1. マイニュースジャパンが高裁で東進に逆転勝訴、増え続ける恫喝者の惨めな終焉

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2017年06月28日 (水曜日)

マイニュースジャパンが高裁で東進に逆転勝訴、増え続ける恫喝者の惨めな終焉

マイニュースジャパンの記事、「『東進』はワタミのような職場でした――ある新卒社員が半年で鬱病を発症、退職後1年半で公務員として社会復帰するまで」(2014年10月)で名誉を毀損されたとして、東進を経営するナガセ(永瀬昭幸社長)が、3000万円の損害賠償を求めた名誉毀損裁判の控訴審判決が、6月8日に言い渡された。東京高裁の村田渉裁判長は、第1審判決を破棄し、マイニュースジャパンに違法性はないとの判断を示した。

筆者は以前この裁判の訴状を読んだが、何が言いたいのかよく分からないものだった。論理が破綻しているのだ。ナガセは記事の削除を求めているのだが、具体的に何を問題にしているのかが曖昧なのだ。その結果、裁判の争点は、見出しの表現だけになった。

ナガセの主張は、「東進」という名前を使っていることで、記事内容が、東進グループ全体で起きているような誤解を与えるというものだった。

■MyNewsJapan〈「東進」はワタミのような職場〉に違法性なし ナガセに逆転敗訴を下した東京高裁の当り前すぎる判決、一審原克也裁判長の際立つ無知無能

◇恫喝訴訟では、原告敗訴が目立つ

マイニュースジャパンの逆転は、当然といえば当然だが、今後、このような訴訟をナガセが起こした背景を検証して、恫喝訴訟(スラップ)に対する損害賠償を請求することも大事だろう。いずれにしも、ナガセは、今後、学校が存続する限り、延々とジャーナリズムの監視対象になりそうだ。

このところスラップを起こした側が、みじめな敗北を喫するケースが増えている。私が取材したものだけでも次のような裁判がある。

ミュージックゲート裁判(原告・レコード会社31社、被告・穂口雄右)

ソニー・ミュージックレコーズや日本コロムビアなどレコード会社31社が、キャンディーズの「春一番」などで知られる作曲家・穂口雄右氏が代表を務めるミュージックゲート社を訴えた裁判。同社が提供していた「TUBEFIRE」(YouTubeの音源と画像を多様な端末で視聴可能にするファイル交換サービス)が著作権法違反にあたるとして約2億3000万円を請求したもの。穂口氏の和解勝訴。

【参考記事】メディアが報じない2012年の注目裁判、 ミュージックゲート裁判 背景に利益追求に固執するレコード業界の病理

DHC裁判(原告・吉田嘉明、被告・メディアや弁護士など、10名)

渡辺喜美元氏(みんなの党代表)が、吉田嘉明会長(化粧品会社DHC)から8億円を借り入れていた問題を、メディアや弁護士などが記事やブログで取りあげたところ、次々と訴訟を起こされたもの。吉田氏の敗訴が続いている。

森裕子裁判(原告・森裕子、被告・志岐武彦)

森裕子議員が志岐氏のブログで名誉を毀損されたとして500万円を請求した裁判。森氏は、門前払いのかたちで敗訴した。

八木啓代裁判(原告・八木啓代、被告・黒薮哲哉、志岐武彦)
森裕子裁判の記事をメディア黒書に掲載したところ、検察に対する批判で森氏と行動を共にしていた八木氏が、私と志岐氏に200万円の支払いを求める損害賠償を起こした裁判。八木氏の敗訴。

【参考記事】黒薮・志岐の勝訴が確定、対八木啓代氏の名誉毀損裁判、浮き彫りになった本人訴訟の「暴走」

その他、2008年に読売が筆者(黒薮)に対して提起した著作権裁判

これも読売の敗訴だった。

こんなふうに判決の流れを冷静に検証してみると、スラップを仕掛けた側が敗訴しているケースが意外に多いことが分かる。

◇スラップ対策は?

スラップの対策は、反撃することだ。それが唯一の対策だ。さらに裁判が終わった後が肝心だ。裁判中の資料はすべて入手しているわけだから、裁判の中でどのような主張が行われていたかを、ネットなどで公開して、半永久的に公衆の検証対象にすることである。

私の場合は、著作権裁判を起こした読売の代理人で自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士に対する懲戒請求を日弁連に申し立てた。この事件の検証は、今年で9年目に入っている。提訴10周年を機に、全資料の公開を検討している。

【参考記事】読売・喜田村洋一・自由人権協会代表理事らによる口封じ裁判から9年目に、今後も検証は続く 

ちなみにDHCは、スラップを連発した吉田会長の人格が問題になり、「DHC商品は使わない方が安全」「何が入っているか分からない」という声も出始めているようだ。

さらに森裕子氏は、裁判後の検証作業の中で、政治資金のマネーロンダリングが発覚して、刑事告発された。現在、新潟地検が調査している。

【参考記事】高市早苗総務大臣と森裕子議員の政治献金を悪用したマネーロンダリング、与野党政治家の劣化が顕著に

 

【写真】恫喝裁判の生みの親・サラ金の武富士