1. 重大な疑問が浮上、作田学医師は「受動喫煙レベルⅢ」と診断・認定したが、原告患者が喫煙者だった事実をどう見るのか? 煙草の煙と化学物質過敏症をめぐる裁判

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重大な疑問が浮上、作田学医師は「受動喫煙レベルⅢ」と診断・認定したが、原告患者が喫煙者だった事実をどう見るのか? 煙草の煙と化学物質過敏症をめぐる裁判

俗な表現をすれば、「とんでも裁判」が増えている。そのなかでもとりわけ見過ごせないのは、メディア黒書でもたびたび取り上げてきた煙草の副流煙が化学物質過敏症の原因だとして、隣人を提訴した裁判である。請求額4500万円。

謎の渦中にあるといおうか、悪意に満ちているといおうか、取材を重ねるにつれて、その背後にほのみえる像が輪郭を現してくる。

何が問題なのかを整理しておこう。

【概要】
裁判の原告は小野田家(仮名)の3人。夫妻とその娘である。被告は、藤井家の家主である。

原告の小野田家と被告の藤井家は同じマンションの2階と1階に住む隣人同士である。2階に住む小野田家(仮名)の3人が、1階に住む藤井家の家主を訴えたのである。原因は藤井家を発生源とする煙草の副流煙である。副流煙で化学物質過敏症になったから、4500万円のお金を払いなさい、という訴訟だ。

なお、筆者はこの裁判に重大な関心を寄せているが、禁煙を奨励する運動には賛同するし、自分自身は煙草を吸わないし、化学物質過敏症が客観的な「病気」であるという認識も持っている。さらには煙草の副流煙が化学物質過敏症の原因のひとつであるという論理的方向性にも大きな異論はない。

ただ、論理の誇張や事実の捏造が化学物質過敏症を正しく理解する上で大きな負の要因になるから、裁判を通じて浮上した事実を公表するのである。

【何が問題なのか?】
この裁判の最大の問題は、原告家主(男性)が、数年前まで喫煙者であった事実が、提訴後に発覚したことである。ところが原告の書面は、後述するある時期まで、原告が元喫煙者だった事実の言及を避けたうえで作成されているのだ。それを明かすと副流煙による被害という大前提が破綻するからだろう。

分かりやすい問題例を紹介しよう。作田学医師が作成した原告家主の診断書である。そこには病名として次のように記されている。

「受動喫煙レベルⅢと診断する」

原告家主が元喫煙者であることが判明したのは、10月18日に筆者が原告弁護士を取材した際、その旨をもらしたからだ。その約1週間後、10月26日には、なぜか原告家主が喫煙者だったことを認める陳述書が裁判所へ提出された。そこにはこう書いてある。

「私は、以前喫煙しておりましたが、平成27年春、●●と診断され、その時から完全にタバコを止めました。」

なぜこのような書面が提出されたのかは不明だが、ひとつには喫煙の事実を隠していたのではないという立場を証拠付けるためではないかと思う。時期を逸しているのは論をまたない。

【作田医師の診断書】
以上の事実を踏まえた時、作田医師が作成した診断書の記述が問題になる。既に述べたように作田医師は、診断書に「受動喫煙レベルⅢと診断する」と記述したのだ。

原告家主が禁煙したのは平成27年春で、診断書が作成されたのは平成29年4月19日である。禁煙期間はおよそ2年である。2年の禁煙歴で、それまで蓄積された喫煙による人体影響が消えるのか疑問がある。

さらに原告家主の陳述書(平成30年9月15日付け)によると、家族全員が「受動喫煙により、恒例の家族旅行を中止せざるをえない状況」になったのは、平成28年の秋となっている。原告家主が禁煙に踏み切って1年半後である。それまでに蓄積された喫煙による影響が残っている可能性が極めて高いのだ。

東京大学と国立がん研究センターの研究によると、「年齢や体格指数、飲酒の習慣など、喫煙以外の発がん性に影響する条件を調整して分析した結果、男性はある時点から21年間禁煙を続けた場合、発がんリスクが全くたばこを吸わない男性なみに下がることが判明した」という。■出典

喫煙歴の影響が消えるまで男性の場合、21年を要するというのが専門家の見解だ。

筆者は、原告家主を「受動喫煙レベルⅢ」とした作田氏の診断は間違いだと考える。誤診はどんな名医でもある。しかし、問題は弁護士が、誤診の事実を知っていながら、裁判所に作田診断書を提出したことである。これらの証拠を前提に受動喫煙が化学物質過敏症の原因だと主張したのである。

ちなみに作田診断書は「甲1号証」、つまり原告が提出した最初の証拠書面である。

【禁じられた行為】
しかし、ある事実が虚偽と知りながら、それに言及した証拠を提出することは、弁護士職務基本規程で禁止されている。次の条項だ。

第75条 弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。

作田診断書が誤りであるこは、原告家主の喫煙歴が判明すれば、だれにでも判断できるだろう。それを知りながら、弁護士が診断書を提出した疑いがあるのだ。

【刑事が出動】
さらに不可解なことに、提訴に至るまえに、神奈川県警の刑事3人と警官1人が藤井家を訪問して取り調べを行った事実である。しかも、取り調べは2度も行われてる。取り調べの指示を出したのが、神奈川県警の斉藤実本部長であることも判明している。

何を根拠とした捜査なのだろうか。

また、筆者に対しても、原告弁護士から、記事を書かないように要請する文書が送付された。これについては、後日、公開する機会があるかも知れない。

 

【参考記事】煙草の副流煙で病気に、裁判で4500万円を請求も実は原告本人が元喫煙者だった

【参考記事】煙草以外にもある化学物質過敏症のメインな原因、 「煙草の副流煙で病気に、裁判で4500万円」②