ゆれる総務省、高市総務大臣の「お金」の問題が浮上、政治献金の還付詐欺疑惑、奈良地検が告発状を受理 、マスコミは報じず
筆者と沢田(仮名)氏が行った高市早苗総務大臣に対する刑事告発が受理された。この事件の構図を説明しておこう。
あまり知られていないが、この事件の背景には、政治献金の還付金制度がある。次のような制度である。
議員が代表を務める地元の政党支部へ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄附した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
高市議員はこの制度を利用して、自身の政党支部へ献金を行い、還付金を受けていたのだ。資金を動かすだけでお金が膨れ上がる一種のマネーロンダリングを行っていたのである。
還付金制度は租税特別措置法の41条18・1で定められているが、例外として「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定められている。つまり議員がこれをやれば違法行為である。議員が自分の政党支部へ寄付した場合は、還付金を受け取る手続きをしてはいけないのだ。
◇資金の流れ
高市議員は、次のようなステップで還付金を受けた。
①2012年11月20日と12月17日に高市早苗総務相(奈良2区)が代表を務める「自由民主党奈良県第2選挙区支部」から高市氏に計1220万円を移動させた。
②このうちの1000万円を、12月25日に同支部へ「寄付」。
③還付金を受ける手続をして約300万円を手に入れた。
自分の選挙支部へ1000万円を寄付しているわけだから、この資金は政党支部で自由に使えるうえ、さらに還付金300万円が加算される。結果、1300万円に「軍資金」が増える。
今回、告発の対象にしたのは、2012年度分であるが、実は同じ手口を過去にも行っていた。たとえば2009年度の政治資金収支報告書によると、約1620万円を自分の政党支部に寄付している。受け取った還付金は約485万円である。額が大きく極めて悪質だ。
◇高市氏、新聞業界からの政治献金も
ちなみに高市氏は、新聞業界と親密な関係にある。新聞特殊指定(再販制度)を守るために2006年には、特殊指定の運用権限を公正取引委員会から国会へ移すための議員立法を提案した人物でもある。業界紙は当時の高市氏の発言を次のように伝えている。
「独禁法の改正案として2本作りましたが、最終的には法制局の審査を両方とも通った。状況がいい方(特殊指定維持)に変わり、今は日販協(日本新聞販売協会)に法律案そのものを渡してあります。今後何か起きたら、その時はいつでも提出できる安全パイを持てたことは良かった」(『新聞通信 2006年8月3日付け)
その一方で、新聞業界から政治献金を受けている。たとえば2009年度の政治資金収支報告書によると、日本新聞販売協会から50万円。次に示すのが裏付け資料である。
◇国勢調査の政府広報、まびき問題
メディア黒書で報じてきたように総務省は、2015年、博報堂に国勢調査のためのPRプロジェクトを6億円で発注した。ところが政府の新聞広告の半分以上が間引きされていた。右派の高市大臣に責任があるかどうか、博報堂との関係も含めて検証してみる必要があるだろう。契約者は、高市氏ではないが、総務省の総責任者である。
下記の記事を参考にしてほしい。
■博報堂による6億円事業、H27年度国勢調査の新聞広告の間引き、架空請求の決定的な証拠
◇新聞・テレビはジャーナリズムではない
総務大臣に対する刑事告発が受理されたのだから、これは重大なニュースである。ところがこの事件をメディアはほとんど報じていない。インターネット上のニュースを調べたところ、報じたのは朝日新聞(電子)と産経新聞(電子)だけである。
日本の新聞・テレビは、朝日と産経を除いてもう「終わっている」のではないか。