1. 読売・平山事件の8周年、最高裁が逆転敗訴させた名誉毀損裁判の訴状を公開

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2016年02月29日 (月曜日)

読売・平山事件の8周年、最高裁が逆転敗訴させた名誉毀損裁判の訴状を公開

3月1日は、読売新聞・平山事件8周年である。平山事件とは、福岡県久留米市の読売新聞久留米文化センター前店の店主だった平山春男さんを、読売が解任した事件である。この事件を機として、複数の裁判が始まることになる。

3月1日の午後、読売の江崎法務室長らは、事前の連絡もせずに平山さんの店を訪問した。そして対応に出た平山さんに解任を通告したのである。それから関連会社である読売ISの社員が、翌日に配布される予定になっていた折込広告を店舗から搬出した。

こうして平山さんの店は、あっけなく幕を閉じたのである。

前年の暮れに平山さんは、対読売弁護団(真村訴訟の弁護団)を通じて、「押し紙」(広義の残紙を意味する)を断った。弁護団がその後、作成したリーフレット『「押し紙」を知っていますか?』によると、2007年11月時点における平山店への新聞の搬入部数は2010部だった。このうち997部が配達されずに余っていた。

◇双方が提訴

この事件では、双方が相手に対して裁判を起こした。読売は、平山さんに店主としての地位が存在しないことを確認する裁判を、平山さんは地位保全の裁判をそれぞれ起こした。裁判は読売の勝訴で終わった。

平山さんは高裁で敗訴した後、病死された。

◇名誉毀損裁判も提起

平山事件の報道をめぐり、わたしも読売から裁判を起こされた。

事件が起きた3月1日、福岡県の販売店主から連絡を受け、わたしはその日のうちに新聞販売黒書(現・メディア黒書)に臨時ニュースを掲載した。その記事の中で、読売関係者が行った折込広告の搬出行為を「窃盗」と書いた。

予告することなく平山さんに解任を告げ、著しい精神的衝撃を与えた状態で、折込広告の搬出行為を行ったと推測されるので、「窃盗のように悪質」という意味の隠喩(メタファー)を使った表現を採用したのである。

事件から11日後の3月11日、読売の江崎法務室長らは、さいたま地裁に一通の訴状を提出した。被告は、わたしだった。「窃盗」は事実の摘示にあたり、事実に反するという主張等を前提に、2200万円(弁護士費用200万円を含む)の金銭等を要求する裁判を起こしたのである。

■訴状

判決は、さいたま地裁、東京高裁はわたしの勝訴。しかし、最高裁が小法廷を使って口頭弁論を開催し、判決を東京高裁へ差し戻したのである。

そして東京高裁の加藤新太郎裁判長が、わたしに110万円の金銭支払いを命じたのである。

加藤氏はその後、退官。その後、大手弁護士事務所・アンダーソン・毛利・友常法律事務所に顧問として再就職した。なお、加藤氏が読売新聞に登場していたことが、後に判明する。次の記事である。

■読売に登場した加藤新太郎氏

わたしは裁判の公平性という問題を考えざるを得なかった。高裁の事務局は担当裁判官の選任を間違ったのではないか?

なお、平山裁判とわたしの裁判に、読売の代理人として登場したのは、喜田村洋一・自由人権協会代表理事だった。喜田村氏らは、「押し紙」の存在を否定してきた。