1. 小池都知事を被告に近々に住民訴訟を提起、晴海の選手村建設予定地の払い下げ事件で、五輪スポンサー企業が逆に莫大な利益

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2017年07月27日 (木曜日)

小池都知事を被告に近々に住民訴訟を提起、晴海の選手村建設予定地の払い下げ事件で、五輪スポンサー企業が逆に莫大な利益

東京都が晴海の公有地を約1200億円の値引きをしてディベロパーへ譲渡した問題(晴海事件)で、「晴海選手村土地投げ売りを正す会」は、26日、江東区内で集会を開き、小池百合子都知事を被告とする住民訴訟を起こすことを明らかにした。

請求の趣旨は、この開発事業に関する財務会計行為によって生じた損倍賠償を前知事・桝添要一氏と三井不動産などディベロバー11社に対して請求せよ、というものである。小池知事にそれを求めるものだ。

住民訴訟に至る前のプロセスとして、住民監査請求がある。晴海事件では、58名の東京都民が住民監査請求を行い、結果が19日に発表された。しかし、「請求人の主張には理由がない」として退けられた。が、次のよな意見が例外的に付された。

 本件事業の今後の実施に際しては、重要な決定に当たり、専門家の意見を十分に聞く等の内部牽制体制を強化することや、意思決定過程及び決定内容についてきめ細かな対外説明を行うことにより、これまで以上に透明性の確保に努められたい。

訴訟の代理人を務める千葉恵子弁護士は、集会で、「意見」が付されたことについて、

「これは透明性が十分ではないことを認めたもの。こういう意見が付いた事実は重い」

と、述べた。

◇都市再開発法という法の抜け道

晴海事件で問題になっている点は複数あるが、その最大のものは、①公有地をディベロパーに譲渡する際に採用された不自然なプロセスと、②ディベロパーが事前に決まっていたのではないかという疑惑である。その意味では、加計学園事件の構図と類似している。しかも、前代未聞の低価格で譲渡された事実がある。

晴海のオリンピック村建設用地のディベロパーへの公有地譲渡は、都市再開発法に基づいて行われた。この事実が疑惑を生む最大の原因となっている。

都市再開発法は、「市街地の計画的な再開発に関し必要な事項を定めることにより、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図り、もつて公共の福祉に寄与することを目的」とした法律だ。

都市再開発法に基づいた市街地再開発事業が適用されるのは、通常、家や店舗などが密集している地域である。公共性を名目に、そこを再開発する場合、一旦、既存の建物を解体した後、新しいビルを建設して、その中に「立ち退き」の対象となった人々の住居を確保する。あるいは、「立ち退き者」の希望があれば、金銭的な補償をしたうえで、入居権を放棄してもらう。

ところが晴海のオリンピック村建設予定地は、民家や店舗などが密集している地域ではない。更地である。その更地を不動産鑑定に基づいて、通常の価格で、ディベロパーに払い下げたのであれば、何の問題もない。

が、東京都はわざわざ都市再開発法に基づいた市街地再開発事業を選んだのだ。これ自体が不自然なことだ。しかも、「立ち退き者」である東京都が開発後に新物件の相応分を確保できる権利を放棄して、金銭解決を選んだのである。その額が、地価相場の9割引きにあたる129億6000万円だったのだ。

通常、土地取引では、不動産鑑定を基準とした価格相場が採用されるので、9割引きはありえない。逆説的に言えば、9割引でディベロパーに譲渡する前提があったために、意図的に都市再開発法に基づいた市街地再開発事業を選んだ疑惑がある。

さらに市街地再開発事業を進めるプロセスで、地権者である東京都に対して東京都がみずから開発許可を短期間で下すなど、おかしな点が次々と浮上している。デベロッパーの決定も、公募から決定までの期間が異常に短く、最初から決まっていた疑惑も浮上している。とにかくデタラメなことが次々と浮上しているのだ。

住民グループは、遅くても8月18日までに東京地裁へ住民訴訟を提起する。

◇東京オリンピックのスポンサー兼任ディベロパーの怪

メディア黒書で既報したように、このプロジェクトのデベロッパーは、次の企業である。これらの企業の大半は、東京オリンピックのスポンサーでもある。スポンサーが土地取引で逆に莫大な利益を得ているのである。

・三井不動産レジデンシャル 
・NTT都市開発 
・新日鉄興和不動産
・住友商事 
・住友不動産
・大和ハウス工業
・東急不動産
・東京建物
・野村不動産 
・三井不動産 
・三菱地所レジデンス 

【参考記事】五輪招致委の竹田恆和会長が東京都へ約27億円の補助金を請求、三幸商事は「ピンバッジ」で約3200万円を請求、懸念されるスポーツの政治利用