1. 裁判官の人事異動と不可解な判決 第2次真村裁判と木村元昭裁判官

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2013年07月08日 (月曜日)

裁判官の人事異動と不可解な判決 第2次真村裁判と木村元昭裁判官

これまでわたしが取材した裁判で、判決だけではなく進行プロセスに疑問がある裁判の典型は、第2次真村裁判である。判決の内容そのものに検証しなければならない疑問点が多数見うけられるだけではなくて、裁判所当局が担当裁判官を決定したり異動させた背景がよく分からない。疑問の種になっている。

真村裁判は、1次裁判と2次裁判に大別できる。1次裁判は真村さんの完全勝訴だった。2007年12月に最高裁で判決が確定した。

訴因は、読売が真村さん経営のYC広川を強制改廃しようとして、「飼い殺し」などのハラスメントに及んだことである。裁判の過程で、偽装部数や虚偽報告など、日本の新聞社がかかえる大問題が暴露された。最高裁は、読売の販売政策の下では、反省すべきは読売であり、真村さんが販売店を廃業しなくてはならない正当な理由はなにもないと判断したのである。

ところが最高裁で判決が確定した半年後の2008年7月、読売は一方的にYC広川との取引を打ち切った。そこで真村さんは、地位保全の仮処分を申し立てると同時に、再び本裁判を起こした。これが第2次真村裁判である。

第2次裁判の結果は次の通りである。舞台は福岡地裁である。

1、仮処分       真村勝訴

2、仮処分(異議審)   真村勝訴

3、仮処分(抗告?高裁) 真村勝訴

4、仮処分(特別抗告) 真村勝訴

1、地裁本訴       読売勝訴

2、高裁本訴       読売勝訴

3、最高裁        読売勝訴

 仮処分と本訴が同時に進行していたのである。仮処分の審尋には、約2年の歳月を要した。

◇木村元昭裁判官の軌跡??

このうち仮処分の異議審で真村さんを勝訴させたのは、木村元昭裁判官だった。仮処分としては、異例の25ページにも及ぶ判決文で、読売の主張を退けたのである。

 さらに真村氏の後任者としてすでに販売店経営に着手している店主とも話し合って、真村氏に営業権を移譲するように命じている。次の判決文(PDF)の青で囲った部分である。

(判決の後任者との話し合いに関する部分=PDFここをクリック)?

 木村裁判官は、この判決を下した2週間後の2月1日に那覇地裁へ所長として赴任した。

 その後、真村さんは仮処分裁判を勝ち進む。ところが抗告(高裁)で勝訴した数日後に本訴(地裁)の判決があり、意外にも敗訴した。

? そこで真村さんは高裁へ控訴した。控訴審が始まって間もなくすると、裁判官の交代があった。1年半前に仮処分裁判(異議審)で、真村氏を勝訴させた木村元昭裁判官が、那覇から福岡へ戻り、真村裁判を担当することになったのである。

 そして真村氏を敗訴させたのだ。仮処分では真村氏を勝訴させ、経営権を取り戻せるように、後任店主との話し合いを勧めていた同じ裁判官が、今度は180度異なった判決を下したのである。

 次に示すのが、木村元昭裁判官が執筆した2つの判決である。同じ人物が書いたとは思えない正反対の内容だ。

◇「黒薮への協力」をどう判決したか?  

読売が真村さんの解任を正当と主張した理由のひとつに、「黒薮への協力」がある。つまり真村さんがわたしの取材を受けて、情報を提供したことが、正当な解任理由になると主張したのである。

 木村裁判官は、仮処分の判決では、このような理由を認めなかった。しかし、本訴では、認めたのである。

(仮処分=PFDここをクリック)

(本訴=PFDここをクリック)??

ちなみに本訴の判決は、最高裁も認定している。そこで現在、真村さんがわたしに提供した資料で、裁判所が問題にしている資料(真村さんの敗因になった具体的な資料)とは、何かを情報公開請求のかたちで最高裁に問い合わせている。

この裁判の読売側代理人を務め、読売の販売政策をサポートしてきたのが、自由人権協会の喜田村洋一代表理事らである。(続く)