1. 高輪署と目黒署から情報公開資料を入手、三宅雪子・元議員が7人を刑事告訴したとされる件、

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2018年12月13日 (木曜日)

高輪署と目黒署から情報公開資料を入手、三宅雪子・元議員が7人を刑事告訴したとされる件、

三宅雪子(元衆議院議員)氏は、本当に7人の元支援者を刑事告訴したのか?

筆者は、この事件を解明する鍵となるひとつの資料を、情報公開制度を利用して警視庁から入手した。警視庁が開示したのは「告訴(発)事件受理・処理状況一覧」という文書の平成29年4月分と5月分のうち、高輪署と目黒署における刑事告訴・刑事告発の処理件数を示す文書である。

その詳細を紹介する前に、事件の概要を簡単に説明しておこう。

 

◇事件の経緯

2017年5月10日、三宅氏はみずからのツイッターに次の投稿をした。

「本日、以下のアカウントに対して名誉毀損で告訴状を提出致しました。@gachktmama0113,@torch2012,@nanachan77,@makimakiia,@him_beereほか二名 私の名前を出してのツイート、家族知人、仕事先への接触を固くお断りします」

5人のアカウントを公開し、2人を匿名とした。原因はツィター上の「炎上」である。
告訴から1年半が過ぎたが、捜査機関から「被疑者」に対してなんの接触もない。そのために、告訴したという三宅氏のツィートは真っ赤なウソではないかという噂が広がった。そこで真相を解明するために、筆者が警視庁に対して上記の情報公開請求を行ったのだ。

情報公開の対象を警視庁の高輪署と目黒署に絞ったのは次の理由による。

【詳しい事件概要】三宅雪子元衆議院の支援者「告訴」騒動にみるTwitterの社会病理

 

◇高輪署のデータを入手した理由

通常、警察へ告訴する場合は、告訴人が在住する地域の最寄り警察署に相談するのが原則だ。それ以外の警察署で告訴の手続が出来ないわけではないが、筆者の取材を通じた経験則からすると、「被疑者」の最寄り警察に相談しても、告訴人の最寄り警察署に相談するようにアドバイスを受ける。特別な事情がない限りは、告発人の最寄り警察が窓口になる。

窓口が高輪署になった可能性が高いもうひつとの理由は、「被疑者」の在住地が関東から関西まで広域にまたがっており、たった1日で7つの警察署に足を運ぶことがむつかしいからだ。書面を郵送したというのなら、この限りではないが。

こうした理由で筆者は、まず、三宅氏の地元である高輪署を情報公開の対象にしたのである。ちなみに三宅氏の裁判で代理人を務めている落合洋二弁護士の最寄り警察署も港区・高輪署である。

目黒署を調査対象に加えたのは、「被疑者」の1人の最寄り警察が目黒署であるからだ。他の6人の「被疑者」の最寄り警察は、警視庁(東京都のみの管轄)の管轄外なので、情報公開請求する場合は、それぞれが在住する府県警察本部に相談しなければならない。そこで今回は、高輪署と目黒署だけになったのだ。

告訴の窓口としては、他に都府県の検察があるが、公的な要素が薄い今回の事件を検察が受理する可能性は極めて低いと判断して、これも対象から外した。

以上のような経緯を念頭において、次に紹介する情報開示結果を理解いただきたい。

 

◇高輪署における受理件数は0件

結論を先にいえば、高輪署に関しては、2017年5月中に1件の受理も行われていない。たとえ告訴状が提出されていても、その月のうちに不受理の決定が行われた可能性が濃厚だ。

目黒署に関しては、1件の事件が受理されている。しかし、それが三宅氏によるものかどうかは不明だ。

【高輪署】
   4月末時点(5月末時点)
受理:12件 (12件)
処理:2件 (2件)
相談:8件 (10件)
未処理:10件(10件)

【目黒署】
  4月末時点(5月末時点)
受理:10件 (11件)
処理:2件 (2件)
相談:30件 (32件)
未処理:8件(9件)

表の見方:データは今年に入ってからの累積件数である。たとえば高輪署の受理件数は、4月末までに12件発生している。5月末でもやはり12件なので、5月中の受理は0件ということになる。

一方、未処理(書類は受け取ったが受理・不受理の判断がペンディング)にも注目してほしい。4月末と5月末では数字に変化はない。それぞれ10件である。と、いうことは5月に何者かが告訴して、その受理・不受理の判断が5月中に下せずに、次月に持ち越した案件は0件ということになる。もし、告訴状は受け取ったがその月のうちに判断が下せないケースが発生していれば、5月末の「未処理」が11件になるはずだからだ。

さらに5月の処理件数も0件である。

つまり高輪署に関していえば、告訴状すらも受け取ってもらえなかったことになる。あるいは元々提出しなかったか。

目黒署に関しては、1件の告訴が受理されている。その告訴が三宅氏によるものかどうかは分からない。

今後、念のために「被疑者」が在住する府県警察本部と検察に対しても情報公開請求をする必要があるかも知れない。真相が解明されるのも時間の問題だろう。来年の夏までには調査を完了したい。