1. 五輪招致委の竹田恆和会長が東京都へ約27億円の補助金を請求、三幸商事は「ピンバッジ」で約3200万円を請求、懸念されるスポーツの政治利用

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2015年07月30日 (木曜日)

五輪招致委の竹田恆和会長が東京都へ約27億円の補助金を請求、三幸商事は「ピンバッジ」で約3200万円を請求、懸念されるスポーツの政治利用

【サマリー】「2020招致計画委員会」の竹田恆和会長が、東京都へ約27億円の補助金を請求していた。東京都スポーツ振興局長宛てに、三幸商事が、「ピンバッジ(縦27mm×横15mm×厚1mm)」の買い入れ費として少なくとも約3200万円を請求していたことも分かった。

 五輪・パラには常に高額な資金が動く。これから2020年へ向けて利権争いが激化するのは間違いない。加えて、スポーツの政治利用-観念論教育の推進にも拍車がかかりそうだ。

わたしの手元に、東京都から情報公開によって入手した「補助金請求書」と題する書面がある。中身は「平成23年度2020年オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動推進補助金」である。

請求先は「石原慎太郎殿」となっているものと、「東京都知事殿」とだけ記して氏名が明記されていないものの2種類がある。請求の期間は、「平成23年9月1日」から「平成25年4月1日」まで。請求回数は7回に及んでいる。

請求額は約27億円。

請求者はいずれも「2020招致計画委員会委員長 竹田恆和」となっている。

■源資料PDF

さらに補助金に加えて、さまざな企業から東京都スポーツ振興局長宛てに多種多様な請求が行われている。たとえば「平成24年10月10日」には、三幸商事という企業が、「ピンバッジ(縦27mm×横15mm×厚1mm)」の買い入れ費として1705万2000円を請求している。ただし、購入した個数は黒塗りになっているので外部の者は知りようがない。

同社は「平成24年12月10日」には同じ名目で、今度は1543万3500円を請求している。やはり「ピンバッジ」の購入数量は黒塗りになっている。

■三幸商事からの請求書PDF

請求総額は、約3200万円。大変な数量のピンバッジになったと推測される。

◇スポーツイベントと利権

周知のように東京五輪・パラの競技場建費は予定を上回り、世論の反発で計画が白紙に戻された。2000億円、3000億円といった規模の額が話題の中心になると、東京都が五輪・パラの招致に使った資金が少額のような錯覚にも陥るが、補助金27億円だけでも大変な金額である。

スポーツイベントには、常に利権が付きまとっている。たとえば一時期テレビで人気を得たフルコンタクトの格闘技がその典型例である。これにはスポンサーがついている上に、視聴率の高さを武器にテレビ局もCMを獲得しやすいという利点がある。

あるいは、これを逆にいえば、視聴率を稼ぐために著名なスポーツ選手を「参入」させたとも言えるだろう。

当然、視聴率をあげるために格闘する双方のどちらかが完全にくたばるまで試合をストップしない。おそらくレフリーもそんなふうに指示されている。そのこと自体、スポーツの基本原則に反する。

2020年の東京五輪・パラが近づくにつれて、企業はいうまでもなく、
新聞社やテレビ局もこの一大イベントに参入してくるのは間違いない。当然、利権争いが起きるおそれがある。

オリンピックに投入される公費の使い方を監視する第3者機関が必要になりそうだ。

◇スポーツの政治利用

が、懸念されるのは五輪・パラをめぐる資金の透明性だけではない。五輪・パラが政治利用される可能性が極めて高い。スポーツを通じた観念論教育の推進である。「監督の指示に従い、真面目に努力すれば報われる」というサクセス・ストーリーが、これからメディアを通じてばらまかれるだろう。

それは真理の一面もあるが、幻想の側面の方がはるかに大きい。素質がない者がいくら努力しても、オリンピックはおろかインターハイのメダルすら取れない。