーが法外な利益をあげる仕組みを解説している。

今回売りに出されたマンションの戸数は600戸。これは全戸数4145戸の15パーセントに相当する。この15%分の販売だけで、ほぼ土地代金は回収しているというのだ。

選手村の建設予定地は都有地である。不動産評価額は、1611億1800万円。ところが東京都は、この都有地をデベロッパー11社に約129億円で払い下げた。叩き売りである。

ちなみにこの土地の土地代金は、現時点では、全体の1割しか支払われておらず、ディベロパーに税金も発生していないらしい。【続きはウェブマガジン】

2017年08月14日 (月曜日)

晴海オリンピック村の用地「叩き売り」事件、17日に提訴、メディアはどう報じるか、立ちはだかる大口広告主の壁

東京都が晴海の公有地を約1200億円の値引きをしてディベロパーへ譲渡した問題(晴海オリンピック村事件)で、「晴海選手村土地投げ売りを正す会」は、8月17日に、住民訴訟を提起するようだ。

【参考記事】小池都知事を被告に近々に住民訴訟を提起、晴海の選手村建設予定地の払い下げ事件で、五輪スポンサー企業が逆に莫大な利益

この事件は、森友学園や加計学園の問題のように、大々的な報道は行われていない。日刊ゲンダイや東京新聞が記事にした程度である。

広告依存型のジャーナリズムの下では、極めて報じにくい事件である。と、いうのも、土地の「叩き売り」の恩恵を受けたのが、大手の広告主であるからだ。しかも、オリンピックという巨大な利権がからんでいる。

読者には、この事件とメディアの関わりも監視してほしい。

不当な価格で土地を入手した大口広告主は、次の企業である。赤字で示したのは、東京オリンピックのスポンサーでもある。

・三井不動産レジデンシャル  ・
・NTT都市開発 
・新日鉄興和不動産
・住友商事  ・
・住友不動産・
・大和ハウス工業・
・東急不動産
・東京建物
・野村不動産 ・
・三井不動産  ・
・三菱地所レジデンス・

森友学園や加計学園は、広告主ではない。従って広告代理店が介在して、メディアに報道を自粛させることはできなかった。しかし、晴海オリンピック村事件に関与しているのは、全社とも知名度の高い大企業である。メディアをコントロールすることは容易だ。

改めていうまでもなく、疑惑がかかっている金額の規模は、森友学園や加計学園とは比較にならないほど大きい。従ってこの事件がクローズアップされたならば、IOCが問題視する可能性もある。

1984年のロサンゼルス五輪から、オリンピックはスポンサーを募って大会を運営する「商業オリンピック」となった。ゲームをおもしろくするために、プロ選手の参加も認められるようになった。さらに五輪を口実とした開発のプロセスで、不透明な資金の流れが取り沙汰されるようになった。

そして今、オリンピックの開催を希望する国がなくなりつつある。

◇国際医療福祉大学の事件

公有地の払い下げをめぐる事件としては、他に千葉県の国際医療福祉大学の疑惑がある。医学部の新設が「特区」で認められるプロセスに疑惑がかかっているのだ。この事件は、週刊金曜日が取材・報道している。

【参考記事】森友・加計に続く第3の「特区事件」、国際医療福祉大学の疑惑事件の報道が始まる

国際医療福祉大学の事件と晴海オリンピック村の事件は、ほとんど報じられていないのが実情だ。ひとつの事件が社会問題になるまでには、実に長時間を要する。多くのメディアが報道の優先順位を間違っている。

あまり大事ではないことは早く報道して、大事なことは遅いのが実情だ。

【写真】小池ゆりこ東京都知事

2017年07月27日 (木曜日)

小池都知事を被告に近々に住民訴訟を提起、晴海の選手村建設予定地の払い下げ事件で、五輪スポンサー企業が逆に莫大な利益

東京都が晴海の公有地を約1200億円の値引きをしてディベロパーへ譲渡した問題(晴海事件)で、「晴海選手村土地投げ売りを正す会」は、26日、江東区内で集会を開き、小池百合子都知事を被告とする住民訴訟を起こすことを明らかにした。

請求の趣旨は、この開発事業に関する財務会計行為によって生じた損倍賠償を前知事・桝添要一氏と三井不動産などディベロバー11社に対して請求せよ、というものである。小池知事にそれを求めるものだ。

住民訴訟に至る前のプロセスとして、住民監査請求がある。晴海事件では、58名の東京都民が住民監査請求を行い、結果が19日に発表された。しかし、「請求人の主張には理由がない」として退けられた。が、次のよな意見が例外的に付された。

 本件事業の今後の実施に際しては、重要な決定に当たり、専門家の意見を十分に聞く等の内部牽制体制を強化することや、意思決定過程及び決定内容についてきめ細かな対外説明を行うことにより、これまで以上に透明性の確保に努められたい。

訴訟の代理人を務める千葉恵子弁護士は、集会で、「意見」が付されたことについて、

「これは透明性が十分ではないことを認めたもの。こういう意見が付いた事実は重い」

と、述べた。

◇都市再開発法という法の抜け道

晴海事件で問題になっている点は複数あるが、その最大のものは、①公有地をディベロパーに譲渡する際に採用された不自然なプロセスと、②ディベロパーが事前に決まっていたのではないかという疑惑である。その意味では、加計学園事件の構図と類似している。しかも、前代未聞の低価格で譲渡された事実がある。

晴海のオリンピック村建設用地のディベロパーへの公有地譲渡は、都市再開発法に基づいて行われた。この事実が疑惑を生む最大の原因となっている。

都市再開発法は、「市街地の計画的な再開発に関し必要な事項を定めることにより、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図り、もつて公共の福祉に寄与することを目的」とした法律だ。

都市再開発法に基づいた市街地再開発事業が適用されるのは、通常、家や店舗などが密集している地域である。公共性を名目に、そこを再開発する場合、一旦、既存の建物を解体した後、新しいビルを建設して、その中に「立ち退き」の対象となった人々の住居を確保する。あるいは、「立ち退き者」の希望があれば、金銭的な補償をしたうえで、入居権を放棄してもらう。

ところが晴海のオリンピック村建設予定地は、民家や店舗などが密集している地域ではない。更地である。その更地を不動産鑑定に基づいて、通常の価格で、ディベロパーに払い下げたのであれば、何の問題もない。

が、東京都はわざわざ都市再開発法に基づいた市街地再開発事業を選んだのだ。これ自体が不自然なことだ。しかも、「立ち退き者」である東京都が開発後に新物件の相応分を確保できる権利を放棄して、金銭解決を選んだのである。その額が、地価相場の9割引きにあたる129億6000万円だったのだ。

通常、土地取引では、不動産鑑定を基準とした価格相場が採用されるので、9割引きはありえない。逆説的に言えば、9割引でディベロパーに譲渡する前提があったために、意図的に都市再開発法に基づいた市街地再開発事業を選んだ疑惑がある。

さらに市街地再開発事業を進めるプロセスで、地権者である東京都に対して東京都がみずから開発許可を短期間で下すなど、おかしな点が次々と浮上している。デベロッパーの決定も、公募から決定までの期間が異常に短く、最初から決まっていた疑惑も浮上している。とにかくデタラメなことが次々と浮上しているのだ。

住民グループは、遅くても8月18日までに東京地裁へ住民訴訟を提起する。

◇東京オリンピックのスポンサー兼任ディベロパーの怪

メディア黒書で既報したように、このプロジェクトのデベロッパーは、次の企業である。これらの企業の大半は、東京オリンピックのスポンサーでもある。スポンサーが土地取引で逆に莫大な利益を得ているのである。

・三井不動産レジデンシャル 
・NTT都市開発 
・新日鉄興和不動産
・住友商事 
・住友不動産
・大和ハウス工業
・東急不動産
・東京建物
・野村不動産 
・三井不動産 
・三菱地所レジデンス 

【参考記事】五輪招致委の竹田恆和会長が東京都へ約27億円の補助金を請求、三幸商事は「ピンバッジ」で約3200万円を請求、懸念されるスポーツの政治利用

2017年07月10日 (月曜日)

東京・晴海の選手村予定地の1200億円値引き事件、恩恵を受けた三井不動産などがオリンピックのスポンサーシップを得ていることが判明

東京・晴海に設置されるオリンピック選手村の予定地を、東京都が約1200億円円の値引きをして民間企業へ払い下げた問題で、払い下げの恩恵を受けた企業の中に、東京オリンピックのスポンサーシップを得ている企業が多く含まれていることが分かった。

この事件は、2016年5月に東京都が地価相場の9割引きにあたる129億6000万円で、選手村用の公有地を払い下げたというものである。これは約1200億円の値引きにあたる。

オリンピックのスポンサーになると、オリンピックのロゴの使用権を得るなど様々な特典が与えられる。そのためにスポンサー企業は、オリンピックと自社製品を関連づけてPR活動を展開することが可能になる。このようなPR方法で極めて高い効果があると言われている。もちろん、スポンサー以外の企業に対しては、このような行為は禁止されている。

この点を考慮に入れて、晴海の払い下げ問題の構図を描くと次のようになる。

企業が高額のスポンサー料(注:金額については調査中)を支払う。しかし、みずからが購入した公有地の代金は、1200億円引きとなる。その土地を使って、企業は公金で選手村を作ると同時に(後に高級マンション)、オリンピックに便乗して自社をPRしていく。

冷静に考えると、スポーツの精神とはかけ離れた恐ろしい金儲けのスキームである。これが「商業オリンピック」の実態なのだ。

「商業オリンピック」の始まりは、1984年のロサンゼルスとされている。

◇公有地払い下げを受けた五輪スポンサー企業

東京都から払い下げを受けた建設事業者は三井不動産レジデンシャルを代表とする次の大手不動産11社による企業グループである。赤字で示したのが、スポンサー企業、またはスポンサーのグループ企業である。

・三井不動産レジデンシャル  ・
・NTT都市開発  ・
・新日鉄興和不動産
・住友商事  ・
・住友不動産・
・大和ハウス工業・
・東急不動産
・東京建物
・野村不動産 ・
・三井不動産  ・
・三菱地所レジデンス・

◇住民監査請求

この公有地払い下げ事件については、5月19日に住民グループが東京都に対して住民監査請求を行っている。

住民監査請求は次のような内容だ。

 東京都が再開発制度を濫用し、晴海の広大な都有地(14.4ha)を相場の10分の1以下の129.6億円で売却した財務会計行為は、違法・不当に都民の財産に損害を与えるものであるから、この被害の補填または回避のために必要な措置を講ずることを東京都知事に勧告する。

オリンピック関連の公有地払い下げであるから、東京都が払い下げを単独で決めたとは思えない。また、スポンサーシップを得るために企業が支払った金額と、公有地の値引き額の関係も検証する必要がある。

加計学園の問題よりもはるかに規模が大きく、しかも悪質だ。

2017年05月19日 (金曜日)

森友学園、加計学園、豊洲よりも重大な「晴海の五輪選手村用地」の払い下げ問題、約1200億円の値引き

安倍晋三夫妻の関与が疑われている森友学園と加計学園の事件は、新聞やテレビで報じられてきたが、不思議なことに、それよりも遥かに金額が大きい公有地払い下げ事件-「晴海の五輪選手村用地」の件はほとんど報じらていない。

2016年5月に東京都が地価相場の9割引きにあたる129億6千万円で、公有地を払い下げた事件である。約1200億円の値引きであるから、森友学園や加計学園の比ではない。豊洲問題よりも深刻だ。しかも、オリンピック関連であるから、東京都が払い下げを単独で決めたとは思えない。

【参考記事】安倍夫妻の比ではない、東京都政版“森友疑惑”、晴海の五輪選手村用地が9割引き、値引き額は 1,200億円

選手村の建設事業者は三井不動産レジデンシャルを代表とする大手不動産11社による企業グループである。具体的には、

・三井不動産レジデンシャル
・NTT都市開発
・新日鉄興和不動産
・住友商事
・住友不動産
・大和ハウス工業
・東急不動産
・東京建物
・野村不動産
・三井不動産
・三菱地所レジデンス

公有地が私有地になり、最終的には私企業のビジネスに使われるのである。このような例は後を絶たない。参考までに次の記事を紹介しておこう。

【参考記事】東京目白の元国有地を私的な不動産ビジネスに使用、1963年に大蔵省から約7億5000万円で譲渡 

2017年05月09日 (火曜日)

安倍夫妻の比ではない、東京都政版“森友疑惑”、晴海の五輪選手村用地が9割引き、値引き額は 1,200億円

■山田幹夫(フリーランス取材者・元通信社記者)

森友学園の問題では安倍首相夫人の関与、官僚の忖度(そんたく)の解明がうやむやになっている。これに類似した問題が他にも起きている。東京オリンピックの土地をめぐる疑惑である。

東京都中央区晴海5丁目は、かつてはモーターショウやビジネスショウなど、イベントや見本市が開催された場所だが、現在は国内外の豪華クルーズ客船の客船ターミナルがある。そこは、「海外の帆船などが表敬訪問した時や、南極観測船しらせが出港・帰港する時」(東京都港湾局のホームページから)にも使われる。さらにレインボーブリッジなどを一望できる晴海ふ頭公園もある。

その広大な場所で、オリンピック選手村整備を理由にした「市街地再開発事業」が進んでいる。ところが、フタをあけてみれば、都有地13.4haが129億6千万円の格安で払い下げられていた。選手村の建設事業者は三井不動産レジデンシャルを代表とする大手不動産11社による企業グループ(他にNTT年開発、新日鉄興和不動産、住友商事、住友不動産、大和ハウス工業、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井不動産、三菱地所レジデンス)。

◇地主(東京都)が自ら土地価格を下げる異常な「再開発」

東京都は選手村の建築事業者を2016年5月に募集したが、募集期間は12日間で応募は1企業グループのみだった。競争入札とは名ばかりだった。

「再開発」の場合、地主は土地をできるだけ高く売って引っ越すか、跡地にできる超高層建築物などに入ることが多い。しかし、この晴海のケースでは、地主である東京都が極端に安く土地を手放した。民有地ならともかく、都民の共有財産である。

NPO法人区画整理・再開発対策全国連絡会議の遠藤哲人事務局長は、

「地主大損の再開発だ」

「再開発の名に値しない」

と、その異常さを指摘している。

4月末に「臨海部開発問題を考える都民連絡会」(臨海都民連。学者・専門家や都庁職員、住民運動家などが活動を続けている市民団体)がオリンピック選手村建設をめぐる疑惑検証のシンポジウムを開催した。その中で住民監査請求を5月中旬に行うことが明らかになった。このシンポジウムで浮き彫りになった要点を紹介しよう。

◇1㎡あたり9万6,700円、9割引きで払い下げの「官製談合」?

臨海都民連の市川隆夫事務局長が紹介した資料によると、東京都の基準地価は次の通りである。東京23区でそれぞれ地価が一番安いのは(1㎡当たり。2016年7月現在)、千代田区二番町12が202万円、港区高輪3-5は112万円、新宿区上落合3-20は45万8千円、下町の台東区根岸5-11は47万6千円、墨田区立花1-25は29万7千円、江東区東砂8-8は32万2千円だ。選手村用地と同じ行政区、中央区の月島3-25は116万円で、選手村用地と同じ番地の晴海5-1は95万円。少し離れた佃1-5でも77万1千円。予定地から1キロほど離れた都有地を4年前には、103万円で売却したという話もある。

ところが問題の晴海の土地は、9万6,700円である。

銀座から3キロで築地と豊洲の中間に位置し、地下鉄の駅まで徒歩10分という好条件でこの価格だから驚きだ。こんな安い土地はいくら探しても都内23区の住宅地では見つからない。

市川氏は、「近隣地の公的地価の約1割で払い下げ。利益は大手開発会社へ、都民には何も残らない、究極の官製談合」と告発している。

◇土地評価の調査報告書を情報公開請求しても「黒塗り」

選手村の建物は22棟4,000戸(14~18階)の予定で、オリンピック後に改修し、さらに50階の高層棟も2棟追加して総戸数5,950戸を売り出す計画だ。

土地の払い下げ価格の安さについて東京都は「大会終了後の分譲までの期間の長さ」「選手村仕様の住宅の改修」の2点を挙げているものの、土地評価を委託した財団法人の「価格調査報告書」は、情報開示請求で公にあった書面を黒塗りで隠していた。

◇「不適正な価格の是正」を東京都に求める住民監査請求へ

渋谷共同法律事務所の淵脇みどり弁護士は「再開発事業制度の濫用による巧みな脱法手法」として5月中旬に住民監査請求をする手続きを説明すると共に、「世論を広げる」重要性を強調した。

シンポジウムにはこの問題の要点を4月に報道した「日刊ゲンダイ」の記者も参加し、この事件を、

「なぜか大手メディアは沈黙する都政版森友疑惑」

と、批判した。

シンポ参加者からは、「そんなに安くなるなら私も買いたい」という声も出た。

豊洲問題では都民ファースト、情報公開の徹底を強調している小池都知事だが、この案件についてはどのように答えるのだろうか。

 

■添付資料。「東京都23区の基準地価の表」(臨海都民連提供)

 

■「五輪選手村価格調査報告書・黒塗り」