1. 「小池劇場」の登場でメディアから消えた「森友・加計事件」の報道、前代未聞のスタンピード現象

マスコミ報道・世論誘導に関連する記事

2017年10月02日 (月曜日)

「小池劇場」の登場でメディアから消えた「森友・加計事件」の報道、前代未聞のスタンピード現象

選挙報道が異常を呈している。本来の争点であるはずの森友・加計事件の報道が完全に消えて、もっぱら「希望の党」を主人公とする「小池劇場」の実況生中継に終始している。

極端なスタンンピード現象が起きているのだ。

スタンンピード現象とは、組織全体が同じ方向へ突進する現象を言う。たとえばサバンナに生息するシマウマ。群れの先頭が、東に向かって走りはじめると、それに誘発され、ほとんど条件反射のように群れ全体が東へ駆け出す。先頭が、西へ方向を変えると、今度は全体が西へ走る。

シマウマの首にカメラをぶら下げると、現在日本のメディア状況そのものである。

周知のように今回の衆議院解散の引き金は、森友・加計事件の隠蔽である。解散時には、この事件を隠すために選挙に踏み切ったという見方が、大勢を占めていた。ところが「希望の党」が立ちあがると、森友・加計事件の話題がほぼメディアから消えた。ツイッター上からも、ほとんど森友・加計事件は消えた。それにかわって、悪い意味でも、良い意味でも、「希望の党」に関心が移ってしまったのだ。

そして「希望の党」と自民党の対決が、選挙の争点として、繰り返し報じられるようになったのである。

こうした状況のもとで、安倍首相が街頭演説に立った。先の都議選では、「安倍の応援はありがた迷惑」ということで、街頭演説を控えていたのである。選挙の終盤に、秋葉原で街頭演説したが、その時は、聴衆からバッシングを受けたのだ。ところが「小池劇場」の序幕がはじまると、安倍首相が街頭に立てるまでに、ダメージは回復したのだ。

今回の選挙が 「希望の党」と自民党の対決という報道の間違いについては、次の記事を参考にしてほしい。

【参考記事】第2自民党としての危険な「小池新党」、自民・公明・小池新党・維新で憲法改正へ

【参考記事】「希望の党」の登場で崖っぷちに立った憲法9条、国民投票にはルールがなく、最後は金脈と電通が勝敗を決する仕組みに

◇傍観者の視点

国政選挙になると、有力な政党には、選挙のアドバイザーが就くと言われている。世論誘導の専門家だ。心理学の観点から「演説では単純な言葉を繰り返せ」などとアドバイスする。

筆者は、今回の「小池劇場」の舞台裏にも世論誘導の専門家がいるのではないかと見ている。資金スポンサーもいる可能性が高い。

本来、ジャーナリズムの役割は、トリックを見破って、それを知らせることである。しかし、日本のメディアは、この役割を完全に放棄して、「小池劇場」の実況生中継に終始している。NHKニュース9のキャスターにいたっては、傍観者のようにニコニコしながら実況生中継をしている。危機感など全く感じられないのである。