1. 毎日新聞が「新聞奨学生ブラック労働内部告発」記事の削除を要求――配達人集まらず、末期症状露呈した“ブラック育英会”

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2016年06月23日 (木曜日)

毎日新聞が「新聞奨学生ブラック労働内部告発」記事の削除を要求――配達人集まらず、末期症状露呈した“ブラック育英会”

ほとんど無報酬の集金業務、弁当代のピンハネ、給料未払いでも支払いに応じない――そんな毎日新聞奨学生のブラックな労働実態を実際の体験者が告発した、2008年5月掲載のスクープ記事。8年たった2016年6月10日、「毎日育英会」(上田繁理事長=毎日新聞グループホールディングス専務)が突然、「事実と全く異なる」と主張し始め、記事の削除を要求する通告書を送付してきた。削除を行わない場合は然るべき法的措置を講じるという。

過酷な労働環境などの影響から奨学生の数が激減したため、募集の妨げになる報道記事を消そうと企んだとみられる。新聞社が、自社媒体で反論できないまま、自らに都合の悪い記事の削除要求を通告するなど、言論・報道機関として自殺行為だ。

検証したところ、当時の内部告発と証拠資料に基づき綿密な取材を行って記事化したもので、削除どころか修正すべき点も見当たらない。言論封殺を狙う毎日新聞社の恥部、“ブラック育英会”の実態を報告する。

【Digest】
◇恥ずかしい通告書
◇企業でも財団でもない毎日育英会
◇ジャーナリズムへの挑戦状
◇奨学金という名の“人材紹介”
◇15年前の4分の1に激減した学生数
◇記事を再検証①給料の未払い
◇記事を再検証②新聞奨学生の労働長時間化
◇記事を再検証③弁当代のピンハネ
◇「朝刊 発証数の推移」
◇偽装部数は世界一
◇訴権の濫用と言論封じ

「毎日育英会」を名乗る組織よりMyNewsJapanに対して、6月10日付の通告書が内容証明で届いた。2008年5月11日に掲載した記事「新聞奨学生が内部告発 給料未払い、食費ピンハネの実態」の削除を求める内容だ。なんと8年も前の記事について、今ごろになってはじめて文句を言ってきたのだった。【続きはMyNewsJapan】

■参考記事

 「ある新聞奨学生の死」(『週刊金曜日』1998年4月10日)PDF

読売新聞の上村過労死事件のルポルタージュ。奨学金に縛り付けられ、重労働を課せられても離職できない。18年前の実態。本当に改善されているのか、今後、検証する。

奨学生の大半は、働きながら勉学に励む真面目な人材だ。「ならずもの」が紛れ込んでいることもある販売店の中では、大きな戦力になる。それゆえに心ない販売店主の下に配属されると、悲劇が待っている。勉学どころではない。

重労働の結果、交通事故も多い。

こうした実態が新聞奨学生の激減を招いている。15年前の4分の1になっている。その結果、現在では、ブローカーを通じて海外から「奨学生」をリクルートして働かせる実態もある。人身売買と表現するのは、誇張になるだろうか?

新聞社の足元でこんな前近代的なことが横行しているのだ。「押し紙」と同じぐらい深刻な問題だ。本来、これも新聞人が光を当てるべき大問題なのだ。