1. 煙草の副流煙と化学物質過敏症をめぐる裁判、診断書を作成した作田医師に対して訂正を求める内容証明を送付

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煙草の副流煙と化学物質過敏症をめぐる裁判、診断書を作成した作田医師に対して訂正を求める内容証明を送付

煙草の副流煙が原因で化学物質過敏症になったとして隣人相互が原告(3人)と被告(1人)の関係になって進行している裁判に新しい動きがあった。被告の藤井将登さんの妻である藤井敦子さんが、原告3人が被告の煙草が原因で「受動喫煙症」になったと診察した作田学医師(訴外)に対して、診断書の訂正を求める内容証明を送付したのである。

この裁判は受動喫煙により健康被害を受けたとして、4500万円の金銭支払いなどを求めたものである。訴状にある訴因は、「受動喫煙による化学物質過敏症に罹患するなど甚大な被害を被った」と述べている。

【これまでの概要】重大な疑問が浮上、作田学医師は「受動喫煙レベルⅢ」と診断・認定したが、原告患者が喫煙者だった事実をどう見るのか? 煙草の煙と化学物質過敏症をめぐる裁判

作田医師は、3人の原告を次のように診断した。

原告A:受動喫煙レベルⅢ、咳、淡、咽頭炎

原告B:受動禁煙レベルⅣ、化学物質過敏症、

原告C:受動禁煙レベルⅣ、化学物質過敏症

ところが提訴から約1年後の平成30年10月26日になって、原告Aが平成27年の春まで煙草を吸っていた事実をみずからの陳述書で明らかにした。(理由については言及しない)作田医師が診断書を作成したのが、平成29年4月で、原告らが体調不良を訴えはじめたのは、それよりも半年ほど前だから、原告Aがみずから吸っていた煙草が体調不良の原因である可能性の方がはるかに高い。

それにも係らず作田医師は上記のような診断を下したのである。そこで藤井敦子さんは、内容証明で訂正を求めたのだ。

 

◇喫煙習慣についての事実摘示

藤井さんが訂正を要求している点はいくつかある。たとえば夫である藤井将登さんの喫煙歴である。藤井さんは内容証明で次のように述べている。

夫の喫煙量は1日1.4グラム(そのうち半量は外出時に吸われます)でしかなく、私と同居の娘も全く煙草を吸いません。近所からクレームが寄せられたことはなく、管理組合へも●●氏以外からのクレームはありません。

これに対して作田医師は、原告Bの診断書の中で次のように藤井将登さんの喫煙習慣について事実を摘示している。

藤井将登の副流煙を四六時中吸わされたことにより、受動喫煙症および化学物質過敏症になっていった。

なお、問題になっているマンションのすぐ近くのバス停付近で煙草の吸殻が散乱している場所が確認されており、ここが煙の発生源である可能性もある。が、それにもかかわらず作田医師は、藤井将登さんが四六時中煙草を吸う事が原告Bが受動喫煙症や化学物質過敏症になった原因であると断定的に記述したのである。

藤井さんが記述の訂正を求めるのは当然である。

さらに原告Aが、元喫煙者であるにもかかわらず、「受動喫煙レベルⅢ」と診断したことについても訂正を求めている。

念のために補足しておくが、被告にされた藤井将登さんが煙草を吸っていたのは事実である。しかし、それはベランダで吸うといったものではなく、二重窓になった部屋の中で吸っていたに過ぎない。しかも、仕事の関係で外出していることの方が多い。自室で四六時中煙草を吸うなどということはありえない。

 

◇尿からのニコチン検出は?

さらに筆者が藤井さんを取材したところ、上記2点以外にも検証すべき項目が浮上した。次のURLで紹介するのは、作田医師らが作成した「受動喫煙症診断基準」と題する文書である。

「受動喫煙症診断基準」

後半に受動禁煙レベル0からレベル5までの判断基準が明記されている。この部分に注目してほしい。

作田医師は原告Bと原告Cを、レベルⅣと診断しているが、「受動喫煙症診断基準」によると、「非喫煙者が週1時間を超えて繰り返しタバコ煙に曝露。曝露後24時間以内に測定した尿からコチニンを検出」されなければ、レベルⅣとは診断されない。筆者が取材した限りでは、原告Bと原告Cの尿からニコチンが検出されたことを裏付ける証拠は提出されてない。

ちなみに作田医師がこれら3通の診断書を作成した平成29年4月は、事件現場のマンションでは、定期修繕工事が行われており、塗装のさいにイソシアネートなどの化学物質が大量に空気に混入していた可能性が高い。もし、そうであれば、原告Aを受動喫煙レベルⅢと認定したことに別の判断ミスも浮上する。と、いうのも「受動喫煙症診断基準」によると、「タバコ煙以外の有害物質曝露がない」ことがレベル3の認定条件になっているからだ。

 

◇神奈川県警の刑事3人と警官1人

提訴の根拠となる事実に十分な裏付けがないことが、作田医師による診断書作成プロセスの中で見えてくる。根拠に乏しいことを知りながら裁判を起こしたのであれば、訴権の濫用ということになる。

喫煙者を減らしたいという運動は理解できる。筆者も嫌煙派だから、非喫煙人口が増えることは歓迎する。しかし、運動の方法があまりにもラジカルになり、医療や司法が悪用されるとなれば、疑問視せざるを得ない。

しかも、この事件には、神奈川県警の刑事3人と警官1人が、藤井家の人々を2度に渡り取り調べているのである。こちらの真相はまだ全く闇の中だ。