1. イスラム国・人質事件の背景に新自由主義と戦争の民営化

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2015年01月23日 (金曜日)

イスラム国・人質事件の背景に新自由主義と戦争の民営化

イスラム国で拘束され生命の危機に直面している2人の日本人のうち、湯川遥菜氏のFACEBOOKには、みずからの職業を「民間軍事会社CEO」と書かれている。この民間軍事会社とは何かは、ほとんど知られていない。

結論を先に言えば、これは新自由主義の下で、戦争の民営化が進行する過程で出現する企業である。戦争に関連した諸業務を代行する企業である。

改めて言うまでもなく、公的なものを切り捨てて、民間にゆだねるのが新自由主義の基本的な方針である。それにより「小さな政府」をつくり、大企業の税負担を軽減して、国際競争力を高める国策である。公的医療を切り捨てて、民間企業に医療と福祉の市場を解放する安倍内閣の方針と同じ脈絡から、民間軍事会社も現れたのではないか。

◇背景に軍事大国化と新自由主義

日本の軍事大国化と新自由主義は、1996年に成立した橋本内閣の時代から本格化した。このうち前者について言えば、新ガイドラインの策定、周辺事態法(1999年)、テロ特措法(2001年)、イラク特措法(2003年)、有事立法(2003年)と進んでいったのだが、このうち「民間企業」が戦争に関与する温床をつくりだしたのは、民主党も賛成した有事立法である。

戦争に民間企業や自治体を強制的に協力させる体制が出来上がったのである。具体的には、高度な武器類の修理をIT関連企業にゆだねる、等。

こうした流れの中では、当然、戦争の民営化が想定される。民間企業に「戦争業務」を委託する方向性が浮上してきたのではないだろうか。行き着く先は傭兵の派遣会社の出現ではないだろうか。

戦争をビジネスにするのは、許しがたい行為である。と、いうのも直接的であれ、間接的であれ、何の罪もない人々を、銃撃や爆撃で打ち殺すからだ。国から命じられて、戦場に赴き他国の民に対して「鉄の雨」を降らせるのとは、悪質さの度合いが違う。ビジネスとしての人殺しが、戦争という名で正当化されているに過ぎない。

今回の悲劇の背景に日本の軍事大国化と新自由主義があることは疑いない。
しかも、事件を通じて、両方の政策が整合性を持っていることも明らかになった。