1. 「希望の党」の登場で崖っぷちに立った憲法9条、国民投票にはルールがなく、最後は金脈と電通が勝敗を決する仕組みに

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2017年09月29日 (金曜日)

「希望の党」の登場で崖っぷちに立った憲法9条、国民投票にはルールがなく、最後は金脈と電通が勝敗を決する仕組みに

民新党の右派系議員らが「希望の党」に合流することになったために、憲法9条の「改正」がいよいよ現実味を帯びてきた。選挙後、改憲派が国会で圧倒的多数を占めることになりそうだ。

改憲の立場を取る政党は、自民党、公明党、希望の党(民進右派、自由)、日本維新の会、「日本のこころ」の6党となり、改憲に反対の立場を取る共産党、社民党の議席を圧倒的に上回る公算が強い。もちろん改憲発議に必要な3分の2を超える。

ところが護憲派の人達の中には、憲法問題については楽観視している人が少なくない。憲法改正の是非は、最終的には国民投票で決まるうえに、9条に関しては、反対する勢力が依然として強いからだ。国民投票になれば、勝てるというのだ。

◇金脈と自民党と電通

しかし、これはとんでもない誤解である。

先日、本間龍氏の『メディアに操作される憲法改正国民投票』という本を紹介したが、改めて内容に言及してみよう。

【書評『メディアに操作される憲法改正国民投票』、国民投票に介在してくる電通、改憲派が圧倒的に有利に

ごく簡単にいえば、国民投票のルールが皆無に等しいために、護憲派と改憲派のうち、資金力がある側が圧倒的に有利なPR戦略を展開できることになり、もし、このままルールづくりをしなければ、改憲派が圧勝するというのだ。

国政選挙や地方選挙にはルールがある。たとえばポスターやチラシの枚数で候補者間の不公平が生じないように枚数が制限されている。テレビの政見放送についても、各候補者に対し平等に時間が配分されている。

ところが国民投票には現時点では、公平性を担保するルールがないのだ。

憲法改正国民投票でPR活動(プロパガンダ)の鍵を握るのは、広告代理店である。自民党が昔からパートナーにしてきた電通が、改憲派のPRを担当することは間違いない。

その電通は、テレビのCM枠や新聞広告の枠で、他の広告代理店を圧倒しているわけだから、改憲派は極めて有利にPR活動を展開できる。投票先について迷っている層は、おそらく改憲プロパガンダに誘導されることになるだろう。広告主やCMスポンサーを通じて、テレビ番組や新聞も、改憲を支持する論調を増やすことになるのも間違いない。

◇単なる権力抗争

「希望の党」の出現は、予想以上に深刻な問題をもたらすことになる。マスコミは、「政治劇場」の視点ではなく、安倍政治継続の危険性という観点から、今回の選挙報道をすべきだろう。民新党の前原代表は、

「どんな手段を講じても、安倍政権を止めなければならない」

と、繰り返しているが、政治の根本的な方向を切り替えなければ、安倍政権を倒す意味はない。単なる権力抗争に終わる。

民新党のリベラル派の人達は、今後、どうするのだろうか。自由党の森ゆうこ氏や山本太郎氏は、どのような選択肢をするのだろうか?

政治家としての信念が試されるのである。