1. 特定秘密保護法違憲訴訟の原告団が29日に新橋駅前でリレー演説会、民主党と維新の会は不参加

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2015年09月28日 (月曜日)

特定秘密保護法違憲訴訟の原告団が29日に新橋駅前でリレー演説会、民主党と維新の会は不参加

【サマリー】リーランスの表現者43名からなる特定秘密保護法違憲訴訟の原告団は、29日(火)の午後6時から8時の予定で、新橋駅前SL広場でリレー演説会を開く。弁士は、原告のジャーナリスト・安田浩一氏をはじめ、評論家の孫崎享氏、自由人権協会の藤原家康弁護士ら。

 安保関連法案に先立って施行された特定秘密保護法の本質はなにか。改めて解説する。

フリーランスの表現者43名からなる特定秘密保護法違憲訴訟の原告団は、29日(火)の午後6時から8時の予定で、新橋駅前SL広場でリレー演説会を開く。これは11月18日に予定されている地裁判決を前にした宣伝活動の一環である。弁士は次の方々。

①安田浩一(原告)
②新聞労連・新崎盛吾委員長
③「劇団チャリT企画主宰」劇作家・演出家・俳優の楢原拓氏
④宮本徹衆院議員(共産)  
⑤日体大・清水雅彦教授(憲法)
制服向上委員会4人 トークと歌
⑦出版労連・前田能成氏(特定秘密法担当)
⑧孫崎享氏(元外交官・評論家)
⑨堀敏明弁護士(原告代理人弁護士)
⑩福島みずほ(社民)
⑪藤原家康(秘密保護法対策弁護団)

特定秘密保護法は、広義の安保関連法案である。もともとは日米共同作戦を展開するに際して、必然的に生じる軍事上の秘密を外部に漏らさないことを法的に担保するために発案された法案だったが、その後、特定秘密の適用範囲がなし崩し的に拡大され、法律が成立した段階では、次の19の行政機関が特定秘密を指摘できることになった。

①国家安全保障会議 ②内閣官房 ③内閣府 ④国家公安委員会 ⑤金融庁 ⑥総務省⑦消防庁 ⑧法務省 ⑨公安審査委員会 ⑩公安調査庁 ⑪外務省 ⑫財務省 ⑬厚生労働省⑭経済産業省 ⑮資源エネルギー庁 ⑯海上保安庁 ⑰原子力規制委員会 ⑱防衛省 ⑲警察庁

これらの行政機関が、次の4要件のうち1要件でも満たすと「主観的」に判断したものを特定秘密に指定できる。

① 防衛に関する事項
②外交に関する事項
③外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項
④テロ活動防止に関する事項

たとえばTPPは②に該当する。海外派兵は①②③に該当する。
もっとも身近な例をあげると、たとえばわたしが取材対象にしている携帯電話の基地局問題は、④に該当する。通信網に関する情報の開示が、テロ活動に悪用されるという詭弁(きべん)が一応は成り立つからだ。

◇安保関連法との関係

安保関連法が成立して、これから日本は海外派兵を繰り返していくことになるが、戦死者がでようが、日本軍が第三世界で住民の虐殺事件を起こしても、それを①②③を口実に特定秘密に指定すれば、事件の報道そのものができなくなる。つまり日本軍がジャーナリズムの視線をかいくぐって、やりたい放題に軍事作戦を展開できることになる。

かりに安保関連法が自衛隊員を戦争に巻き込んでも、特定秘密保護法がなければ、ジャーナリズムの力で戦況の詳細を告発して、反戦世論を高めることができる。が、特定秘密保護法が成立してしまった今は、この法律がそれを妨げる。違反した記者は、最高で10年の懲役に服すことになる。その意味で、特定秘密保護法はメディアに対する弾圧法なのだ。前近代的な治安維持法にほかならない。

安倍内閣が安保関連法に先立って特定秘密保護法を制定したのは、安保関連法を施行しても、特定秘密保護法が抜け落ちていれば、ジャーナリズムの力で軍事大国化の野望を粉砕される恐れが高まるからにほかならない。

29日のリレー演説会の弁士に民主党と維新の会の国会議員の名前がないのは残念なことだ。原告団が声をかけたが応じなかった。彼らの大半は「反自民」よりもむしろ「反共」であり、今後、本気で特定秘密保護法や安保関連法の廃止のために戦う気があるのかおぼつかない。まやかしの二大政党制の片棒をかついでおり、「失われた20年」の悲劇を再来させようとしている。