1. 読売VS新潮の「押し紙」裁判 見解を180度変更した東京大学・竹内啓名誉教授 背景に何が?研究者の資質に疑問

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2013年05月13日 (月曜日)

読売VS新潮の「押し紙」裁判 見解を180度変更した東京大学・竹内啓名誉教授 背景に何が?研究者の資質に疑問

読売VS新潮社(+黒薮)の裁判が最高裁で決着したことは、既に述べたとおりである。読売の勝訴が確定した。

この裁判について、今後、解明していかなければならない点がいくつかある。そのうちのひとつは、読売が問題視した記事「『新聞業界』最大のタブー『押し紙』を斬る!」の中に、引用した竹内啓・東京大学名誉教授のコメントをめぐる顛末である。

竹内氏は、記事の中にわたしが引用した滋賀クロスメディア」による調査??それは各紙の新聞購読者数を調査したもので、各紙の「押し紙」率を推定するための基礎資料のひとつになった統計調査を次のように評価していた。

その手法は、統計調査として非常にまともだと思います。電話、戸別訪問、そしてポストの確認と、かなり綿密な調査ができている。購読判明件数も14万件と多いですし、購読不明の件数が多い点は懸念材料ではありますが、信頼性は非常に高いと思います。

ところが読売が新潮社を提訴した後、わざわざ自分のコメントが誤りだったとする陳述書を裁判所へ提出したのである。結論の部分を紹介しよう。

以上の理由により、かつて週刊新潮に対して述べた「(読売新聞などの)発行部数が水増しされていることは明らかである」という発言は撤回する。それについては、このようなデータからは何も明確にはいえないとするよりほかはない。

(参考:陳述書の全文)

竹内氏の新見解を一言でいえば、調査の枝葉末節を批判しながらも、滋賀クロスメディアの調査そのものがずさんという見解である。竹内氏がどのような意見を表明しようが、それは自由である。考え方を変更したとしても、許される。

しかし、わたしが知りたいのは、なにがきっかけで自分の見解を180度変更したのかという点である。学者が自分の見解を180度変更するのは重大な行為である。

読売が提訴後に、竹内氏に対して抗議した結果、「誤り」を認め、裁判所に「『(読売新聞などの)発行部数が水増しされていることは明らかである』という発言は撤回する。」と明記した陳述書を提出したのか。

それとも裁判になっていることを知って、自主的にコメントを再考し、「誤り」に気づいて裁判所に陳述書を提出したのか?もし、後者であれば恐るべき謙虚さだ。

竹内氏には、このあたりの事情をおおやけにしてほしいものだ。さもなければ、簡単に見解を変更するいいかげんな研究者だったことになりかねない。